コスモスは秋の草原に群生するキク科の花です。
「秋桜」
という日本語表記は、秋の季語としてもよく使われます。日本人にとって、馴染み深くとても愛されている花といえるでしょう。
が、もとはメキシコ原産の外来種です。コロンブスのアメリカ大陸発見以後にヨーロッパに渡り、世界中に広まりました。日本に伝わったのは19世紀末の明治時代といわれています。
「Cosmos」
という学名(属名)は、最初に持ち込まれた花がスペインのマドリード王立植物園に贈られたとき、園長だったカバニレス神父によって名付けられました。
もともとは古代のラテン語で
“秩序だって整った美しいもの”
“完結された世界観”
を表現する言葉でした。
「cosmos」は、英語や古いギリシャ語(kosmos)で「宇宙」を意味します。幾万もの星が規則正しく回る夜空は、まさに秩序ある完結された美しい世界です。
新大陸からやってきた珍しい花は、神父の目には、夜空と同じくらい、とても整然とした自然の美しさに見えたのかもしれません。
その後、古代ラテン語が示唆した多くの意味が、そのままコスモスの花言葉になりました。
もくじ
コスモスの花言葉
コスモス全般の花言葉
『乙女の純真』
『調和』
『謙虚』
白花の花言葉
『優美』
『美麗』
『純潔』
![コスモス白](https://hanatama.jp/wp-content/uploads/2017/11/5d7fad38d5890b3440a48defb8a8f821.jpg)
ピンクの花の花言葉
『乙女の純潔』
![コスモスピンク](https://hanatama.jp/wp-content/uploads/2017/11/038ab7411bae960f5bbb211080d2838b.jpg)
赤花の花言葉
『乙女の愛情』
『調和』
![コスモス赤](https://hanatama.jp/wp-content/uploads/2017/11/95a1567f3b787435d8abf48589ee37d8.jpg)
黄花(キバナコスモス)の花言葉
『野性的な美しさ』
![キバナコスモス](https://hanatama.jp/wp-content/uploads/2017/11/856ef3d026e120ef983170c8da8b22a1.jpg)
黒花(チョコレートコスモス)の花言葉
『恋の終わり』
![チョコレートコスモス](https://hanatama.jp/wp-content/uploads/2017/11/1e6aafc643616330918c0d3d4e641279.jpg)
西洋の花言葉
『hrmony(調和)』(英)
『peace(平和)』(英)
『modesty(謙虚)』(英)
『the joys that love and life can bring(愛や人生がもたらす喜び)』(英)
『beautiful(美)』(英)
『paz(平和)』(西)
『integridad y modestia(完全性と謙虚さ)』(西)
『innocence(純真・無垢・純潔)』(仏)
コスモスってどんな花?】
大春車菊
コスモスは、学問的には“キク科コスモス属”の花全般を指しますが、園芸界では、一般的に3つの品種のことを呼んでいます。日本ではほとんどが、
「Cosmos bipinnatus コスモス・ビピンナタス」
という品種のことです。よく見るピンクや白のコスモスです。和名は
「大春車菊 オオハルシャギク」
といいます。「秋桜 アキザクラ」は、実は後になって付いた俗称です。
ネットの記事の中には「オオハルシュンギク」と書かれたサイトが少なからずありますが、間違いです。
キバナコスモス
コスモスは人気の高い花なので、記事もとても多いのですが、実はそんな勘違いが他にもいくつか見られます。
“黄色いコスモスは、人工的に作られた改良種”
というウンチクもそのひとつです。
大春車菊は、確かに最初は白とピンクしかありませんでした。ある時、玉川大学農学部の育種学研究室で、突然変異で黄色い花が咲くと、世界初!とニュースになりました。玉川大学では、その後、安定して黄色く咲く品種
「イエローキャンパス」
を作りました。
![イエローキャンパス](https://hanatama.jp/wp-content/uploads/2017/11/34369424a835ee5340464a1451779a4e.jpg)
が、濃い黄色やオレンジ色の花が咲く
「キバナコスモス」
(学名:Cosmos sulphureus コスモス・スルファリウス)
という品種は、もともと自然に存在します。大春車菊とは別の品種ですが、やはりメキシコ原産で、欧州経由で世界に広まっています。日本で見られる濃い黄色のコスモスも、ほとんどキバナコスモスとその交配種です。
チョコレートコスモス
世界でコスモスと呼ばれる園芸種の3つめは、濃い黒紫色の花が咲く
「チョコレートコスモス」
(学名:Cosmos atrosanguineus コスモス・アトロサンギネウス)
です。ほのかにチョコレートの香りがするのでこの名が付きました。
日本では少ないですが、ヨーロッパではよく見られます。
大春車菊とキバナコスモスはうまく交配されません。が、キバナとチョコレートコスモスは、別種ですが交配できました。両者を掛け合わせて生まれた
「ストロベリーチョコレート」
と呼ばれる品種は、チョコレートコスモスより赤味が強い花が咲きます。
![ストロベリーチョコレート](https://hanatama.jp/wp-content/uploads/2017/11/5ca6f477b62fc1a3323174298cd3f97e.jpg)
花言葉の由来
古代ラテン語に含まれた意味
冒頭で書いた通り、花言葉の多くは、古代ラテン語の「cosmos」の意味(解釈)の範囲から出てきた言葉です。
『乙女の純真』
『調和』
『謙虚』
『優美』
『美麗』
『純潔』
『hrmony(調和)』(英)
『peace(平和)』(英)
『modesty(謙虚)』(英)
『beautiful(美)』(英)
『paz(平和)』(西)
『integridad y modestia(完全性と謙虚さ)』(西)
『innocence(純真・無垢・純潔)』(仏)
秩序だって整った社会は「平和」です。そして、そんな完結され調和した世界は「純真無垢」で「謙虚」な世界観なのでしょう。
そしてまた、この美しく純潔な花は、西洋では純粋な「愛の象徴」にもなっています。
『乙女の愛情』
『the joys that love and life can bring(愛や人生がもたらす喜び)』(英)
これらの花言葉には、そんな意味が反映しています。
黄色・黒・赤
『野性的な美しさ』
『恋の終わり』
これは、本来はキバナコスモスとチョコレートコスモスの個別の花言葉です。
キバナは大春車菊より繁殖力が強く、野性的な魅力が感じられる種なのです。ですが、野性ではない交配種のイエローキャンパスにも、この花言葉を転用するのは“あり”です。
ストロベリーチョコレートの花言葉も、赤でも黒でもOKです。
花言葉って、意外とアンニュイなノリの文化なんです。
分類: キク科コスモス属
学名: Cosmos コスモス(属名)
和名: 大春車菊(オオハルシャギク)
別名: 秋桜(コスモス)
英名: Cosmos
開花時期: 7~10月 夏~秋の花
花色: 赤、ピンク、白、黄、オレンジ、褐色など
草丈: 50~120cm 一年草
花持ち期間: 5~10日
原産地: メキシコ