「ノースポール(North Pole)」
とは、“北極”のことです。真冬から咲きだし、春には株全体を覆うように白い花が満開になるので、一面真っ白な極地の世界の名が付きました。本当は
「カンシロギク(寒白菊)」
という和名があったのですが、「サカタのタネ」が商品名として「ノースポール」と付けたところ、そちらの名前の方が広まり、国内で一般化しました。英語名ではないので、海外で「North Pole」といっても通じませんよ。
真ん中が黄色、花びらが白のくっきりとしたコントラストの平咲きの花は、キク科の中の複数の属で見られます。花期はそれぞれ違いますが、真冬の時季から咲くのは、このノースポールだけです。
ガーデナーにとって、冬場の花壇にはすっかりお馴染みの花となっており、その辺の特別感が花言葉にも表れています。
もくじ
ノースポールの花言葉
『自分に誠実』
『冬の足音』
『高潔』
『お慕いしています』
『輪廻転生』
花言葉の由来
寒さに強く、冬に咲きだす
ノースポールは、草丈は20㎝前後と低いですが、四方に株が分かれて、ギザギザの葉をたくさん茂らせて広がります。花がだんだん満開になっていく光景は、なるほど、雪や氷が地面を覆っていくかのようです。
寒さにとても強く、秋にタネを蒔くと、ほとんど手間がかからず、正月前後から3㎝ほどの小さな花を咲かせていきます。白と黄色の花は、他の花色との取り合わせもよく、冬場の花壇の寄せ植えにとても重宝されています。
『自分に誠実』
『冬の足音』
は、寒さの中でも、律儀に芽を出し、元気に明るく花咲く姿に由来します。
キク全般の花言葉から
『高潔』
は、“菊の花言葉”からきています。
『お慕いしています』
も、スプレー菊(茎がたくさん枝分かれした先に花をつける菊の総称)の花言葉
『あなたを愛します』
からきていると思われます。
真冬から初夏までの長い花期
本来は多年草ですが、高温多湿に弱いので、日本では真夏には枯れてしまいます。とはいえ、年末から梅雨の直前まで、キク科の中ではかなり長い花期の花です。
『輪廻転生』
は、この花にしかない珍しい花言葉ですが、はっきりとした由来が分かりません。
ひとつひとつの花は一週間ほどしかもたないものの、次々と蕾を付けていく姿が、命が繰り返し生まれていくように見えたのではないか?
という仮説がありますが、妥当な気がします。
ノースポールってどんな花?
キク科の花は小さな花の塊
植物の分類は基本的に花の形態で分けます。キク科の植物は、小さな花がとてもたくさん固まって咲くことが特徴です。
ノースポールやデイジーも、
真ん中の黄色いポツポツ(筒状花:とうじょうか)と、
白い花びらのひとつひとつ(舌状花:ぜつじょうか)が、
全部それぞれひとつの小さな花なのです。
二転三転した分類
キク科の植物は、
“最も進化し、最も分化した植物”
といわれ、世界で2万品種以上あります。
一般的に“菊”と認識されているのは200品種ほどで、大雑把にいうと
- 真ん中に筒状花がある平咲きの花
- 半球状にたくさん舌状花が集まるタイプの花
に分かれますが、学問上は全部まとめて
「キク属(Chrysanthemumクリサンセマム)」
でした。
しかし、固まった花の形やその他の特徴があまりに様々違うので、1970年代に、10以上の属に次々と分化されていきました。
が、キク科の花は、科学的な特徴は違っても見た目の印象は同じに見えるものが多く、園芸界では、既に同じ仲間として統一名称で呼んでいたものも多々ありました。また、次々分化を繰り返す中、属が二転三転した品種もあり、随分と混乱しました。
ノースポールは結局
「フランスギク属(Leucanthemumレウカンセマム)」
に分化されました。が、未だに
「Chrysanthemum」
と呼ぶ園芸家は多いです。
日本でも、ノースポールが入ってきた1960年代、日本の菊と区別するため、外来種のいくつかは「クリサンセマム」と呼ばれていたため、園芸界では今も
「ノースポール(クリサンセマム)」
などと書かれることもあります。
日本語のネット記事でも、まだキク属になっている案内がたくさんあります。
種類の認識と花言葉
花言葉のくくりは、だいたい慣習的な種類分けに準じます。
日本では、“菊”は全般的な意味ですが、西洋で“Chrysanthemum”と呼ぶと、丸いやつを連想する人が多いです。なので、西洋の“菊全般の花言葉”もこのタイプを指します。
筒状花が真ん中にある平咲きの種は、全部まとめて
- 英語圏では「デイジー」
- フランス語圏、スペイン語圏では「マーガレット」
が普通です。
花言葉もその範囲でくくられます。
中には、「ガーベラ属」「コスモス属」など、独立して扱われる種もあり、これらは花言葉も別モノです。が、黄色と白の平咲き種は、みんな一緒扱いなので、ノースポールの独自の西洋花言葉はありません。
ちなみに、日本では、細かくそれぞれに花言葉がついています。
1,デイジー:『美人』『希望』『無邪気』
2.マーガレット:『真実の愛』『恋占い』
3,フランスギク:『忍耐』『寛容』
4,シャスターデイジー:『すべてを耐え忍ぶ』
見た目はほぼ同じなんですけどね。
分類: キク科フランスギク属
学名: Leucanthemum paludosum レウカンセマム・パルドーサム
和名: 寒白菊(カンシロギク)
英名: Mini marguerite, Snow daisy
開花時期: 12~5月 冬~初夏の花
花色: 白
草丈: 15~30cm 一年草
花持ち期間: 5~7日
原産地: 地中海沿岸、北アフリカ