トロピカル植物と聞くと“真夏のイメージ”というのが一般的です。が、熱帯地方にだって“冬咲きの花”もちゃんとあります。といっても、熱帯の冬対応種ですから、日本で育てようとすると、それなりに手間がかかります。
アロエやサボテンの仲間などの多肉植物は、寒さにも比較的強く、日本でも育てている人が多いですが、多肉植物はなかなか花が咲きにくい、という難点があります。
南米の熱帯森林で多く自生しているシーマニアは、10~15℃以上を保つ室内ならば、日本でも常緑のまま越冬できます。水やりも時々でいいので、比較的手間なく育てられ、真冬のシーズンに3か月ほど、確実に毎年花を楽しむことができます。
この時期、見た目のビジュアルがトロピカル、かつ、カジュアルで可愛らしい印象の花は珍しく、近年冬場の鉢花として人気が高まっているシーマニア。花言葉もなんだかポジティブです。
もくじ
シーマニアの花言葉
シーマニア全般の花言葉
『繁栄』
『コミュニケーション』
『元気』
西洋の花言葉
『Prosperity(繁栄)』(英)
シーマニアってどんな花?
金魚のお腹みたいな花
シーマニアは、真冬でも肉厚で濃い緑色の葉っぱをたくさん茂らせています。秋から春先にかけて葉の間からいくつも花柄を伸ばし、横向きに細長い筒状の鮮やかな色の花を付けます。
花の先端は花びらが5つに裂けて外側にやや沿って開いています。
- ふっくらした筒の膨らみ
- 丸く口を開けたような先端
- 鮮やかな色味
これらのイメージが「金魚」のようだと形容されます。
シーマニア属でもない、グロキシニアにも似てない
シーマニアは、もともとシーマニア属の数種の花の総称でした。が、近年、代表種だった
「Gloxinia sylvatica グロキシニア・シルヴァティカ」
という品種が、グロキシニア属に分類変更されました。が、日本でも西洋でも、「シーマニア」というとこの品種のことをほぼ指していたので、花名はそのまま残りました。
グロキシニア属の他の品種の中には、シーマニアと似た花もあります。日本の園芸市場では、
「Gloxinia nematanthodes グロキシニア・ネマタントデス」
という品種も、「シーマニア」の名で流通しています。
が、一般に「グロキシニア」(和名:大岩桐草)と呼ばれている花は、オオイワギリソウ属の全く別の花で、見た目も異なります。こちらは、もとグロキシニア属の代表種が、他の属に分類変更されました。
植物学は、遺伝子解析が進展したり、新種が増えたりする中で、幾度も分類の再編が行われているため、こんなややこしい花名と分類になっている例が少なくありません。花言葉も混同されがちですが、グロキシニアとシーマニアの花言葉は、明確に別になっています。
花言葉の由来
真冬でも元気
トロピカルな見た目で冬場も旺盛に茂り、花期がとても長く、次から次へと花が咲きます。ひと冬まるまる花を楽しむことができることから、
『繁栄』
『元気』
の花言葉が付きました。
『Prosperity(繁栄)』(英)
は、日本の花屋さんが海外向けに発信している花情報で紹介している花言葉の中にありました。英語やスペイン語サイトでシーマニア独自の花言葉がなかなか見つからないので、これは日本オリジナルの花言葉かもしれません。
南米原産固有種だったものがヨーロッパに伝わった花の中には、あまり人気が出なかったり、同属別種がヨーロッパの在来種としてあったりした場合、個別に花言葉をつけてもらえないことが時々あるようです。
お口パクパクおしゃべりな花
『コミュニケーション』
横向きに、金魚のような口を開けて咲いている様子が、隣の花とおしゃべりをしているように見える、ということで付いた花言葉といわれています。
シーマニアの花の多くは、花びらの内側が色違い(多くは黄色)で、花の内側には黄色い斑点が見られます。内側の色がチラ見えしているところが、唇のようで、余計に口パクパクしている感じに見えます。
冬場のカジュアルな贈り物に
クリスマスやお年賀に、鉢花のプレゼントをする人も増えています。が、冬シーズンは、シクラメンや蘭、ポインセチアなど、贈答用の花はどうもパターン化しています。
「蘭だとちょっと派手だな」
と感じる時など、可愛らしいシーマニアをカジュアルな雰囲気で贈るのはいかがでしょう。
赤系の花はおめでたい印象になり、金魚も『繁栄』『元気』の花言葉も縁起がいいので、気軽なプレゼントに向いています。
分類: イワタバコ科グロキシニア属
学名: Gloxinia sylvatica グロキシニア・シルヴァティカ
英名: Seemannia、Bolivian sunset
開花時期: 10月~2月 秋~早春の花
花色: オレンジ、赤、朱色、黄、白、複色
草丈: 30~60cm 多年草
原産地: アルゼンチン、ボリビア、ペルー