秋の花の花言葉

サワギキョウの花言葉/日本のロベリア。外来種と混ぜないで!

Written by すずき大和

サワギキョウという花名は、あまり聞いたことがない人が多いかもしれません。

漢字で「沢桔梗」と書きます。

日本に昔からある高原の湿地植物で、山間の湿地や水辺に自生する多年草(宿根植物)です。青紫の花色と花期がキキョウと被るので、花名に“桔梗”が付きましたが、見た目はあまり似ていません。

桔梗はキキョウ属ですが、サワギキョウは同じキキョウ科のロベリア属の仲間です。ガーデニングでよく使われる園芸植物のロベリアも同じくロベリア属の一種です。

ロベリア属は世界中で400種ほどあります。品種によって、花色や花の付き方・形、花期などが異なっており、科学的な分類が進んでいなかった時代は、みな同じ属だとは認識されていませでした、原産地により花名と品種のくくりも違っていました。

サワギキョウは、野生種は東アジアにしか分布していません。いわば、日本のロベリアです。が、ヨーロッパ、アメリカ、日本それぞれに、ロベリアの仲間意識が微妙に違っています。



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もくじ

サワギキョウの花言葉

サワギキョウ全般の花言葉

『高貴』
『繊細』
『特異な才能』
『美しさに優る値打ち』
『悪意・敵意』
『乙女の魅力』

ベニバナサワギキョウの花言葉

『distinction(卓越、優秀さ)』(英)
『splendor(華麗、豪華)』(英)

サワギキョウってどんな花?

宿根ロベリア

園芸種のロベリアは、南アフリカ原産で、ヨーロッパに渡り、品種改良されて根付いたものです。春咲きで、草丈10~30cmくらいの可愛らしい一年草で、サワギキョウとは見た目はあまり似ていません。

サワギキョウは草丈が高く(1mくらいまで伸びます)、花びらの形が細長く、花の大きさも大き目です。ひとつの花径に花穂のように縦にいくつも花が付きます。花色は青・紫だけで、ロベリアのようにピンクや白はありません。

ロベリア

L.エリヌス


サワギキョウ

L.セシリフォーリア


多年草のサワギキョウは、別名

「宿根ロベリア」

と呼ばれます。

元来、日本のサワギキョウは

学名:Lobelia sessilifolia ロベリア・セシリフォーリア

という品種を指しますが、花屋さんによっては、他の原産地、他の品種も含め、多年草のロベリア属全般を「サワギキョウ(宿根ロベリア)」と紹介している場合があります。

ベニバナサワギキョウ

北アメリカ原産の宿根ロベリアの代表種は、

学名:Lobelia cardinalis ロベリア・カーディナリス

という品種です。英語名で

  • cardinal flower カーディナルフラワー
  • scarlet lobelia スカーレット・ロベリア

と呼ばれています。

スカーレットは緋色のことです。カーディナルは、キリスト教の枢機卿のことです。枢機卿の衣は昔から緋色と決まっています。

名前の通り、花色が緋色や濃いピンク色なのが特徴です。草丈は1mくらいになり、花の形や花茎にいくつも花が付くところなど、サワギキョウに見た目がよく似ているので、

ベニバナサワギキョウ

という和名が付いています。

L.カーディナリス


日本語のネット記事の中には、セシリフォーリアとカーディナリスを合わせて“サワギキョウ”と解説するものも多く、花色や原産地情報が混同しているものもあります。

が、アメリカではロベリアというと一年草の園芸種よりガーディナルフラワーのほうが馴染み深いので、両方合わせて“ロベリア”と紹介する解説が一般的です。西洋では、セシリフォーリアはアジアの別種のロベリアと認識されています。

花言葉の由来

ロベリアとカーディナルフラワーの中間?

花言葉文化はヨーロッパに始まり、明治時代以後日本にも伝わりました。西洋からの外来種の多くは花言葉ごと入ってきました。中世以前に入ってきて帰化していた花も、日本独自に花の意味や象徴性ができあがっていなかったものは、ほとんど西洋の花言葉を意訳してあります。

そして、西洋になかった固有種には、日本独自の花言葉が付けられるか、または西洋の同属の仲間の花の花言葉が転用されました。サワギキョウは東アジア固有種だったので、西洋に花言葉がなく、ロベリア属のロベリアとカーディナルフラワーの両方の花言葉が混在して意訳されたような花言葉になりました。

見た目愛らしい毒草

『悪意・敵意』
『乙女の魅力』
『繊細』

これは、ロベリアの花言葉、

『悪意』『いつも愛らしい』『貞淑』・・・

が取り込まれたと思われます。

愛らしく繊細なロベリアの花姿と、ロベリア属共通の毒性を持つ特徴を反映しています。

緋色のロベリアの花言葉

『特異な才能』
『美しさに優る値打ち』

これらは、カーディナルフラワーの花言葉

『distinction(卓越、優秀さ)』(英)
『splendor(華麗、豪華)』(英)

の解釈から生まれた花言葉と思われます。

ヨーロッパのロベリアより大きく、燃えるような緋色の花が山野にすっくと伸びている姿は、華やかでゴージャスな印象があるでしょう。

また、カーディナルフラワーは、長い茎のために倒れやすいのですが、風雨や動物に倒されても倒されても、また花をもたげて起き上がってくる強さがあります。緋色のインパクトと共に、その根性っぷりが、飛びぬけて力強い植物に感じられ、卓越的な意味の花言葉となったと思われます。

元来のサワギキョウは、地味な紫色の花です。品があって繊細な感じはしますが、あまり可愛いとか卓越した強さの印象ではないんですけどね。

サワギキョウの基本データ

分類: キキョウ科ミゾカクシ属
学名: Lobelia sessilifolia ロベリア・セシリフォーリア
和名: 沢桔梗
別名: 宿根ロベリア
花色: 青、青紫
草丈: 60cm~1m。多年草
開花期間: 8~9月 初秋の花
原産地: 東アジア


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筆者情報

すずき大和

花に心があったら、自分の花言葉についてどう思うだろう?と、変なことが気になる変わった子供が、成長してライターやってます。花言葉の由来をヒモ解いていくと、花より人の心が見えてきます。花言葉を添えて花を贈るなんて、日本人にはハードル高い行為ですが、まあとりあえず、のんびりウンチクを楽しんでもらえれば幸いです。