春の花の花言葉

梅の花言葉/日本は天神様の花、世界では中国人の好きな花

Written by すずき大和

花名は、どこの国でも見た目の違いが区別の線引きとなります。が、どのくらいの範囲までひとくくりにするかは、国柄によってちょっと違うこともあります。

西洋では学名の分類の「○○属」の仲間が花名の範疇となるケースが多く、花言葉の守備範囲も、だいたい属ごとに分かれています。
が、日本では更に品種ごとに細かく花言葉が付くケースや、同じ属でも品種によって花名も別、一般認識も別の花、という例がよく見られます。

梅は、バラ科サクラ属の中の更に分かれたスモモ亜属の花木です。

  • 梅(Japanese apricot)
  • スモモ(Japanese plum)
  • アンズ(Apricot)
  • プルーン(Prune)

これらはみんなスモモ亜属です。花も似ているので、西洋ではひとつにまとめられそうですが、意外とみな別物として認識されています。なぜなら、これらは花を観賞するだけでなく、果実を食用にしている作物の側面も大きいからです。果実は、風味や食べ方がそれぞれかなり違います。カッコ内の英名は、果実の名称です。

花については、東アジア原産種である梅とスモモは「プラム(Plum)」とひとくくりです。が、実と区別して「Plum blossom」と呼ばれる花は、一般的には梅の花を指し、花言葉も梅のイメージに由来しています。



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もくじ

梅の花言葉

梅全般の花言葉

『高潔』
『忠実』
『忍耐』

色別の花言葉

赤花の花言葉

『忠誠』

白花の花言葉

『気品』
『厳かな美』

ピンクの花言葉

『清らかさ』

西洋の花言葉

『Kep your promise(約束を守る)』(英)
『fidelity(忠実)』(英)
『beauty and longevity(美と長寿)』(英)
『Tenez vos promesses(約束を守る)』(仏)

中国の花言葉

『忍耐』

花言葉の由来

梅の花言葉は東洋発

梅は中国原産の落葉樹です。

日本には、奈良時代に生薬として伝わりましたが、観賞用の花木としても好まれ、平安時代には園芸種として広まっていました。江戸時代に改良が進み、多くの品種が生まれました。

西洋に根付いているスモモ亜属は、アンズとプルーンです。アンズの花は観賞用としても愛されてきました、プルーンは基本的に作物です。

梅とスモモの食文化は、近代、日本から英語圏に伝わりました。一方で、シルクロード経由で伝わった中国文化の一面として、西洋では、古くから画題として多く描かれていた梅の花を、中国人は特別に好んでいることが知られていました。

日本の花のイメージが桜であるように、西洋人の中国のイメージは梅です。

日本の花言葉は、花言葉文化の発祥した西洋のものの意訳や発展形が多いのですが、梅に関しては、中国と日本の花のイメージが、西洋での花言葉になったようです。

極寒に咲く健気な姿

まだ寒さ厳しい早春の季節に咲く梅は、東洋では春を告げるおめでたい花です。小さな花は控えめですが、どんなに寒くても他の花に先駆けて咲き、凛として上を向いている姿は、強さと謙虚さを象徴している、と東アジアの文化では捉えられています。

『忍耐』
『高潔』
『清らかさ』

『気品』
『厳かな美』

これらの花言葉は、寒さにじっと耐えて寡黙に咲く姿に由来します。

中国人と梅

中国では、古代に長い戦乱の世を経て広域を統一し、近代以降の激動の時代も乗り越えた歴史を生きた民は、悪辣な環境下でも決して弱音を吐かず、困難を乗り越える強さがあると自負する国民気質があります。また、婉曲的にものごとを伝える慣習は、謙虚な国民性だと捉えられています。

中国人にとって梅の花は、まさに自ら(漢民族)を表す花といえます。それゆえ、中国や台湾で長く愛されているのです。

西洋の花言葉の明確な由来は、よくわかりませんが、中国人の梅の花のイメージが反映されているのではないか、という解説はいくつか見られます。

『beauty and longevity(美と長寿)』

は、凛とした美しさと長い歴史の中国のイメージでしょうか。

『Kep your promise(約束を守る)』(英)
『Tenez vos promesses(約束を守る)』(仏)

これは、どんなに厳しい冬であっても、約束したように、必ず春を告げにやってくる、梅の花の律義な様子をいっているのかもしれません。

飛梅伝説

日本の花言葉も、間違いなく東洋の花のイメージが映し出されています。ただ、

『忠実』
『忠誠』

の花言葉については、春を告げる約束を守る健気さに由来、と解釈もできそうですが、国内で広く流布している由来は、「飛梅伝説がもと」という説が主流です。

飛梅伝説は、大宰府天満宮のご神木の白梅にまつわる逸話です。

全国の天神様の総本山である九州福岡の大宰府天満宮は、学問の神様と崇められている平安時代の貴族、菅原道真が祀られている神社です。

“道真は、京で帝に仕えていましたが、権力争いに負けて九州へ左遷されます。平安京の自宅の庭木をこよなく愛していた道真は、桜と松と梅との別れを惜しみ和歌を残します。

「東風吹かば にほひをこせよ 梅の花 主なしとて 春なわすれそ」

現代語にするとこんな感じです。

“梅よ、主人がいなくなっても、春がきたら忘れずに芳しい花を咲かせておくれ”

庭木にも主人の気持ちが通じました。

桜は別れの悲しみに打ちひしがれて枯れてしまいます。

松と梅は空を飛んで主人の後を追いました。松は途中で力つきますが、梅は大宰府までたどり着き、以後主人の生涯に寄り添いました。”

そして、梅の忠義の心が花言葉になったということです。

英語の花言葉の

『fidelity(忠実)』

も、もしかしたら、日本の花言葉の影響かもしれません。

梅の基本データ

分類: バラ科サクラ属
学名: Prunus mume プラヌス・ムメ
和名: 梅
別名: 好文木(コウブンボク)、
春告草(ハルツゲグサ)、
木の花(コノハナ)、
初名草(ハツナグサ)、
香散見草(カザミグサ)、
風待草(カゼマチグサ)、
匂草(ニオイグサ)など
英名: Japanese apricot,(果実)
Plum blossom(花)
開花時期: 1月~3月 早春の花
花色: 赤、白、ピンク
樹高: 5~10m 落葉中高木 
花持ち期間: 3~7日
原産地: 中国


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筆者情報

すずき大和

花に心があったら、自分の花言葉についてどう思うだろう?と、変なことが気になる変わった子供が、成長してライターやってます。花言葉の由来をヒモ解いていくと、花より人の心が見えてきます。花言葉を添えて花を贈るなんて、日本人にはハードル高い行為ですが、まあとりあえず、のんびりウンチクを楽しんでもらえれば幸いです。