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ニオイスミレの花言葉/西洋のスミレは香りのハーブ

Written by すずき大和

春になると、道端やその辺のちょっとした草地にも自生しているのが見られるスミレの花は、古くからなじみ深い野の花です。スミレ属の仲間は、世界中の温暖な地域に450種ほど自生しています。

ヨーロッパや北アフリカ、西アジアなどで見られる最も一般的なスミレは、

学名:Viola odorata ビオラ・オドラータ

と呼ばれる品種です。日本など東アジアのスミレと見た目は大変よく似ています。が、香りのほとんどない日本のスミレと違い、たった一輪でもあれば、部屋中にバニラのような甘い香りが広がります。そこから

英名:Sweet violet スイート・バイオレット
和名:ニオイスミレ(匂菫)

の花名が付いています。

寒さに強い品種なので、日本でも、冬から早春の花の少ない時期に花壇などに植える園芸種として、流通しています。

西洋では他の香りの弱い品種も含めて、スミレ属の野生種全般を「Violet バイオレット」と呼んで、花言葉もみな“スミレの花言葉”でひとくくりにしています。

日本では、この強い香りの個性を重視したのか、在来種のスミレとはちょっとニュアンスの異なる花言葉を別に付けました。



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もくじ

ニオイスミレの花言葉

ニオイスミレ全般の花言葉

『高尚』
『奥ゆかしい』
『秘密の愛』
『控えた美しさ』

西洋のスミレ全般の花言葉

『modesty(謙虚)』
『faithfulness(誠実)』
『discrete(慎み深い)』(仏)
『jungfraulichkeit(バージン)』(独)
『unschuldig(純真)』(独)
『bescheidenheit(謙虚さ)』(独)
『You occupy my thoughts(あなたのことで頭がいっぱい)』(英)
(紫花)

『love(愛)』(英)
(青花)

ニオイスミレってどんな花?

西洋人にとってのスミレ

野生のニオイスミレは、大昔から地中海地方に自生していたと見られますが、紀元前320年頃には、既にギリシャなど古代文明都市で香料としての栽培が始まっていました。

香水の原料として、お菓子の香り付けとして、花は食用にもされました。ニオイスミレは、貴重なハーブだったのです。

その香りのインパクトは強く、姿が見えなくともその存在を知らせるような芳香でした。道端で雑草のようにひっそり咲いている見た目とのギャップから、自分の器量を自慢せず、控えめに謙虚に生きている人の姿に例えられ、誠実で慎ましやかな(男性好みの)理想の女性像を重ね合わせるようになりました。

日本でも、スミレは、謙虚で慎ましやかな花姿に、日本人の好む“詫びさび”志向を重ねて、雑草扱いされない敬意を払われています。が、花々の代表!というほどの認識でもなく、どちらかというと地味な印象の花と思われています。

しかし、西洋のスミレは、香りのインパクトと、ハーブとしての使い勝手の良さからか、もっとずっと格が上のイメージが持たれています。

理想の女性の花

古代ギリシャでは、アテナイ都市を象徴する花でした。

ギリシャ神話では、スミレ色の瞳の美少女に、王神ゼウスも太陽神アポロンも首ったけとなり、スミレの花は彼らの気持ちを反映したり、慰めたりするために生まれています。

西アジアでは、バラと並ぶ第1位の花でした。

中世ヨーロッパでは、

  • 「美(beauty)」を象徴するバラ
  • 「威厳(majesty)」を思わせるユリ
  • 「謙虚(modesty)」と「誠実(faithfulness)」を表すスミレ

は、理想の女性の三要素を表す三大フラワーでした。

特に「謙虚」と「誠実」は聖母マリアの象徴のようにいわれ、スミレは他の2つの花共々、聖母に捧げる花として、特別扱いをされていました。

ニオイスミレが象徴する慎み深い女性は、智慧と物事の心理を見定める目を持ち、男性にとって最も求めるべき女性といわれ、いつしか

「真実の愛」
「恋の真実」

を表す花とされました。

花言葉の由来

西洋のスミレの花言葉

ということで、西洋のスミレ全般の花言葉には、スミレの慎ましさを表現する花言葉と共に、聖母マリアへの敬意や、恋愛感情のメッセージが含まれた表現の言葉も並びます。

『modesty(謙虚)』
『faithfulness(誠実)』
『discrete(慎み深い)』(仏)
『jungfraulichkeit(バージン)』(独)
『unschuldig(純真)』(独)
『bescheidenheit(謙虚さ)』(独)
『You occupy my thoughts(あなたのことで頭がいっぱい)』(英)
(紫花)

『love(愛)』(英)
(青花)

特別な花の花言葉

日本人は、西洋のスミレの花言葉のニュアンスを、日本のスミレの花言葉と、ニオイスミレの花言葉で2分したようです。

日本のスミレは、

『謙虚』
『誠実』
『小さな幸せ』

と、控えめで慎ましやかな印象の花言葉をあてました。

一方、ニオイスミレは、ちょっと特別感や敬意を伴うニュアンスの花言葉になっています。

高貴な香り

『高尚』

これは、スイート・バイオレットの香水が、最高級品として高貴な女性に愛されていたことに由来します。かのマリー・アントワネットもスミレを原料とした香水を愛用していたとか。

香りの存在感と地味な見た目

『奥ゆかしい』
『秘密の愛』
『控えた美しさ』

茂みに隠れようとも、道端でひっそり目立たないようにしていようとも、その芳しい香りで存在を見抜かれてしまうニオイスミレは、まさに“己の器量を伏す”究極の謙遜の美徳を持つ人なわけです。

西洋のスミレの花言葉以上に、ヨイショ感が強いのは、21世紀の現代も、男尊女卑文化が社会のあちこちに残る日本らしい解釈、ともいえるのかもしれませんが・・・・

ニオイスミレの基本データ

分類: スミレ科スミレ属
学名: Viola odorata ビオラ・オドラータ
和名: 匂菫(ニオイスミレ)
別名: 西洋菫(セイヨウスミレ)
英名: Sweet violet,Violet(スミレ全般)
開花時期: 12~3月 冬~早春の花
花色: 薄紫、濃紫、ピンク、白、黄など
草丈: 10~15cm 多年草
生息地: 西アジア、ヨーロッパ、北アフリカ
原産地: 地中海沿岸地方


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筆者情報

すずき大和

花に心があったら、自分の花言葉についてどう思うだろう?と、変なことが気になる変わった子供が、成長してライターやってます。花言葉の由来をヒモ解いていくと、花より人の心が見えてきます。花言葉を添えて花を贈るなんて、日本人にはハードル高い行為ですが、まあとりあえず、のんびりウンチクを楽しんでもらえれば幸いです。