冬の花の花言葉

ハボタンの花言葉/日本の古典園芸観葉植物につけられた葉言葉

Written by すずき大和

90年代のガーデニングブームを機に、冬場の花壇を賑わせる色とりどりの花の種類が大幅に増えました。最近は、ビオラやプリムラ、ベゴニアなどが定番ですが、かつてはカラフルなキャベツのようなハボタンが、公園や学校の花壇の冬の風物詩のようになっていた時代もありました。

ハボタンは、青汁の原料で有名な野菜のケールから改良されました。オランダから、赤や白の葉物野菜として江戸時代に伝わりました。が、冬場の園芸植物が少なかった日本では、観賞用にどんどん品種改良が進められ、様々な葉の色や形の品種が次々生まれていきました。

ハボタンは、江戸時代に日本で開発が進んだ古典園芸観葉植物です。近代になり、西洋が逆輸入する形で、海外にも広がっていきました。

春になると、花茎が伸びてきて、放っておくと黄色い小さな花が咲きますが、そうなる前に花壇のハボタンはたいてい植え替えられてしまいます。日本では、ハボタンにも花言葉がついていますが、それは春先の花ではなく、冬場の観葉植物としてのハボタンにつけられた、いわば「葉言葉」となっています。

もくじ

ハボタンの花言葉

ハボタン全般の花言葉

『祝福』
『慈愛』
『愛を包む』
『物事に動じない』
『利益』

西洋のキャベツの花言葉

『profit(利益)』(英)
『profit(利益)』(仏)

ハボタンてどんな花?

一応、花はこんなです

葉物野菜は、葉っぱの食べごろを過ぎると、花茎が高く伸び、先端に花を咲かせます。そうなると、葉っぱのほうは硬く、大味になってしまって商品価値がなくなります。

花茎が伸びてきてしまうことを農家の人は

「薹(とう)が立つ」

と表現します。

もともとケール(丸く玉にならないキャベツのような野菜)の改良種なので、ハボタンについても、花が咲くまで成長してしまう(大ききものは1mくらいになります)と、「薹が立っている」といわれ、あまり美しくないと判断されることが多いようです。

ハボタン花


ハボタン花アップ


葉のタイプは多彩

日本で出回っている人気種は主に4タイプです。

1,東京丸葉系

お江戸で開発された最も古い園芸種です。キャベツのような丸い葉です。

ハボタン東京系


2,ちりめん系

明治時代に名古屋で開発されました。

ハボタン縮緬


3,大阪丸葉系

戦後、東京と名古屋の品種を掛け合わせて大阪で作られました。波打った丸葉です。

ハボタン大阪系


4,サンゴ系

葉に切れ込みが入っています。ロシアで最初に開発されました。日本でも1977年に「切れ葉系」として開発に成功しています。

ハボタン切れ葉


日本の開発種は、他にも、葉に光沢のあるものや、芽キャベツと交配して小さめの鉢植えにされるものなど、世界屈指の多様な系統が揃っています。

花言葉の由来

お正月時期に飾られた紅白の飾り

『祝福』

江戸時代から戦前は、白と赤紫のハボタンは、紅白のおめでたい取り合わせとして、お正月飾りの定番でした。新春のおめでたい様子から付いた花言葉です。

包み込まれる幸せ

『慈愛』
『愛を包む』
『物事に動じない』

何重にも巻く葉に包み込まれ、地面にどっかりと腰をすえたような安定感ある佇まいから、安心できる優しいイメージになったようです。

西洋ではキャベツの仲間扱い

『利益』
『profit(利益)』(英)
『profit(利益)』(仏)

これらは、キャベツの花言葉からきています。

アブラナ科アブラナ属の「Brassica oleracea ブラシカ・オレラシア」という品種の中には、ブロッコリーやカリフラワー、ケールなどの仲間の食べられる野菜がたくさんあります。もともと西洋ではハボタンも食用に開発され、現在も葉物野菜として作物栽培されている品種もあります。

西洋では、

「赤ちゃんはキャベツから生まれる」

といういい伝えがあり、野菜ですが、キャベツには花言葉があります。中に、とてもすてきな授かりものが入っているので、『利益』の花言葉になったといわれています。

また、日本では、もうひとつ、三国志の諸葛孔明(しょかつこうめい)が、戦場でキャベツを栽培して兵士の食糧にした、という話から、『利益』になった、という説もあります。ただ、中国語でキャベツの花言葉を見つけることはできません。

ハボタンは食べられるのか?

食べられなくないですが・・・・

もともと食用だったので、改良後も食べて害になるものにはなっていません。ただ、観賞用に特化して開発されてきたので、味や食感は、おせじにも美味しいというものではないようです。まあ、もともと「青汁味」の野菜なので、独特の苦みは好き好きわかれそうです。

また、観賞用栽培種は、食用に向かない農薬が使われている場合もあるので、くれぐれも、その辺の花壇などに植わっているハボタンを取ってきて食べたりはしないでくださいね。

ハボタンの基本データ

分類: アブラナ科アブラナ属
学名: Brassica oleracea var. acephala f. tricolor
 ブラシカ・オレラセア
和名: 葉牡丹(ハボタン)
別名: 牡丹菜(ボタンナ)
阿蘭陀菜(オランダナ)
花キャベツ
英名: Flowering kale,Ornamental kale,Ornamental cabbage
開花時期: 葉の見頃 11~3月、開花 3~5月 冬の観葉植物
花色: 葉は白、紫、赤、ピンク、緑など。花は黄色
草丈: 5~100cm 多年草
原産地: ヨーロッパ


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筆者情報

すずき大和

花に心があったら、自分の花言葉についてどう思うだろう?と、変なことが気になる変わった子供が、成長してライターやってます。花言葉の由来をヒモ解いていくと、花より人の心が見えてきます。花言葉を添えて花を贈るなんて、日本人にはハードル高い行為ですが、まあとりあえず、のんびりウンチクを楽しんでもらえれば幸いです。