クリスマスローズは、西洋で
「ヘレボルス(学名Helleborus)」
の名で呼ばれているキンポウゲ科の常緑の多年草です。
真冬から早春の寒い季節、屋外に地植えしたまま30~60センチほどの草丈まで花茎を伸ばして、長期間花をつけてくれる園芸種は限られます。花色や形も種類豊富なクリスマスローズは、冬場の庭先、玄関先に植えるのに重宝されています。
クリスマスの頃に、アルプスの東端からドイツ・オーストリアにかけての高山や林の中に自生していた原種のひとつ
「ヘレボルス・ニゲル(Helleborus niger)」
という、純白の一重の花を咲かせる背の低い品種のことを、イギリスやドイツでは
「Christmas rose」(英)
「Christrose」(独)
と呼んで、クリスマスを祝う花としてきました。
日本では、クリスマスには咲いていない、他のヘレボルス属複数品種も含めて「クリスマスローズ」と呼んでいます。
花言葉は、日本も西洋もヘレボルス属(和訳はクリスマスローズ属)全般の花を網羅しています。
もくじ
クリスマスローズの花言葉
日本の花言葉
『いたわり』
『慰め』
『安心させて』
『私を救いたまえ』
『追悼』
『思い出を懐かしむ』
『私を忘れないで』
『スキャンダル』
『中傷・誹謗』
『悪評』
西洋の花言葉
『relieve my anxiety(不安をやわらげて)』(英)
『mettez fin à mes tourments(苦しみに終止符を)』(仏)
『de calomnies(中傷)』(仏)
『mauvaise réputation(悪い評判)』(仏)
『Nimm mir meine Angst(恐怖を取り去る)』(独)
白花の花言葉
『demande en mariage(結婚の申し込み)』(仏)
クリスマスローズってどんな花?
バラとは全然違います
名前にローズとついていますが、科目も見た目も低木のバラとは違い、どちらかというと桔梗やコスモスのような印象です。
品種改良が進んで今は花色も花びらの形態も多様にありますが、先端に1輪の花をつけた長めの花茎が、首をうなだれるように下を向く花姿が特徴的です。
出兵していく兵士に恋人が贈った花
花びらのように見える部分は、実はガク片なので、本当の花びら(蜜腺と一体化しています)が一週間ほどで散っても、ガクはそのままタネができるまで散りません。だから花持ちがとても長いのです。
中世、戦乱の時代のヨーロッパで、冬場に遠征軍として旅立つ兵士が、恋人に贈った花がヘレボルスでした。いつまでも咲く花を見ながら、恋人は兵士の無事を祈ったのです。
毒でもあり、薬草でもあった
ヘレボルスの根茎や葉、花には神経症状を起こす毒成分が含まれています。下痢や嘔吐、呼吸麻痺や心拍数の低下や心停止を促す危険もありますが、使いようによって、強心剤、下剤、堕胎薬にもなり得ます。
古代社会では、花の香りが病人から悪臭を除くと信じられ、鎮静効果の薬効から、狂人を正気に戻すとも考えられていました。悪霊払いなどの呪術にも使われていた記録があります。
花言葉の由来
薬効に由来
『relieve my anxiety(不安をやわらげて)』(英)
『mettez fin à mes tourments(苦しみに終止符を)』(仏)
『Nimm mir meine Angst(恐怖を取り去る)』(独)
西洋の花言葉の多くは、中世まで信じられていた薬効からきています。
「花の力で、精神的な負荷、苦しみや不安や恐怖から救ってほしい」
という願いが花言葉に込められたようです。
『いたわり』
『慰め』
『安心させて』
『私を救いたまえ』
これらの日本の花言葉も、西洋の花言葉に由来します。
『de calomnies(中傷)』(仏)
『mauvaise réputation(悪い評判)』(仏)
『スキャンダル』
『中傷・誹謗』
『悪評』
一方、黒魔術のような呪術のイメージが、悪い花言葉になっています。
兵士と恋人の気持ち
『追悼』
『思い出を懐かしむ』
『私を忘れないで』
これらは、兵士のエピソードからきています。
遠く離れても「私を忘れないで」という想いをこめて贈り贈られた花ですが、残念ながら、兵士が帰らぬ人となった時、花は恋人の「追悼」のシンボルになってしまったのでしょう。
ちなみに、フランスでは白花(ニゲル)を贈るのは、プロポーズの意味になるようです。
合格祈願!受験生応援ギフトの縁起物へ
厳しい寒さに耐えて頑張る姿は受験生
さて、ところで、最近、語呂合わせなどで縁起担ぎする、合格祈願グッズ商戦がブーム化しているのをご存知でしょうか?
商品名が「きっと勝つ!」と聞こえるチョコレート菓子とか、めちゃめちゃ売れています。
実は、2010年頃から、この商戦にクリスマスローズが乗っています。
寒さ厳しい季節、頭を垂れながらも、雪に埋もれまいと頑張って咲いているクリスマスローズの姿が、黙々と机に向かって頑張っている様子に重なると、応援の気持ちを込めて受験生のプレゼントにする人が増えているのです。
5枚の花びらのようなガクが五角形に並んで、なかなか散らないことも、
「学(ガク)が落ちない」
「合格(ゴカク⇒ゴウカク)につながる」
とされ、縁起物に昇格したようです。
救いを求めるような花言葉もマッチしているし、誰が考えたか知りませんが、なかなかいい目の付け所かもしれません。
「追い込み時期の受験生に、鉢植えなんて手間がかかるものっていいの?」
という声も一部にありますが、部屋に置いておくと合格のお守りになるのだそうです。
分類: キンポウゲ科クリスマスローズ属
学名: Helleborus ヘレボルス(属名)
和名: 寒芍薬(かんしゃくやく)
別名: 雪起こし
英名: Helleborus,Lenten rose,
Christmas rose(白花の品種のみ)
開花時期: 12~2月 冬の花
花色: 白、紫、ピンク、赤、黄、緑、黒など
草丈: 10~60cm 多年草
花持ち期間: 1か月以上
原産地: ヨーロッパ中部~南部