春の花の花言葉

スズランの花言葉/春の喜びと幸せを運んでくる純潔の花

Written by すずき大和

白い小さな丸っこい釣鐘型の花が、ひとつの茎にたくさん咲く姿が、本当に鈴のように見えるスズランの花。日本では北海道を代表する花のひとつです。

北海道以外では、本州北部の高山などでしか野生の原種は見られませんが、ヨーロッパでは、広く自生しており、本格的な春の到来の頃に見頃となるので、

「春の喜び、幸せを運んでくる花」

として多くの国で愛されています。

5月の誕生花に定めている国も多く、イギリスやフランスでは、

“5月1日は「スズランの日」”

になっていて、近しい人にスズランの花を贈る習慣があります。
贈られた人には幸せが訪れるといわれています。

西洋の花言葉には、そんな幸せのシンボルの意味が盛り込まれています。日本人が好む言葉が多いので、ほぼそのまま日本の花言葉にもなっています。



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もくじ

スズランの花言葉

スズラン全般の花言葉

『幸福の再来』
『純粋』
『純潔』
『謙遜』

西洋の花言葉

『return of happiness(幸福の再来)』(英)
『sweetness(優しさ、愛らしさ)』(英)
『humility(謙遜)』(英)
『purity(純粋)』(英)
『Tout le bonheur du monde(みんなの幸せ)』(仏)
『retour de bonheur(幸福の再来)』(仏)

スズランってどんな花?

日本には2種類のスズラン

可愛らしい姿や縁起のいい花言葉が好まれ、ガーデニングでスズランの花を植えている人もたくさんいます。日本の野生種は、低地で育てるにはちょっと手間がかかって難しいので、園芸種として出回っているのは、育てるのが楽なヨーロッパの品種です。

「ドイツスズラン」

と呼ばれている品種で、日本の野生種より少しだけ大ぶりの花を付けます。他に、

  • 日本のスズランのほうが、葉が細長く、ドイツスズランの葉はやや幅広い
  • 日本のスズランは葉の高さより低く花が付き、ドイツスズランは花が葉先より高い
  • 日本のスズランのほうが、香りが弱い

などの違いがあるといわれています。が、園芸種も育て方によって、花が低くなったり、葉が貧弱になったり、香りが弱くなったりするので、微妙な違いは見分けが難しいです。

北海道は日本のスズランが多いですが、本州以南で花壇に植えられているものは、ほぼドイツスズランです。道端や空き地に咲いていても、低地なら、野生種ではなく園芸種が増えたケースが多いです。観光用に人の手で群生させた花畑も、外来種かもしれません。

実は、花の中を見れば、簡単に見分けられます。

ドイツスズランはおしべの付け根が赤紫色です。

ドイツスズラン


日本の野生種なら中は白です。

日本スズラン


確かめる時は、下向きの花を無理にひっくり返して傷めないように注意してくださいね。

花言葉の由来

幸せを呼ぶ花

『幸福の再来』
『みんなの幸せ』

冬の日照時間が短い欧州諸国では、日が伸びて多くの命が目覚める春は、本当に明るい気持ちになる季節です。特に雪や氷が見られる冬を過ごす地方の人にとっては、暖かく穏やかな日々の到来は、心癒され、同時に心躍る季節です。

季節を象徴する花が、幸せや安らぎのシンボルになるのは自明の理ともいえます。

ただ、「5月の花」という認識がこんなに広まったのには、きっかけがありました。

16世紀、フランス国王シャルル9世が、側近から王と国の幸福を願ってスズランの花が献上されたことがありました。王様はこのプレゼントに大変感銘を受け、それ以後5月に国王から宮廷内の女性にスズランを贈ることが恒例となりました。これがスズランの日の始まりともいわれています。

聖なる花

キリスト教国では、イエスの受難(はりつけ刑)の際に、聖母マリアの流した涙がスズランの花になった、といういい伝えがあります。ここから、マリアにちなみ、

『純粋』
『純潔』
『謙遜』

という花言葉になったといわれます。

もともと、スズランには聖なるイメージがあったことも、幸せのシンボルになっていった要因でしょう。

セントレオナード

また、いくつかの国には、森を守る聖なる神の逸話が残っています。

「セントレオナール」
「守護神レオナード」

と呼ばれる神様は、純潔で若くたくましい青年でした。

ある時、森の中で恐ろしい毒竜(大蛇の場合もあり)に襲われ、3日3晩戦いました。4日目の朝、ついに毒竜を倒しましたが、レオナード自身も全身傷だらけで、倒れ込んでしまいます。すると、彼の血がしたたり落ちた場所からスズランの花が咲きました。

森の精霊たちが、レオナードの武勇を称え、その場所を聖なる場とする印に咲かせたその花は、レオナードの傷ついた心とからだを癒したといわれています。

この話からも、スズランは

癒やし
平静
幸福

を意味する花といわれるようになり、レオナードの“純潔さ”も象徴しています。

大切な人にスズランを

日本では、可愛らしい外観から、デザインとしてスズランが使われることが多くありますが、本物の花を贈ったり生けたりしたことがない人はたくさんいます。

純白の花色のイメージが強いですが、園芸種にはピンクの花もあります。

ピンクスズラン


独特の花姿は、それだけでもステキな花束になる可憐さも持ち合わせています。

春本番から初夏にかけての季節もの、縁起ものでもあるので、幸せになってほしい大切な人のプレゼントに、一度活用されてはいかがでしょう。

スズランの基本データ

分類: キジカクシ科スズラン属
学名: Convallaria majalis コンバラリア・マヤリス(ドイツスズラン)
    Convallaria keiskei コンバラリア・ケイスケイ(在来種)
和名: 鈴蘭
別名: 君影草(キミカゲソウ)、谷間の姫百合(タニマノヒメユリ)
英名: Lily of the valley
開花時期: 4月~6月 春の花
花色: 白、ピンク、赤
草丈: 15~20㎝ 多年草
花持ち期間: 3~5日
原産地: ヨーロッパ、アジア


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筆者情報

すずき大和

花に心があったら、自分の花言葉についてどう思うだろう?と、変なことが気になる変わった子供が、成長してライターやってます。花言葉の由来をヒモ解いていくと、花より人の心が見えてきます。花言葉を添えて花を贈るなんて、日本人にはハードル高い行為ですが、まあとりあえず、のんびりウンチクを楽しんでもらえれば幸いです。