夏の花の花言葉

ツキミソウの花言葉/待てど暮せど来ぬ人を宵待草のやるせなさ

Written by すずき大和

「ツキミソウ」は、一般的には、「マツヨイグサ属」に分類される品種の白・ピンク花系と黄花系の総称です。「マツヨイグサ」と呼ぶ場合は、黄花系だけを差します。

夜咲きなので、

「月見草(ツキミソウ)」
「待宵草(マツヨイグサ)」

の和名となりました。

西洋でも

「Evening primrose(夕暮れの桜草)」(英)
「Primevère du soir(夜の桜草)」(仏)
「Teunisbloem(夕暮れの花)」(蘭)
「Nachtkerze(夜のキャンドル)」(独)

などと呼ばれています。

ドイツ語で「キャンドル」と呼ばれるのは、夜風に揺れる黄色い花を、ろうそくの灯りに見立てているからです。

西洋でも日本でもツキミソウは黄花のイメージのほうが強い人が多いです。が、花言葉は、白花の特徴に由来するものも多いです。



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もくじ

ツキミソウの花言葉

ツキミソウ全般の花言葉

『無言の愛情』
『打ち明けられない恋』
『密やかな恋』
『移り気』
『うつろな愛』
『ほのかな恋』
『美人』
『湯上り美人』

ヒルザキツキミソウの花言葉

『自由な心』
『硬く結ばれた愛』

西洋の花言葉

『mute devotion(無言の献身)』(英)
『inconstancy(心変わり、移り気)』(英)
『wisselvalligheid(心変わり、不実)』(蘭)

ツキミソウってどんな花?

ツキミソウとマツヨイグサ

ツキミソウは、夏の夕方、日が落ちると開花し、朝方にはしぼんでしまう、たった一晩の命の花です。

正式に「月見草」の和名を持つのは、

「Oenothera tetraptera エノテラ・テトラプテラ」

という品種で、夕暮れ後に白い花を咲かせます。花に含まれるアントシアニンという成分が、開花後増えだすため、朝方しぼむ頃にはピンク色に変わります。

日本で見られる夜咲きの白花のマツヨイグサ属の多くがこの月見草です。

月見草


黄色い花の品種は複数見られます。

  • 大待宵草(オオマツヨイグサ):花径6~8cm
  • 待宵草(マツヨイグサ):花径5~6cm
  • 小待宵草(コマツヨイグサ):花径3~4cm
  • 雌待宵草(メマツヨイグサ):花径2~4cm

が代表的ですが、見た目は皆よく似ています。

待宵草


アメリカ生まれのハーブ

マツヨイグサ属は、もともとアメリカ大陸原産で、日当たりの良い平地の草原や荒れ地に咲く野の花です。アメリカ先住民は、葉や花、根などをすりつぶし、傷やおできの外用薬として使っていました。

17世紀に、薬草としてイギリスに持ち込まれ、やがてヨーロッパ全土に広まり、痛み止めや咳止めなどの薬として内服される品種もありました。一時は、「王様の万能薬」ともいわれていました。

現在も、葉や花が食用にされたり、タネから取れるオイルの効能が研究されたりしています。英語やフランス語などでツキミソウを検索すると、園芸情報より食材やハーブとしての利用法や効能の案内ページのほうが多くヒットします。

花言葉の由来

人目を忍んでひっそりと夜に咲く

『mute devotion(無言の献身)』(英)

陽が落ちて暗くなり始めると咲くことから、人目を避ける奥ゆかしい印象に捉えられ、こんな花言葉が付きました。

「devotion」という単語は、“真心”“誠”のようなニュアンスがあり、日本語では、いろいろ意訳を施した花言葉になっています。

『無言の愛情』
『打ち明けられない恋』
『密やかな恋』

ひっそりたたずむ女性の姿

『美人』
『湯上り美人』

夜の静寂の中で咲き、朝にはしぼむツキミソウは、どこか儚さの漂う感じもあり、か弱く上品な女性のイメージを彷彿とさせます。

『湯上り美人』は、白花がゆっくりとピンクに染まっていく様から連想されました。

宵待草のやるせなさ

近代文学でも、ツキミソウはよく登場します。明治晩年、竹久夢二が、避暑地で女性と恋に落ち、幾度かの逢瀬を交わすものの、結ばれずにひと夏の恋で終わります。夢二は失恋の想いを「宵待草(ヨイマチグサ)」の歌にしました。後に曲が付けられ、大正時代の大ヒット曲となります。

1番の歌詞は、今の時代にも残る有名なフレーズとなっています。

“待てど暮せど来ぬ人を 宵待草のやるせなさ 今宵は月も出ぬさうな”

『うつろな愛』
『ほのかな恋』

の花言葉は、この歌から生まれました。

花色の変化は定まらぬ心

『移り気』
『inconstancy(心変わり、移り気)』(英)
『wisselvalligheid(心変わり、不実)』(蘭)

西洋の夜咲き白花の種も、朝までに色が変わります。英語もオランダ語も、「不安定性、不確実性」というニュアンスの単語を花言葉にしています。これを『心変わり、移り気、不実』と訳したのは、とてもいいセンスだと思います。

ヒルザキツキミソウ

西洋では、観賞用のツキミソウとしては、昼咲き種のピンクの花が、人気があります。英語で「Pinkladies ピンクレディ」と呼ばれるこの系統は、咲いた時からピンク色で、夜咲き種のように変色が目立ちません。

ヒルザキツキミソウ


『硬く結ばれた愛』

色が比較的安定的なせいか、夜咲きの『うつろな愛』とは正反対の花言葉が付きました。

『自由な心』

低く横に広がって繁殖していく様子が、自由のイメージにつながった、とする解説もあります。

夜咲きの花は、切り花等の贈答品になりにくいですが、明るく前向きな花言葉のヒルザキ系は、プレゼント向きです。

ツキミソウの基本データ

分類: アカバナ科マツヨイグサ属
学名: Oenothera エノテラ(属名)
和名: 月見草(ツキミソウ)、待宵草(マツヨイグサ)
別名: 宵待草(ヨイマチグサ)
英名: Evening primrose(夜咲き種)
    Pinkladies(昼咲き種)
開花時期: 6~9月 夏の花
花色: 黄色、白、ピンク
草丈: 10~80cm 常緑多年草。環境により一年草、二年草。
花持ち期間: 1日
原産地: 南北アメリカ


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筆者情報

すずき大和

花に心があったら、自分の花言葉についてどう思うだろう?と、変なことが気になる変わった子供が、成長してライターやってます。花言葉の由来をヒモ解いていくと、花より人の心が見えてきます。花言葉を添えて花を贈るなんて、日本人にはハードル高い行為ですが、まあとりあえず、のんびりウンチクを楽しんでもらえれば幸いです。