と、思った皆さん、そうなんです。写真は美味しそうな「ヘーゼルナッツ」です。
これ、「セイヨウハシバミ(英名Common Hazel)」の実の殻を剥いた中身です。
今回は、
「ハシバミ(Hazel:ヘーゼル)」の花言葉のお話です。
多くの日本人はハシバミの花を知らないので、わかりやすく実の写真にしてみました。
ハシバミ属は、北半球の温帯全域に広く自生していますが、最後の氷河期以後、ヨーロッパ北部に分布拡大した最初の低木といわれています。太古の地層を調べると、他の木の花粉粒全部より、ハシバミの花粉粒のほうがたくさん見つかっています。
そんなハシバミは、先史時代から世界中で木材や食材にされ、更に呪術や御守など、スピリチュアルな場面でも広く利用されてきました。神話や伝説にも良く出てくる植物です。
人類最古の“生活の友”であるハシバミの花言葉は、西洋全域でだいたい共通しています。
花言葉というのは、由来が同じでも国(言語)によって言葉の表現は微妙に違ってくることも多いのですが、ハシバミについては、どの国でも全く同じ単語になっています。日本もそこに準じており、ほぼ世界共通の花言葉を持った花です。
もくじ
ハシバミの花言葉
ハシバミ全般の花言葉
『仲直り』
『和解』
『調和』
『一致』
『正義』
『賢明』
『平和』
『知恵』
西洋の花言葉
『Reconciliation(仲直り)』(英)
『Réconciliation(仲直り)』(仏)
『Verzoening(仲直り)』(蘭)
『Riconciliazione(仲直り)』(伊)
『Reconciliación(仲直り)』(西)
『Försoning(仲直り)』(スウェーデン)
ハシバミってどんな花?
季節によって変化する外見
まずは、ハシバミの花がどんなものか見てみましょう。
これは、日本原産のハシバミ(Asian Hazel:アジアン・ヘーゼル)です。
ハシバミは、春先、葉が出るより先にまず花が咲きます。縦にぶら下がるバナナのような黄色いものが雄花の花穂です。
同じ木に雌花も咲きます。雌花は花びらがなく、赤い花柱が芽からはみ出るように咲いています。
受粉後、花が終わると大きな葉がたくさん出てきて、夏はこんな感じになります。
やがて葉の付け根に大きな実ができます。
秋には美しく紅葉し、実は茶色く色付きます。
アジアン・ヘーゼルの実も、日本や中国では昔から食用にされてきました。中国では今も年間2.5tが生産されていますが、ヘーゼルナッツの世界流通量に比べると、微量です。
殻を剥く前のハシバミの実はこんな感じ。どんぐりみたいですね。
花言葉の由来
スピリチュアルパワーの木
ハシバミの幹や枝は、様々な民族が日常生活の様々な道具として活用してきましたが、身近に使い込むうち、だんだん
- 魔除けの御守
- 豊穣のおまじない
など、スピリチュアルパワーが宿るといわれるようになっていました。
ケルト人の神話では森の聖木であり、英知の象徴でもありました。
- 知恵
- 霊感
- 予見
によって、隠れたものを見つける力があるとされ、古代社会ではハシバミの枝をダウジングに使っていました。
『知恵』
の花言葉は、そんなところに由来しています。
ケリュケイオンの杖
ギリシャ神話では、太陽神アポロンが、神秘パワーのハシバミの木で作った「ケリュケイオンの杖」を持っていました。
異母兄弟の弟ヘルメスは、泥棒と嘘の才能を持って生まれました。赤ん坊のヘルメスは偽装工作を施してアポロンの牛を盗み、激怒したアポロンは弟を父神ゼウスの前に引き立てます。父に嘘を見破られたヘルメスは牛を返しますが、アポロンの怒りは収まりません。
しかし、ヘルメスが奏でた竪琴と葦笛をアポロンが気に入ったため、これらのものとアポロンのケリュケイオンの杖を交換して、ようやく仲直りとなりました。
この話から、ハシバミの花言葉
『仲直り』
は生まれました。
対立を和解する手打ち
『仲直り』
と直訳できる各国の言葉は、堅い文章の時などは、
『和解』
『調和』
『一致(合意)』
などと訳されます。アポロンとヘルメスのように、
“対立していた両者が、うまく折り合いをつけて手を打つこと”
を意味しています。
『正義』
『賢明』
『平和』
これらの日本の花言葉も、その辺の意味から拡大解釈したものです。
はしばみいろのひとみ
ヘーゼルカラー
英語圏では、「ヘーゼル」は瞳の色を表す色名でもあります。
かつてシェークスピアが「ロミオとジュリエット」の中で
「hazel eyes」
という表現をしたことに由来します。
ヘーゼルナッツの殻の光沢を帯びた色合いといわれますが、こんな感じの淡褐色(グリーンがかった茶色)の虹彩がヘーゼルアイです。
近代、英語圏の文化がたくさん入ってきた時、日本ではこれを
「榛色(ハシバミイロ)の瞳」
と訳しました。榛はハシバミの中国語表記です。
近代の日本文学では、しばしばこの表現が使われています。浪漫の時代を思わせる洒落た響きですが、最近はあまり聞かなくなりました。
分類: カバノキ科ハシバミ属
学名: Corylus コルリス(属名)
和名: 榛(ハシバミ)
英名: Hazel
開花時期: 3月~4月 春の花
花色: 黄、ベージュ、ピンクなど
樹高: 1~2m 落葉低木
原産地: 北半球温帯地域