「月桂樹(げっけいじゅ)」は、地中海沿岸原産の小高木です。
古代ギリシャのオリンピックの勝者や、太陽神アポロンが被っていた葉っぱの冠は、月桂樹の葉で作られていたことは、有名です。
西洋の花言葉は、みなこの「月桂冠」に由来しています。
一応“花”言葉ですが、花の咲かない季節も、青々とした葉っぱの茂る枝や、全体の立ち姿が表現するメッセージとして“樹”言葉のように扱われています。
さらに、英語では、
- 葉
- 花
それぞれの花言葉も付いています。
葉に由来する樹全体の花言葉と、葉の花言葉は、とてもポジティブですが、花の花言葉だけ、かなりネガティブなものになっています。
月桂樹の葉を乾燥させたもの(ローリエ)は、スパイスとして、生薬として、洋の東西で使われてきました。まあ何に付けても「葉っぱが主役!」みたいな樹木です。
もくじ
月桂樹の花言葉
月桂樹全般の花言葉
『栄光』
『勝利』
『栄誉』
『名誉』
『輝ける将来』
西洋の花言葉
『glory(栄光)』(英)
『victory(勝利)』(英)
『gloire(栄光)』(仏)
『ruhm(栄光)』(独)
花の花言葉
『perfidy(裏切り、不信、不義)』(英)
葉の花言葉
『no change till death(私は死ぬまで変わりません)』(英)
花言葉の由来
神聖な木は栄光の印
月桂冠は、オリンピックのメダルや表彰タテ等のデザインの定番です。
それは、西洋では古代から、スポーツの勝者や芸術・文化・軍事等で功績を残した者に、月桂冠を贈ってその活躍を称える習慣があったためです。
『栄光』
『勝利』
『栄誉』
『名誉』
『輝ける将来』
『glory(栄光)』(英)
『victory(勝利)』(英)
『gloire(栄光)』(仏)
『ruhm(栄光)』(独)
これらの花言葉は、月桂冠が象徴する“栄光のイメージ”から生まれました。
アポロンの象徴
では、なぜ『栄光』のイメージになったのでしょう?
良い香りと鎮静効果などの優れた効能成分を持ったローリエは、大昔から人々を癒す薬草でした。特別な力が宿った樹とあがめられ、自然に神聖なものとなっていったと思われます。
そして、深い緑色の常緑の葉は、永遠と不死の象徴とされました。
そんなイメージもあって、神話では月桂冠がアポロンのシンボルになったのでしょう。
アポロンは天を司る太陽の神であっただけでなく、芸術や預言の神でもありました。
そのため、優れた文化功績者や、武勇を上げた軍人たちの栄光を称える時に、アポロンの栄誉にあやかって、月桂冠が使われるようになったのです。
ダフネへの愛の証
神話の中では、アポロンが月桂冠を身に着けるようになったいきさつについて、次のように語られています。
“アポロンがある時、愛の神エロース(キューピット)の弓矢をからかいました。
怒ったエロースは、最初に目にした相手を恋する黄金の矢をアポロンに撃ち込みます。アポロンは河の神の娘ダフネを見て、彼女に恋をします。
が、エロースはダフネに見た相手の愛情を拒絶する鉛の矢を撃ち込みます。求愛するアポロンを嫌って逃げ惑うダフネは、父に頼み、己の姿を樹に変えます。
それが月桂樹の木でした。
アポロンは、ひどく悲しみ、せめて自分の聖樹になってほしいとダフネに頼みます。ダフネの木は承知して、アポロンの上に葉を落としました。
アポロンはその葉から月桂冠を作り、永遠の愛の証として身に付けたのです”
『no change till death(私は死ぬまで変わりません)』(英)
この月桂樹の葉に付いた花言葉は、アポロンの永遠の愛の宣誓です。
「頑固で融通が利かない人」のようなマイナスイメージではなく、永遠の愛を貫く崇高な心を示唆するポジティブな言葉と捉えてください。
月桂樹ってどんな花?
春に花咲く雌雄の木
さて、そんな葉っぱの注目度の影で忘れられそうですが、月桂樹は4~5月にかけ、小さなクリーム色の花が固まって咲く花穂を付けます。
雌雄の木があって、雄の木はおしべがたくさん飛び出した白っぽい花が、雌の木はシンプルな黄色みの強い花が咲きます。
品種によって、花穂や花の色形は若干違っており、中には雌花がピンク色の品種もあります。
タイトル写真は、日本でよく見られる雄の月桂樹です。なぜか日本の木は雄木の割合か非常に高く、雌の花や結実してタネができたところは滅多に見ません。
西洋のサイトには、細長い花穂で白い雄花の木の画像もたくさん出てきます。
ネガティブな花言葉は花色から
『perfidy(裏切り、不信、不義)』(英)
花に付けられたこの花言葉は、花色の黄色に由来するという一説があります。
キリスト教文化が社会に根付いてきた西洋では、“黄色は不吉な色”とされています。最後の晩餐で、イエスを裏切ったユダの来ていた衣服の色が黄色だったから、だそうです。
花言葉でも、黄色い花だけネガティブな表現になっているものが少なくありません。
人々の役にたってきた神聖な月桂樹なのに、花だけが良くないイメージなのは、とても不思議な気がします。
良い花言葉はギリシャ神話由来なのに、そこだけキリスト教由来なのも変です。
他に所以が見つからなくて、もしかしたら、強引にこじつけたのかも・・・!?
まあ、その辺はアンニュイに解釈しておきましょう。
分類: クスノキ科ゲッケイジュ属
学名: Laurus nobilis ローラス・ノビリス
和名: 月桂樹
別名: ローリエ、ローレル
英名: Laurel, Bay laurel
開花時期: 4~5月 春の花
花色: 白、黄色、クリーム色
樹高: 5~10m 常緑高木
原産地: 地中海沿岸