春の花の花言葉

スミレの花言葉/道端にひっそり咲く姿に映る生き方の美

Written by すずき大和

スミレ科スミレ属の花の仲間は、世界中の温帯地域に広く分布している多年草です。世界各地で約450種が自生しています。19世紀にヨーロッパで開発された園芸種「パンジー」の仲間を除く品種を総合して

和名「スミレ(菫)」
英名「Violet バイオレット」

と呼んでいます。フランス語、ドイツ語など欧州の多くの言語でも、だいたいスミレとパンジーは別の名称で呼び分けられ、スミレの花名はそのまま「スミレ色」という色名になっています。

ただ、花言葉に関しては、スミレとパンジーは被る部分も多いです。また、東アジアと地中海地方のスミレでは、主に繁殖する種が異なり、日本では、パンジーと日本のスミレと西洋のスミレの3つに花言葉が分けてあります。



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もくじ

スミレの花言葉

スミレ全般の花言葉

『謙虚』
『誠実』
『小さな幸せ』

西洋の花言葉

『modesty(謙虚)』(英)
『faithfulness(誠実)』(英)
『discrète(慎み深い)』(仏)
『jungfräulichkeit(バージン)』(独)
『unschuldig(純真)』(独)
『bescheidenheit(謙虚さ)』(独)

紫花の花言葉

『貞節』
『愛』
『You occupy my thoughts(あなたのことで頭がいっぱい)』(英)

青花の花言葉

『love(愛)』(英)
『faithfulness(誠実)』(英)

白花の花言葉

『あどけない恋』
『無邪気な恋』
『純潔』
『candor(率直)』(英)
『innocence(純潔)』(英)

黄花の花言葉

『慎ましい喜び』
『rural happiness(田園の幸福)』(英)

ピンクの花言葉

『希望』

スミレってどんな花?

日本のスミレ

スミレもパンジーのように、プランターや花壇に植えられることもありますが、日本でも西洋でも、山野や町なかの道端などに自生している“野の花”の印象が強いです。

日本は、亜種も含めて約60種のスミレが自生するスミレ大国です。一般的にスミレと呼ばれているのは、次の2品種です。

1,マンジュリカ(学名:Viola mandshurica)

和名の正式名称「スミレ(菫)」と呼ばれる、最も狭い意味でのスミレはこの花です。「スミレ色」はこの花の紫色を表します。

草丈が低めで、細長い矢尻型の先の丸い葉っぱが地面から直接出ているように見えるのが特徴です。

マンジュリカ


属名やパンジー以外のスミレ属の総称と区別が紛らわしくなるので、学者や園芸家は種小名(学名の右側)で、

「マンジュリカ」
「マンシュリカ」

と呼んでいます。

2,タチツボスミレ(学名:Viola grypoceras)

一番たくさん見られるのは、

和名「タチツボスミレ(立壺菫)」

と呼ばれている品種です。

タチツボスミレ


花色はマンジュリカより薄い紫色のものが多いです。草丈が高く伸び、まるっこいハート型の葉っぱが特徴です。

ユニークな花

スミレの花の一番の特徴は、独特の花の形です。

5枚の花弁の下の1枚が大きく、花弁の奥が後ろ側に隆起してラッパ型になっています。この後ろに飛び出た袋状の突起を「距(きょ)」といいます。花茎の先端は傘の取っ手のように曲がり、距の途中に上から付いていて、やや下向きに花がぶら下がるように咲いています。

昔の子供は、この距の部分を引っかけ合って、松葉相撲のように引っ張り合う遊びをしました。「相撲取り草」の別名が今も残っています。

スミレの花


花言葉の由来

慎ましく控えめな姿

『modesty(謙虚)』(英)
『faithfulness(誠実)』(英)
『discrète(慎み深い)』(仏)
『bescheidenheit(謙虚さ)』(独)
『謙虚』
『誠実』
『小さな幸せ』

『rural happiness(田園の幸福)』(英)
『慎ましい喜び』

『希望』

道端の足元で、少し頭を下げるように、可憐に咲く姿は、慎ましく控えめ、それでいて凛として内面の強さも感じる、というところから生まれた花言葉です。この辺の印象は、東洋も西洋も同じようです。

聖母マリアの花

『candor(率直)』(英)
『innocence(純潔)』(英)
『純潔』

『jungfräulichkeit(バージン)』(独)
『unschuldig(純真)』(独)
『貞節』

慎ましく凛としたスミレの姿は、ヨーロッパではキリスト教の聖母マリアにつながるものと捉えられています。これらの花言葉は、処女聖母のイメージに由来します。

愛の花

『You occupy my thoughts(あなたのことで頭がいっぱい)』(英)
『愛』

『love(愛)』(英)
『あどけない恋』
『無邪気な恋』

西洋で一番よく見られるのは「ニオイスミレ」という品種のスミレです。これも、タチツボスミレのようにハート型の葉っぱが出ます。このことから「愛」のメッセージを伝える花としても使われてきました。

また、ギリシャ神話では、スミレ色の瞳の美しい少女の化身とも、少女へ愛を捧げるために咲かせた花ともいわれおり、恋愛を示唆する花言葉は、そんなところからも生まれたようです。

スミレは、野の花、道端の花なのに、東洋でも西洋でも雑草といわれることはなく、趣きのある特別な花として扱われています。控えめに咲く花は他にもいろいろありますが、特に謙虚で誠実な生き方のシンボルとされるスミレは、実は人の心を捉える目に見えない強い自己主張を発しているのかもしれません。

スミレの基本データ

分類: スミレ科スミレ属
学名: Viola mandshurica ビオラ・マンジュリカ
    Viola grypoceras ビオラ・グリュポセラ
和名: 菫(スミレ)(マンジュリカ)
    立壺菫(タチツボスミレ)(グリュポセラ)
別名: 相撲取り草(スモウトリクサ)(スミレ全般)
英名: Violet(スミレ全般)
Viola(パンジーも含むスミレ属全般)
開花時期: 3~5月 春の花
花色: 紫、白、ピンク(他のスミレ属には黄もあり)
草丈: スミレ 10cm前後
    タチツボスミレ 5~30cm
花持ち期間: 7日前後
生息地: 日本、朝鮮半島、台湾、中国・ロシア東部
原産地: 東アジア


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筆者情報

すずき大和

花に心があったら、自分の花言葉についてどう思うだろう?と、変なことが気になる変わった子供が、成長してライターやってます。花言葉の由来をヒモ解いていくと、花より人の心が見えてきます。花言葉を添えて花を贈るなんて、日本人にはハードル高い行為ですが、まあとりあえず、のんびりウンチクを楽しんでもらえれば幸いです。