「蘭」と聞くと、カトレアやデンファレなど、大きい花・色鮮やかな花のイメージが思い浮かぶ人が多いでしょうか。通年で花屋さんの店頭で見かける「オンシジューム」は、小さな黄色い花弁に赤茶色い斑紋が入った品種がスタンダードで、あまり蘭ぽくない蘭かもしれません。
よく見ると、小さくても花は蘭独特の形をしており、上弁がきゃしゃで、下の唇弁だけが大きく広がっている、非常に特徴的な花形をしています。
とても花の日持ちが長く、日本の蒸し暑い気候にも順応しているので、花がたくさんつく品種の切り花は、全体の印象を明るく煌びやかに演出する祝賀用のフラワーアレンジメントのアクセントとして、よく使われています。
オンシジュームは、贈答品や庭を華やかに演出する名わき役として、定番の蘭です。
もくじ
オンシジュームの花言葉
オンシジューム全般の花言葉
『可憐』
『清楚』
『気立てのよさ』
『一緒に踊って』
『協調』
『蕾のままでいて』
『印象的』
『野心的な愛』
西洋(英語)の花言葉
『dance with me(一緒に踊って)』
『beautiful eyes(美しい瞳)』
『playfulness(遊び心)』
オンシジュームってどんな花?
小さな花でも華がある
日本に入ってきたのは明治時代。日本人の園芸家が、フランス留学から持ち帰りました。当時は原種に近い斑紋入りの黄花の品種しかありませんでした。同時期に入ってきた他の蘭と比べると、やはり目立たず、園芸種としての人気はイマイチでした。
やがて品種改良が進み、見栄えのいいカラフルな種が増えてくると、急劇に人気が高まり、流通量が増えました。日本の店頭でよく見られるようになったのは、平成に入ってからです。
結婚式のアレンジメントなどによく使うのは、斑紋がなく花全体が黄色一色の品種や、白花の品種が多いです。他にもオレンジや赤、ピンクなど多彩な花色や斑紋の品種が改良で生まれ、今では様々な表情の花が楽しめるようになりました。
育てやすく1年中楽しめる蘭
野生種は、中南米の低地から高地まで幅広いエリアに分布しています。それぞれの地で、多様な環境に適応した品種が育っています。花期も春咲き(4~6月)、秋咲き(9~10月)、冬咲き(12~1月)、または不定期に咲く品種まで、いろいろあるので、栽培種もほぼ1年中流通しているのです。
日本の環境にも馴染んでおり、カトレアなどに比べると育てるのにあまり手間がかかりません。そのため、切り花だけでなく、園芸種としてガーデニングでも人気があります。
近種と属間交配されたハイブリッド種も多く出回っていますが、耐寒性の強い種とのハイブリッドは更に育てやすく咲かせやすいので、初心者ガーデナーにもオススメです。
花言葉の由来
ダンシング・レディ・オーキッド
オンシジュームにはたくさんの花言葉がありますが、由来はどれも見た目の印象から生じています。
西洋では、独特の花の形を
“ドレスを着て踊る女性の姿”
に見立てました。英語の花名も、ずばり
「Dancing lady orchid ダンシング・レディ・オーキッド」
(意味:踊るレディの蘭)
といいます。
『一緒に踊って』
『dance with me(一緒に踊って)』
花言葉もそのまんまです。
『気立てのよさ』
『協調』
『蕾のままでいて』
『清楚』
『野心的な愛』
『beautiful eyes(美しい瞳)』
これらも、レディのイメージの延長から生まれた言葉です。
ひらひらと舞い飛ぶ群
オンシジュームは、英語では別名
「Butterfly orchid バタフライ・オーキッド」
(意味:蝶の蘭)」
とも呼ばれています。1本の細い茎の先に10~50輪の花がつく姿が、蝶が群れ飛んでいるように見えるので。
一方、日本では、蝶ではなく小鳥が飛んでいる姿と見たようで、和名は
「雀蘭(スズメラン)」
「群雀蘭(ムレスズメラン)」
とつけられています。
『playfulness(遊び心)』
『可憐』
『印象的』
これらの花言葉のイメージの元は、蝶や雀とも、レディの姿とも重なります。楽しげに舞い飛ぶ、または舞い踊る様子を微笑ましく見つめる視線が感じられる花言葉です。
分類: ラン科オンシジューム属
学名: Oncidium オンシジューム(属名)
和名: 雀蘭(スズメラン)
別名: 群雀蘭(ムレスズメラン)
英名: Dancing lady orchid
Butterfly orchid
Oncidium
開花時期: 周年(品種により多様)
花色: 黄、オレンジ、赤、ピンク、白など
草丈: 10~70cm 多年草
花持ち期間: 7~14日くらい
生息地: 中南米の亜熱帯~熱帯地域
原産地: 西インド諸島~南米の熱帯地域