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カモミールの花言葉/同じ香・違う味と効能、ふたつのカモミール

Written by すずき大和

カモミールと聞くと、多くの人は

「カモミールティー」

を連想するでしょう。

日本では、花を乾燥させたハーブティーの代表のように認識されています。リンゴのようなフルーティーな香りに癒やされるところが、特に女性から人気を集めるハーブですが、中には苦手な人もいるようです。

NGの人に聞くと、

「あの苦味がどうも・・・」

という意見が多いです。

が、一方で

「カモミールティーって、全然苦くなんかないけど」

という人もいます。

実はカモミールと呼ばれる植物は複数存在し、ハーブティーには、苦いのと苦くないの、2種類のカモミールが使われています。

ふたつは違う品種ですが、見た目と香りがそっくりです。西洋でも日本でも、まとめて「カモミール」と呼ばれ、同じ花としてくくられ、花言葉も一緒になっています。



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もくじ

カモミールの花言葉

カモミール全般の花言葉

『逆境に耐える』
『逆境で生まれる力』
『あなたを癒す』
『清楚』

西洋の花言葉

『patience in adversity(逆境に耐える)』(英)
『energy in adversity(逆境で生まれる力)』(英)
『Ik bewonder uw moed(あなたの勇気に感心する)』(蘭)
『Niet wanhopen(絶望しないで)』(蘭)
『constancia(恒常性)』(西)
『attachement affectueux(優しさのアタッチメント)』(仏)

カモミールってどんな花?

4000年の歴史のある民間薬

ヨーロッパから西アジア原産といわれているカモミールは、4000年以上前から、鎮静、安眠、発汗や抗炎症効果をもたらす薬草として栽培されてきました。乾燥させて、ハーブティーや入浴剤に、精油を取ってアロマテラピーに・・・と、重宝された植物でした。

カモミールはまた、近くに植えられている他種の草木の健康な育成を助ける働きを持つ植物(コンパニオンプランツ)でもあります。花壇の花や農産物の害虫予防、病気予防に効果があり、庭や畑に他の植物と一緒に植えられてきました。

中世ルネッサンスの時代には、玄関マットのように床に撒く「ストローイングハーブ」という使い方が流行りました。部屋に入ってくる人が草を踏むたびに、芳香成分が部屋中に拡散し、リラックス効果をもたらすと共に、ペストなどの伝染病を防ぐための消毒や虫よけになると考えられたのです。

消炎効果と鎮静効果

ハーブとして使われるカモミールは、同じキク科の中の異なる属の2品種です。

学名「マトリカリア・レキュティータ Matricaria recutita」

ジャーマンカモミール


学名「カマエメロム・ノビル Chamaemelum nobile」

ローマンカモミール


英語では、

  • マトリカリア属のほうを「ジャーマンカモミール」
  • カマエメロム属のほうを「ローマンカモミール」

と呼んでいます。

どちらの属も、近種がたくさんあり、「○○○カモミール」と呼ばれる見た目も似た品種も他にいくつかあります。が、ハーブとして利用されているのはこの2種です。

ジャーマンカモミール

小さな花の真ん中の黄色いところが立体的に突き出ているのがジャーマンカモミール。花部分が香ります。花だけ乾燥させたハーブティーは、爽やかな味がします。

「アズレン」という抗炎症作用のある成分が多く、虫刺されや肌あれにも効果的で、熱病や婦人病の薬としても使われてきました。

ローマンカモミール

平らに咲く大きめの花のローマンカモミールは、草丈がやや低いです。こちらは茎も葉も全体から香りを放ち、全草をお茶にするのでちょっと苦味があります。

「エステル」という鎮静作用成分が豊富で、ハーブティーや入浴剤として、心身のリラックスや不眠解消のために利用されてきました。

日本では、ハーブティーの多くは、鎮静効果の高いローマンタイプが使われているので、「苦い」という感想が多いのです。ジャーマンタイプのほうが美味しいですが、生薬として使ったり、観賞用・コンパニオンプランツとして園芸栽培されることが多いです。

花言葉の由来

踏まれるほどに育つ

『patience in adversity(逆境に耐える)』(英)
『energy in adversity(逆境で生まれる力)』(英)
『Ik bewonder uw moed(あなたの勇気に感心する)』(蘭)
『Niet wanhopen(絶望しないで)』(蘭)
『constancia(恒常性)』(西)

カモミールは地面を這うように広がって育つため、グラスカバーとしても植えられます。とても生命力が強く、踏まれても枯れずに丈夫に育ちます。

シェイクスピア作「ヘンリー四世」の中に、

「カモミールは踏まれれば踏まれるほど良く育つが、人の青春は、浪費すればするほど早く枯れ果てる。」

という有名な台詞もあります。

西洋でも日本でも、そんな“ど根性植物”っぷりをアピールする花言葉が付いています。

癒しの植物

『あなたを癒す』
『清楚』

『attachement affectueux(優しさのアタッチメント)』(仏)

これらは、安眠導入やコンパニオンプランツとして使われるカモミールの癒し効果から生まれた花言葉です。

癒しとリラックスをもたらすカモミールティー、

  • のどの痛みや微熱がある時は抗炎症作用の強い苦くないお茶を
  • 気持ちを落ち着けてよく眠りたい時はちょっと苦いほうのお茶を

上手に効能を使い分けられるようになると、あなたはもう「ハーブの達人」ですね。

カモミールの基本データ

分類: キク科シカギク属(ジャーマンカモミール)
    キク科ローマカミツレ属(ローマンカモミール)
学名: Matricaria recutita マトリカリア・レキュティータ(ジャーマン)
    Chamaemelum nobile カマエメロム・ノビル(ローマン)
和名: 加密列(カミツレ)
英名: Chamomile,German chamomile,Roman chamomile
開花時期: 3~5月(ジャーマン) 春の花、
 6~7月(ローマン) 夏の花
花色: 白、黄
草丈: 30~90cm 多年草
花持ち期間: 4~5日
原産地: ヨーロッパ、西アジア


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筆者情報

すずき大和

花に心があったら、自分の花言葉についてどう思うだろう?と、変なことが気になる変わった子供が、成長してライターやってます。花言葉の由来をヒモ解いていくと、花より人の心が見えてきます。花言葉を添えて花を贈るなんて、日本人にはハードル高い行為ですが、まあとりあえず、のんびりウンチクを楽しんでもらえれば幸いです。