秋の花の花言葉

コルチカムの花言葉/美しい貴婦人は危険な毒草イヌサフラン

Written by すずき大和

コルチカムって聞いたことありますか?

秋植えの球根植物ですが、春咲きではなく、すぐに育って咲く秋咲きの花です。

見た目がクロッカスやサフランにそっくりです。が、コルチカムは

和名「イヌサフラン」

と呼ばれ、全く別種の花です。薬草・スパイスとして昔から重宝されてきたサフランに対し、コルチカムは食べると毒なので、

“役に立たない”
“似て非なるもの”

という意味で「犬」の字がついたようです。

西洋では、秋の野に見られるとてもポピュラーな花で、秋の到来に思いを馳せたちょっと切ない花言葉が付いています。日本では、花名に反して、ポジティブな花言葉も付いています。



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もくじ

コルチカムの花言葉

コルチカム全般の花言葉

『永続』『永遠』
『華美』
『美徳』
『幸福』
『危険な美しさ』
『回顧』
『悔いなき青春』
『楽しい思い出』

西洋の花言葉

『My best days are past(私の最良の日々は過ぎ去った)』(英)
『Beaux jours passés(美しい日々は過ぎた)』(仏)
『Le beau temps est fini(晴れた日は終わった)』(仏)
『jalousie(嫉妬)』(仏)
『Meine besten Tage sind vorüber(私の最高の日は終わった)』(独)
『Pasó el tiempo de mi felicidad(私の幸福の時は過ぎた)』(西)

コルチカムってどんな花?

実は恐ろしい殺人植物

コルチカムの球根や種に含まれる

「コルヒチン」

という物質は、使い方次第で薬にもなりますが、そのまま食べると知覚がマヒしたり、呼吸困難に陥ったりする危険な毒です。

2006~2016年の10年間の国内の野草誤食事故の中では、トリカブトや毒キノコを抜いてイヌサフラン中毒死が最も多くなっています。サフランと間違えて乾燥させたものをスパイスとして使ったり、葉をギョウジャニンニクと間違えて食べたりした例が報告されています。

半ば蔑称的なネーミングも、間違って口にしないように、という警告の意味があったのかもしれません。

クロッカス属との違い

間違えて食べないようにするために、アヤメ科クロッカス属のサフラン・クロッカスとの区別の仕方は正しく知っておきましょう。

1,コルチカム

イヌサフラン科イヌサフラン属に分類されるコルチカムは、花姿は似ていますが、クロッカス属とはおしべの数が違います。花の中を見ると、おしべが6本あるのがイヌサフラン、3本なのがクロッカスです。

コルチカム花の中


2,サフラン

サフランは花期も花色も被るので、とても間違えやすいです。サフランには赤くて長いめしべが3本出ています。赤いめしべがなければ、コルチカムです。食べないでください。

サフランめしべ


3,クロッカス

クロッカスは春咲きで、花色は紫の他、赤や黄色、青色もあります。コルチカムは基本秋咲きで花色は紫系統か白です。が、一部、春咲きや黄花のものもあり、間違われ易いです。

クロッカス


おまけ:ギョウジャニンニク

クロッカスは食べませんから、早春の時季は、むしろ花のない姿をギョウジャニンニクと間違えることに要注意です。ギョウジャニンニクは、葉を揉むとニンニクの匂いがしますが、コルチカムは無臭です。面倒でも丁寧に確かめましょう。

ギョウジャニンニク


花言葉の由来

葉が枯れても終わりません

コルチカムとクロッカス属のもうひとつの大きな違いは、

“花の時季に葉が全くない”

ことです。

西洋では、

  • 裸の貴婦人
  • 丸裸の尻
  • 裸の男の子

などの別名があり、官能的な揶揄にされる場合もあります。

花が終わった後に出た葉は、そのまま冬・春を過ごし、夏に一度枯れます。地上は何もなくなって、もう死んでしまったかのように見えますが、コルチカムは多年草です。秋になると球根からまた花芽が出て、花が咲きます。

『永続』『永遠』

の花言葉は、終わってしまったように見えて、命はまだまだ続いていることに由来します。

上品で美しい花

『華美』
『美徳』
『幸福』

日本では、紫色の花は上品で高貴な印象で捉えられます。花径がまっすぐすっと伸び立つ姿は洗練された美しさに見え、上記のよう花言葉につながりました。

毒に注意

『危険な美しさ』

見た目は美しく魅惑なのに、死に至る中毒を起こすことを示唆しています。

秋の到来と夏との別れ

『My best days are past(私の最良の日々は過ぎ去った)』(英)
『Beaux jours passés(美しい日々は過ぎた)』(仏)
『Le beau temps est fini(晴れた日は終わった)』(仏)
『Meine besten Tage sind vorüber(私の最高の日は終わった)』(独)
『Pasó el tiempo de mi felicidad(私の幸福の時は過ぎた)』(西)

ヨーロッパの人は、秋になると花芽を出し、あっという間に蕾をつけて花が咲くコルチカムを見ると、本格的な秋の到来を感じます。同時に夏の楽しかった思い出がふとよぎり、なんとなく心さみしい気になる、そんな心理から生まれた花言葉です。

『回顧』
『悔いなき青春』
『楽しい思い出』

日本語のこれらの花言葉は、西洋の花言葉を夏の思い出を振り返るイメージで意訳しています。

王女メディアの神話

『jalousie(嫉妬)』(仏)

フランスのこの花言葉は花名の由来に関係しています。

コルチカム(colchicum)は、ギリシャ神話に出てくる残忍な王女メディアの出身地「コルキス Colchis」(アルメニアの古都市)にたくさん咲いていたと伝えられる花でした。

メディアは、嫉妬から元夫の新たな花嫁を魔法で焼き殺してしまいます。

毒草の中毒も怖いですが、人間の怨念のほうがもっと怖そうです。

コルチカムの基本データ

分類: イヌサフラン科イヌサフラン属
学名: Colchicum autumnale コルチカム・オータムナーレ
和名: 犬サフラン
英名: Autumn crocus,Meadow saffron
開花時期: 9~10月 秋の花
花色: 紫、白、ピンクなど
草丈: 5~20cm 球根性多年草
原産地: ヨーロッパ、西アジア、北アフリカ


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筆者情報

すずき大和

花に心があったら、自分の花言葉についてどう思うだろう?と、変なことが気になる変わった子供が、成長してライターやってます。花言葉の由来をヒモ解いていくと、花より人の心が見えてきます。花言葉を添えて花を贈るなんて、日本人にはハードル高い行為ですが、まあとりあえず、のんびりウンチクを楽しんでもらえれば幸いです。