秋の花の花言葉

セイタカアワダチソウの花言葉/要注意外来種は嫌われ者か?

Written by すずき大和

セイタカアワダチソウは、ほぼ日本全国で見られる、秋に黄色い花を咲かせる背の高い多年草です。河原や土手などの水辺や空き地、道端や線路沿いなどにまとまって生えているのを見かけます。

1~2.5mの高さになり、茎の先端が枝分かれして、先のほうに黄色の小花がまとまって咲きます。細長い花穂の塊を遠目に見ると、黄色の三角錐のような形に見えます。

もともとは明治時代にアメリカから入ってきた園芸用の外来種が帰化して広まりました。その繁殖の勢いが凄かったため、強い繁殖力を示唆した花言葉がつきました。



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もくじ

セイタカアワダチソウの花言葉

セイタカアワダチソウ全般の花言葉

『元気』
『生命力』
『唯我独尊(ゆいがどくそん)』

花言葉の由来

侵略的外来種

アワダチソウ(泡立草)というのは、日本の在来種アキノキリンソウ(秋の麒麟草)の別名です。セイタカアワダチソウも同じアキノキリンソウ属の仲間ですが、在来種より草丈が高く伸びたので、背高(セイタカ)が付きました。

アキノキリンソウ

S・ヴィルガウリア・アジアティカ


戦後、環境が都市化するにしたがって在来種が衰退し、それに取って代わるかのように、セイタカアワダチソウが一気に平地部に繁殖しました。その広まり方がとても早く、また当時は3~4mにまで伸びる姿が多く見られ、ススキなどの既存の在来種が駆逐されるように減っていったため、「要注意外来種」に認定されました。

『元気』
『生命力』

在来種に取って代わる繁殖力を反映して、こんな花言葉が付けられました。

一見ポジティブですが、その実“迷惑”な気持ちも入った言葉です。

縄張りに君臨する俺様系?

3つめの花言葉のほうが、よりそのニュアンスを反映しています。

『唯我独尊(ゆいがどくそん)』

これは、もともと

「天上天下 唯我独尊(てんじょうてんげ ゆいがどくそん)」

という言葉の下半分で、

“この世の中で自分より尊いものはいない”

という意味だと解釈され、使われています。

自意識過剰なうぬぼれや威嚇的な態度を示唆することが多く、かつてはよく「夜露死苦(よろしく)」と一緒に落書きされていたものです。

他を駆逐する侵略的外来種の花言葉らしいです。

お釈迦さま、ごめんなさい

実は、「天上天下 唯我独尊」は、もともとお釈迦さまが生まれた時にいった言葉です。

といっても、仏教の開祖となるお釈迦さまが、

「自分が一番偉いんだぞ」

などというわけがありません。本来の意味は全然違います。

仏教では、世界は、「地獄」から「天上」まで6つの世界に分かれていると考えています。魂は何度も死と生を繰り返し、この6世界(「六道(ろくどう)」といいます)のどこかに生まれ変わり続けている存在です。「人間」界は上から2番目です。

お釈迦さまのいった「天上天下 唯我独尊」は、

“他の何に生まれた時にもないけれど、
ただ人間に生まれた時だけは、ひとつの尊い使命がある”

という意味です。更に続けて、お釈迦さまは己の使命を宣言します。

「三界皆苦 吾当安此(三界は皆苦なり。吾まさに此に安んずべし)」

この意味は

“人生は苦しみばかり。自分はここで仏の悟りを開き、人々を幸せに導こう”

ということです。

生まれたばかりの赤ちゃんが歩いたりしゃべったりできるか!?という部分はさておき、お釈迦さまは、幼少の頃から、

  • 厳しい修行に耐えて悟りを開く覚悟と、
  • それをもって現世で苦しむ人々を救うために人生を捧げようという御心

を持った人だった、ということを伝える逸話といえます。

日本語では、なんだか漢字の意味(イメージ)が独り歩きしてしまったようです。

セイタカアワダチソウってどんな花?

アレロパシー植物

セイタカアワダチソウの強さの理由のひとつは、茎から他の植物の生育を抑制する効果のある物質を出すためです。

そういう植物のことを専門的には

「アレロパシー(Allelopathy)」

といいます。

今はそんなに嫌われていない

もうひとつ、在来種より根が長いセイタカアワダチソウは、モグラやネズミが地下に掘った穴の辺りまで根が伸び、死骸や糞の栄養分を吸収することができました。帰化したばかりの頃、家を覆うくらいの高さまで大きく成長したのは、栄養過多のせいでした。

しかし、豊富な栄養はアレロパシー効果もより強くし、周囲の植物だけでなく、セイタカアワダチソウそのものの成長も抑えこまれるようになりました。また、時代が進むと小動物の駆除が進み、土中の栄養分も減ったのです。

結果、最近では都会の自然の減少もあって、それほどの侵略種ではなくなりました。程よく周囲のススキ等と共生する姿も見られます。

在来種のアキノキリンソウの都市部での自生がほぼ見られなくなったのは、セイタカアワダチソウに駆逐されたせいではなく、もともと水辺の野生種だったので、田んぼや小川など、水辺の草地が減ったためです。

そんなわけで、最近は『元気』『生命力』の花言葉をいい意味に解説する例も増えています。

『唯我独尊』の花言葉を紹介しない解説もあります。お釈迦さまの言葉を悪い意味で広めないためにも、この花言葉は忘れていくほうがいいかもしれません。

セイタカアワダチソウの基本データ

分類: キク科アキノキリンソウ属
学名: Solidago canadensis var. scabra
    Solidago altissima
和名: 背高泡立草(セイタカアワダチソウ)
別名: 背高秋の麒麟草(セイタカアキノキリンソウ)
英名: Canada goldenrod,Canadian goldenrod
開花時期: 10~11月 (秋の花)
花色: 黄色
草丈: 1~2.5m 多年草
原産地: 北アメリカ


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筆者情報

すずき大和

花に心があったら、自分の花言葉についてどう思うだろう?と、変なことが気になる変わった子供が、成長してライターやってます。花言葉の由来をヒモ解いていくと、花より人の心が見えてきます。花言葉を添えて花を贈るなんて、日本人にはハードル高い行為ですが、まあとりあえず、のんびりウンチクを楽しんでもらえれば幸いです。