夏の花の花言葉

ニセアカシアの花言葉/愛される偽物!?でも要注意浸食種!

Written by すずき大和

日本の流行歌には、しばしば「アカシアの花」が出てきます。

スタンダードなところでは、北原白秋の詩に曲をつけたあの童謡・・・

この道は いつか来た道
あぁ さうだよ あかしやの花が咲いてる

「アカシアの雨が止むとき」なんていう昭和のヒット曲もあました。21世紀には、松任谷由実がアルバム「acacia」を出し、レミオロメンも「アカシア」という曲を歌っています。最近はアイカツスターズの歌う歌詞にもアカシアが出てきます。

青葉の季節に香りの良い白い花の咲くアカシアは、それくらい身近な樹です。

海岸の砂防林や市街地の並木道「アカシア通り」は日本中にたくさんあります。野生化して繁殖した雑木林もあります。日本の養蜂で生産されるハチミツの4割以上はアカシアハチミツです。

が、しかし・・・・こんなに日本人に親しまれているアカシアの樹は、実はアカシアではありません。

「ニセ(偽)アカシア」

という俗名の、アカシア属でもない、花の形も似ていない、全く別種の樹です。



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もくじ

ニセアカシアの花言葉

ニセアカシア全般の花言葉

『慕情』
『親睦』
『友情』
『優雅』
『頼られる人』
『死に勝る愛情』

西洋の花言葉

『elegance(優雅)』(英)
『affection beyond the grave(死に勝る愛情)』(英)
『amours platoniques(プラトニックな愛)』(仏)

ニセアカシアってどんな花?

本物とモドキ

マメ科アカシア属の代表種「フサアカシア」は、日本でもヨーロッパでも、

「Mimosa ミモザ」

と呼ばれています。ミモザサラダのミモザです。卵のトッピングのように、小さなポンポンのような黄色の花が枝先に固まって、こんもりふんわり咲きます。

ミモザ葉っぱと花


タイトル写真のニセアカシアの花とは全然違いますね。

ニセアカシアが、原産国アメリカから最初にヨーロッパに持ち込まれた時、ミモザと葉の形が似ていたので、

「faux-acacia」(仏)
「false acacia」(英)

と呼ばれました。どちらも「アカシアもどき」「偽アカシア」の意味です。学名の種小名「pseudoacacia プシュドアケシア」はラテン語の「アカシアもどき」です。

アカシアなのにアカシアじゃない

ニセアカシアの葉は、こんな感じです。ミモザのほうは小さな細い葉がたくさん並んでいるので、それほど似ている感じはしませんが、高木を遠めに見上げると似ているのかもしれません。

ニセアカシア葉


日本には、明治初期、わずかに早くニセが伝わったので、そちらが先に「アカシア」として広まってしまいました。直後に本物のフサアカシアが入ってきましたが、こちらは「ミモザ」の名で広まったので、ニセアカシアの呼び名はそのまま「アカシア」で定着してしまったのです。

花言葉の由来

お役立ち植物として歓迎され渡来

ニセアカシアは、とても繁殖力が強い樹です。荒れた土地でも根付き、乾燥や病虫害にも強く、物凄い速さで成長するため、海岸近くの防風林、砂防林として利用するために、1873年に輸入されました。

『頼られる人』

はそんな災害防止力の頼もしさを表した言葉です。

禿山や荒れ地の緑化にも多く利用され、良質な薪材や炭の原料にもなりました。白い花穂が美しいと、街路樹にもなりました。貴重な蜜源にもなった花は、てんぷらにして食べることもできます。

その実態は・・・怖いやつ!?

そんなにお役立ち植物である一方、あまりに繁殖力が強すぎて、問題も発生しました。根っこに窒素分を蓄える性質があるので、窒素を好む雑草やつる性植物を伴って繁殖する傾向がありました。同時に他の植物の生育を妨げる化学作用も働くため、野生化すると従来の生態系を壊してしまうのです。

在来種の松林や柳が減少し、自然の景観が一変した所もありました。

現在は、欧州でも原産国アメリカでも浸食植物として扱われています。日本では、重要な蜜源であるため全部駆除対象ではありませんが、「要注意外来生物」に指定され、所により伐採されています。

『elegance(優雅)』(英)

これは、美しい花姿を愛でた表現です。愛おしい魅力も感じながら、伸びた根から発芽する力が強く、伐採しても駆除が困難な浸食種であるため、

『affection beyond the grave(死に勝る愛情)』(英)

という花言葉が生まれました。

墓をも超越する慈愛の心

「beyond the grave」は、直訳すると“墓を超えて”ですが、死後も永遠に途切れない強い信念や繋がりを表現する時に使われる慣用句です。

「affection」は、loveよりも恋愛ニュアンスが弱く、人間愛や心の絆、情感という意味合いの強い単語です。

『慕情』
『親睦』
『友情』

日本語のこれらの花言葉は“恒久的な強い慈愛の情”をイメージした意訳と思われます。

イナゴとアカシア

浸食植物のイメージから、英語ではニセアカシアを大群で畑を滅ぼしてしまう昆虫の名で

「locust tree(イナゴの木)」

と呼ぶのが一般的です。「false acacia(ニセアカシア)」のほうがマイナーです。

が、フランスでは本物のアカシアの呼び名はミモザが一般的で、日本と同じくアカシアと聞くとニセアカシア(faux-acacia)を連想します。

『amours platoniques(プラトニックな愛)』(仏)

は、英語のアカシアの花言葉『secret love(秘密の恋)』からきています。

『友情』『親睦』も、もしかしたら、こっちの意味合いから生まれたのかもしれません。

ニセアカシアの基本データ

分類: マメ科ハリエンジュ属
学名: Robinia pseudoacacia ロビニア・プシュドアケシア
和名: 針槐(ハリエンジュ)
別名: ニセアカシア、ハゲシバリ
英名: Locust tree
開花時期: 5~6月 初夏の花
花色: 白、ピンク、薄紅色
花持ち期間: 7~10日
樹高: 15~25m 落葉高木
原産地: 北アメリカ


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筆者情報

すずき大和

花に心があったら、自分の花言葉についてどう思うだろう?と、変なことが気になる変わった子供が、成長してライターやってます。花言葉の由来をヒモ解いていくと、花より人の心が見えてきます。花言葉を添えて花を贈るなんて、日本人にはハードル高い行為ですが、まあとりあえず、のんびりウンチクを楽しんでもらえれば幸いです。