夏の花の花言葉

ノコギリソウの花言葉/戦士アキレスから名をもらった英雄の花

Written by すずき大和

和名が「ノコギリソウ」
英名が「ヤロウ(Yarrow)」

と、聞くと、なんだかワイルドな男性のようなイメージが沸きそうですが、細い茎の先端に小さな花がパラシュートのように固まって咲く、エレガントなビジュアルの愛らしい花です。

和名は、小さな葉っぱがずらっと並んでいる様子が、ノコギリの歯のように見えることから付きました。

ちなみに、ヨーロッパ原産種のセイヨウノコギリソウの品種名「Achillea millefolium(アキレア・ミルフォリウム)」の「millefolium」も、ラテン語の“千の葉”の意味があり、びっしり並んだ葉の様子を表しています。

ノコギリソウ属の学名「アキレア(Achillea)」は、アキレス腱で有名な、ギリシャ神話に出てくる半神半人の戦士「アキレス」の伝説に由来して名付けられました。

花言葉も、英雄アキレスのイメージから生まれた言葉が並んでいます。



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もくじ

ノコギリソウの花言葉

ノコギリソウ全般の花言葉

『戦い』
『勇敢』
『治癒』
『指導』
『心の傷』
『悲嘆を慰める』
『真心を持って』

西洋の花言葉

『war(戦い)』(英)
『Health(健康)』(英)
『Healing(治癒)』(英)
『Guerre(戦い)』(仏)
『Vaillance(勇気)』(仏)
『Heilung(治癒)』(独)
『Oorlog(戦い)』(蘭)

ノコギリソウってどんな花?

ノコギリソウとセイヨウノコギリソウ

ノコギリソウ属の仲間は、古代から、北半球の温帯から寒帯にかけて広く分布しており、日本にも複数の在来種が、本州から北方領土にかけて自生しています。明治に渡来した外来種の一部も帰化しています。

北海道などでは一面に広がるノコギリソウ畑の景色が楽しめる場所もあります。

北海道ノコギリソウ畑


日本の自生種は白花が多く、黄花や紫花も淡い色調なので、全体的にふんわりした印象です。

ガーデニングや切り花などの園芸種では、よりカラフルな花が多いセイヨウノコギリソウのほうが人気は高く、店頭で売られているノコギリソウの多くはこれです。

セイヨウノコギリソウ


花言葉の由来

西洋で重宝されてきた効能

セイヨウノコギリソウは、ヨーロッパでは、古代から、解熱・鎮静効果や血止めの効果があるといわれ、ハーブティやアロマテラピーの原料として、傷薬の薬草として、利用されてきました。

中世には、効能の恩恵からか、邪鬼を祓う魔力が宿る花といわれ、結婚式の魔除けのおまじないや、恋占いなどにも使われていました。

『治癒』
『健康』

の花言葉は、そんな薬効を象徴しています。

後述するギリシャ神話では、トロイの戦いで傷ついた戦士たちに、アキレスがノコギリソウの薬効を説いて、負傷した兵士たちの手当てをしたと伝えられています。

『指導』

は、アキレスの救護の指導に由来します。

英雄アキレスの伝説

アキレスはギリシャ神話の中に出てくる神の血を引く勇敢な武人です。長期にわたるトロイ戦争の際、一度に100人の敵を倒した武勇伝が伝えられています。

アキレスが倒した100人目の兵士は、敵国トロイアの同盟国アマゾン国の女王ペンテシレイアでした。勇敢な女王の美しい死に顔に魅了されたアキレスは、彼女を殺してしまったことを悔やみ嘆きます。彼女の亡骸を手厚く葬り、彼女の魂が花に宿って甦ることを祈りました。

アキレスの願いは届き、女王の魂はノコギリソウに宿り、「アキレア」の花名が付いたといわれています。

『戦い』
『勇敢』

『勇気』

は、トロイの英雄アキレスのイメージです。

『心の傷』
『悲嘆を慰める』
『真心を持って』

は、アキレスがペンテシレイアを殺してしまった悲嘆と弔いの心を表しています。

癒やすのは人だけではない

コンパニオン・プランツ

セイヨウノコギリソウの分泌液は、周囲の植物にもいい効果をもたらします。害虫を寄せ付けず、テントウ虫などの益虫を呼び寄せる効果があり、周辺の植物の病気防止に役立つので、「コンパニオン・プランツ」としても利用されています。

コンパニオン・プランツとは、日本語では「共栄作物」「共存作物」と訳され、隣接して育てることで、互いの成長によい影響を与えて共栄しあう植物のことです。家庭菜園やバラ園などの周りにセイヨウノコギリソウを植えるガーデナーもたくさんいます。

西洋のほとんどの国で、「戦争」という意味の単語と共に、「癒やし・治癒」という意味の単語が花言葉になっています。セイヨウノコギリソウの懐の広い癒やしパワーが、西洋人の間ではよく知られているようです。

ノコギリソウの基本データ

分類: キク科ノコギリソウ属
学名: Achillea アキレア(属名)
和名: 鋸草(ノコギリソウ)
別名: 羽衣草(ハゴロモソウ)、アキレア
英名: Yarrow,Milfoil
開花時期: 5~8月 夏の花
花色: 赤,オレンジ,黄,ピンク,白
草丈: 5~120cm 多年草
花持ち期間: 7日前後
原産地: ロシア~東アジア温帯・寒帯地域、北アメリカ


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筆者情報

すずき大和

花に心があったら、自分の花言葉についてどう思うだろう?と、変なことが気になる変わった子供が、成長してライターやってます。花言葉の由来をヒモ解いていくと、花より人の心が見えてきます。花言葉を添えて花を贈るなんて、日本人にはハードル高い行為ですが、まあとりあえず、のんびりウンチクを楽しんでもらえれば幸いです。