夏の花の花言葉

ユウゲショウの花言葉/夜咲きでも昼咲きでも遠慮深い花

Written by すずき大和

「夕化粧(ユウゲショウ)」は、ツキミソウの仲間(アカバナ科マツヨイグサ属)の中で、濃い目のピンク色の花の咲く品種(赤花系)の正式名称です。

が、オシロイバナ科オシロイバナ属の「オシロイバナ」も、別名ユウゲショウと呼ばれています。紛らわしいので、園芸では、マツヨイグサ属のほうを

「アカバナユウゲショウ」

と呼ぶことが多いです。

マツヨイグサ属は、花色によって、品種名が呼び分けられています。

白花と薄いピンク色系統は、「月見草(ツキミソウ)」

黄花系統は、「待宵草(マツヨイグサ)」

両者は主に夜咲きの一日花なので、一般的にはまとめて

「ツキミソウ」
「Evening primrose(夕暮れの桜草)」(英)

と呼ばれています。が、赤花系のユウゲショウだけは、

  • 昼咲きが多い
  • 1日でしぼまないものもある
  • 花がツキミソウより小さい

という相違点から、別物扱いされています。



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もくじ

ユウゲショウの花言葉

ユウゲショウ全般の花言葉

『臆病』
『内気』
『柔和』
『おしゃれ』
『美徳』
『貞淑』

ユウゲショウってどんな花?

よく見ればツキミソウ

ツキミソウもマツヨイグサも、品種により多少違いますが、概ね花径2~8cmの花が咲きます。アカバナユウゲショウは、わずか1~1.5cmと、比較的小さな花ですが、よく見ると、茎や葉の形状も花そのものも、ツキミソウにそっくりです。

ツキミソウ(待宵草)

マツヨイグサ


夜咲きか?昼咲きか?

ユウゲショウ(夕化粧)の花名も、月見草や待宵草と同じく、夕方から開花する夜咲きの特徴から付けられた名称です。

が、現在日本に帰化して繁殖しているユウゲショウは、昼間も咲いており、むしろ夕暮れ前には花を閉じてしまうものも少なくありません。中には夜咲いているものも見かけますが、朝になってもツキミソウのようにしぼむことなく、昼間までずっと咲いています。

他のマツヨイグサ属と共に、江戸末期から明治にかけ、アメリカから持ち込まれました。原産地のユウゲショウは、花がもう少し大きく(花径2.5cmくらい)、夜咲きの傾向が見られましたが、日本の帰化種は、小花で昼咲きに変化してきたようです。

ヨーロッパ圏の帰化種は、まだ夜咲きの傾向も見られるようで、英語では

「Rose evening primrose(バラ色のツキミソウ)」

と呼ばれています。

イギリスでは、むしろはっきり安定した昼咲きとなっているピンクの品種(和名:ヒルザキツキミソウ)が、別物として分けられ、花名も「Pinkladies(ピンクレディ)」と呼ばれています。そして、このピンクレディとユウゲショウを合わせて、属名の「Oenothera エノテラ」と呼ぶこともあります。

ピンクレディ

ピンクレディ


夜か昼かの認識と、分類の線引きの判断は、微妙に分かれていますが、花言葉の範疇は、西洋ではマツヨイグサ属で大きく括られ、皆一緒と認識されています。

花言葉の由来

品種別の固有の花言葉

西洋では、花言葉の範疇は比較的広く、属を代表する花の花言葉が属全体を網羅している場合が多いです。ポピュラー種は、色別花言葉もありますが、亜種や近種など、細かい種類別の花言葉が見られることは珍しいです。

一方日本では、同じ属の仲間でも、花の形や咲く季節が異なると、花名も別々に区別することが多く、花言葉も細かく分かれています。国内で生まれた新種には、品種別の花言葉を付けることも、当たり前になってきています。

マツヨイグサ属も例外ではなく、日本ではヒルザキツキミソウにも、アカバナユウゲショウにも、ツキミソウとは別の花言葉が付けられています。

夜は遠慮しときます?

アカバナユウゲショウの花言葉として広く知られているのは

『臆病』

です。が、その由来についての情報はあいまいです。

ユウゲショウという名なのに、夜を待たずにしぼんでしまう、昼咲きの個体がたくさん見られるので、

“夜を怖がって、昼間で引っ込んでしまうから”

という解説をしている人もいます。

英語で日本語の花言葉情報を発信する記事では

『timidity(臆病)』

と訳されて紹介されていました。この単語は、ニュアンスとしては「shyness(内気)」とか「reserve(ゆとり、準備)」いう意味合いが含まれます。

夜咲きのツキミソウ(evening primrose)の英語の花言葉は、夜ひっそり咲く姿が奥ゆかしいと、

『mute devotion(無言の献身)』

と付けられましたが、昼咲いて夜閉じても、何やら遠慮深く振舞う姿に結び付けられてしまうのですね。

花色や姿かたちのイメージ?

他の花言葉は、案内する情報によりバラバラで、由来の説明もほとんどありませんでした。

『内気』
『柔和』

は『timidity』から発生した意味合いとも取れます。

『おしゃれ』
『美徳』
『貞淑』

は、まっすぐ立ち、葉の付け根に濃いピンクの花を付ける姿を見て、野生の野にあってシュッとした洗練された美しさを放っている、と感じた人が付けたのかもしれません。

花言葉は、命名権のような制度やルールがあるわけでもなく、いろいろな人がそれぞれの思い入れで付けているので、知らないうちにたくさん増えていることもあるし、“付けたもの勝ち”のような面もあります。

背反するような意味の複数の花言葉が付いている花については、自分のイメージに合う言葉を選んで解釈していいのではないでしょうか。

ユウゲショウの基本データ

分類: アカバナ科マツヨイグサ属
学名: Oenothera rosea エノテラ・ローゼ
和名: 夕化粧(ユウゲショウ)
別名: 赤花夕化粧(アカハナユウゲショウ)
英名: Rose evening primrose
開花時期: 5~9月 夏の花
花色: ピンク
草丈: 20~60cm 耐寒性多年草
原産地: 南北アメリカ


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筆者情報

すずき大和

花に心があったら、自分の花言葉についてどう思うだろう?と、変なことが気になる変わった子供が、成長してライターやってます。花言葉の由来をヒモ解いていくと、花より人の心が見えてきます。花言葉を添えて花を贈るなんて、日本人にはハードル高い行為ですが、まあとりあえず、のんびりウンチクを楽しんでもらえれば幸いです。