ヒナソウは、草丈10cmほどのひ弱そうな細い茎の先に、5mm~1cmくらいの小さな水色の花をたくさん付ける、春の野に見られる多年草です。
ひとつひとつの花は、4弁の花びらが十文字のように開いています。付け根に近いほど白っぽくなっていき、中心は黄色い放射状の模様が見られます。水色と黄色のコントラストが春の柔らかな日差しの中で、美しく生えます。
その見た目の愛らしさ、可愛らしさから、
「雛草(ひなそう)」
の和名が付いています。
園芸種として普通の店頭で見ることは少ないですが、山野草を扱う店では定番の花です。春の野を飾るビジュアルのイメージに合うステキな花言葉が付いています。
もくじ
ヒナソウの花言葉
ヒナソウ全般の花言葉
『甘い思い出』
『寛大な愛』
『会える幸せ』
『おとぎの国の夢』
ヒナソウってどんな花?
野を覆って茂る常盤なずな
宿根性の多年草のヒナソウは、そのはかなげな細い茎の見掛けとは裏腹に、寒さにも強い丈夫で繁殖力の強い野草です。
春の花が終わると、夏に黒い小さなタネがたくさんできて、こぼれます。秋に葉と茎が枯れた後、こぼれダネから伸びた緑の茎が密集し、小さくこんもりと固まった株となって越冬します。年間通して常緑で、春に小さな花が大量に咲くところから、
「常盤薺(トキワナズナ)」
の別名でも広く知られています。
春になって、昼間の気温も少し温んでくる頃から、前年枯れた株の地下茎から次々新しい茎が伸び、越冬した株もぐんぐんと横に咲き広がり、地面を覆うように繁茂していきます。
もとはアメリカ生まれ
日本の春に馴染んでいるヒナソウですが、実はもとは北アメリカ原産の外来種です。近代、園芸種として入ってきましたが、痩せた土地や道端などにもよく根付いて広まり、すぐに帰化しました。
園芸種としては、庭に植えっぱなしにされていることも多いですが、寄せ植えの脇役にもなり、こんもり小さな株のプランターをベランダなどで育てている人もいます。
花言葉の由来
冬から春へと移ろう光景
『甘い思い出』
『会える幸せ』
『おとぎの国の夢』
冬の枯れ野だったところに、細い緑の茎が次々と繁茂し、小さな可愛らしい花がじゅうたんのように咲き広がっていく光景は、まるで春の妖精が魔法をかけて、命が目覚めて芽吹いていくような、メルヘンチックな展開です。
そんな自然の命との再会を喜ぶ春らしいイメージから生まれた花言葉です。
福音をもたらす春の花
『寛大な愛』
4枚の花弁が十文字に平らに開く花は、西洋社会ではしばしば十字架に見立てられます。
ヨーロッパ人が付けた花言葉じゃないので、真偽のほどは定かではありせんが、この花言葉は、イエスの心を表している、と書かれた情報もいくつかあります。
ヒューストン先生に捧ぐ花
ヨーロッパでは根付いていない花
フーストニア属は英名「Bluet ブルネット」と呼ばれ、原種は20種ほど、すべて北アメリカ原産で、現在の野生種の分布もカナダ、アメリカ、メキシコなどがほとんどです。最もポピュラーなブルネット(Comon bluets)がヒナソウです。
日本にはこんなに根付いて帰化したにも関わらず、なぜかヨーロッパではあまり見かけない花となっています。芝生や花壇を飾る園芸種として一部取り入れられていますが、野生種として帰化していません。
あまり知られていないせいか、どこの言語でも花言葉情報がなかなか見当たりません。アメリカは、ヨーロッパほど花言葉が一般的ではないので、ヨーロッパに知られていない固有種に近いものは、案外花言葉がないままのものも少なくないのかもしれません。
学名はイギリス人植物学者への献名
それでも、学名の「Houstonia フーストニア」は、イギリス人の著名な植物学者、
「William Houstoun ウイリアム・ヒューストン」氏
を称えてつけられた名称です。ヒューストン氏は、18世紀初めに活躍したスコットランドの医師であり、薬草の薬効の研究を続けていました。アメリカ大陸やメキシコの植物もたくさん集めてヨーロッパに紹介した人です。
植物標本を増やすために世界各地へ派遣され、最後はジャマイカで熱病にかかって亡くなりました。ジャマイカへ出発する直前に、偉大な学者・研究者に贈られる「フェロー」という称号を贈られています。
天国にいるヒューストン先生、後世、はるか遠くの日本で、自分の名が付いた花に、こんなメルヘンチックな花言葉が付けられたことを知ったら、微笑んでくれるでしょうか。
分類: アカネ科フーストニア属
学名: Houstonia caerulea フーストニア・カエルレア
和名: 雛草
別名: 常盤薺(トキワナズナ)
英名: Comon bluets、Azure bluet
開花時期: 3~5月 春の花
花色: 白、青、水色
草丈: 8~15cm 多年草
原産地: 北アメリカ