サルビアと聞くと、燃えるような真っ赤な花を思い浮かべる人が多いと思います。
花びらだけでなく、ガクや蕾も赤いので、和名は
「緋衣草(ひごろもそう)」
といいます。確かに緋色のドレスを着ているみたいですね。
サルビア(salvia)は実は属名です。シソ科の「アキギリ属」の学名がサルビアで、私たちがイメージしている赤い花は、その中のひとつ
「サルビア・スプレンデス」
という種です。
青紫色の花を咲かせるスパイスの「セージ」も、アキギリ属の仲間の一種で、学名は
「サルビア・オフィシナリス」
といいます。
西洋では、「サルビアとセージは同じもの」という感覚があり、サルビアの花言葉は、セージの効能に由来しています。
もくじ
サルビア(セージ)の花言葉
サルビア全般の花言葉
『良い家族』
『家族愛』
『尊敬』
『知恵』
『賢さ』
色別の花言葉
赤色の花の花言葉
『燃ゆる思い』
青紫色の花の花言葉
『永遠にあなたのもの』
サルビアってどんな花?
とにかくたくさん種類がある
実は、サルビア(アキギリ属)は原種も栽培種も含め、とてつもなく様々な種類があり、資料によって、500種類とも1000種類とも書かれています。
サルビアもセージも英語で、本来アキギリ属全体を指す言葉ですが、西洋では
- 単に「サルビア」というと観賞用の園芸種全体、またはスプレンデスのこと
- 単に「セージ」というとスパイス(食用作物)のセージのこと
と、なんとなく使い分けられているようです。
特に個々の種を分けて呼ぶ場合は、学名の「サルビア何々」とはいわず、「〇〇〇セージ」とそれぞれ別名がついていることが多いです。
スプレンデスは、別名「スカーレット・セージ」と呼ばれています。
スパイスのセージは、一般に「コモン・セージ」とか「ガーデン・セージ」です。
セージとサルビアの歴史
コモン・セージは、強い抗酸化作用があることで知られるスパイスです。消化促進や解熱作用もあり、南ヨーロッパ原産で、ギリシャ・ローマ時代にはすでに薬草として広く知れわたっていました。
一方、観賞用の真っ赤なスカーレット・セージは南米原産で、ヨーロッパに伝わったのはアメリカ大陸発見の後です。
新大陸から来た新たな緋色のセージは、花が散ってもガクや苞(ほう:蕾を包んでいた葉)の色が残るので、真っ赤な絨毯のような眺めが長く堪能できることが人気となり、花壇の花として広まっていきました。
花言葉の由来
花言葉のモトは「家族の健康」
18~19世紀にかけ、すべての花々に花言葉をつけることが流行した時、サルビアの花々には、〇〇〇セージの呼び名の「セージ」のイメージに由来したものがいろいろ付けられました。
セージは、何といっても古代から伝わるハーブ(薬草)ですから、家族の健康回復やヘルスケアに腐心するイメージに直結するものです。ということで、
『良い家族』
『家族愛』
という花言葉がつきました。
もともと英語のセージ「sage」は、フランス語の「sauge」が変じたもので、
「sauge」はラテン語の「salvus」(意味:安全な、健全な)からきました。
そしてサルビア「salvia」という属名も「salvus」に由来しています。
サルビア(セージ)は、元来
「家族の健康」を願う花
ということですね。
セージ(sage)は、賢人(sage)
英語のsageには、別に「賢人」という意味もあります。偶然なのか、薬効の確かさに敬意を払ってそうしたのかはわかりませんが、この“おりこうさんイメージ”が反映された、以下のような花言葉もあります。
『尊敬』
『知恵』
『賢さ』
からだを癒し、治し、賢人の名をもつセージは、
- 悲しみを和らげ
- 寿命を延ばし
- 精神力を高める
力が宿っているともいわれ、中世ヨーロッパでは、人々の心身を支える植物でした。
ちょっと注意しないといけない種
セージの不思議な力の逸話としては、
“少女の将来の夫を予見する力がある”
なんていい伝えもあるそうです。どうやって占うんでしょうね。
ちなみに、たくさんある種類の中には、脳の中枢神経に働いて、
浮遊感、幻聴、めまい、神経不安
などの幻覚を見せる成分を含むものも、実際にあります。
メキシコ産の
「サルビア・ディビノラム」
という種がそれで、かつては原住民マサテコ属が呪術の儀式や薬に用いていました。現在も、合法ドラッグとして世界に広まっています。
(ただし、日本では薬事法で指定された規制薬物です)
これだけは、「家族の不健康」の元になりそうです。
種類別の花言葉
たくさんあるサルビアの園芸種の中には、緋色だけでなく、青やピンク、紫、白、白赤のツートンカラーなど、様々な花色の種があります。色別、種類別にも細かく花言葉が定められているものもあり、調べるといろいろ出てきます。
緋色、赤色の花は、その炎のようなイメージから
『燃ゆる思い』
という花言葉があります。情熱的ですね。
青紫色の花は「ブルー・セージ」と呼ばれ、
『永遠にあなたのもの』
という、これまた熱烈な花言葉があります。
なんだか物静かで温厚そうな賢人のイメージとは違う花言葉です。
精神力を高める薬効が強すぎるサルビアは、やっぱり心も燃やしてしまうのかも・・・。
まあ、「良い家族」の花ですし、既婚者は、お連れ合い以外の異性にはプレゼントしないほうが良さそうです。
分類: シソ科アキギリ属
学名: Salvia splendens サルビア・スプレンデス
和名: 緋衣草(ヒゴロモソウ)
英名: Scarlet sage
開花時期: 7~11月 夏~秋の花
花色: 赤、青、ピンク、紫、白など
草丈: 20~100cm 一年草
花持ち期間: 2~3日
原産地: 南米