真っ赤に熟すと、先端が口を開くように割れ、ルビー色の小さな実がぎっしり詰まった中身が見える、秋の果実として有名なザクロは、世界中で古くから栽培され、食べられてきたフルーツです。
血を思わせる深紅の果実のパカっと割れたビジュアルは、ある種の艶めかしさがあります。人はそこに独特の生命力を感じるのかもしれません。時に神の象徴、女性の美のシンボルとなり、子宝の御利益が謳われることもありました。一方で、不吉なものと忌み嫌う文化もあります。
世界中に多くの逸話が残る神秘の果樹です。
もくじ
ザクロの花言葉
ザクロ全般の花言葉
『円熟した優雅さ』
『成熟した美』
『不遜』
『高慢』
ザクロの果実の花言葉
『愚かしさ』
『結合』
『子孫の守護』
ザクロの木の花言葉
『互いに思う』
西洋の花言葉
『mature elegance(円熟した優雅さ)』(英)
『indiscrétion(無分別)』(仏)
『foolishness(愚かしさ)』(英)※果実の花言葉
ザクロってどんな花?
人類の歴史と共に歩んできた果樹
ザクロの原産は、地中海沿岸地方と見られていますが、古代には既にヨーロッパ全域に伝わっており、旧約聖書ほかの文献にも記載があります。人類最古の栽培種のひとつであったと思われますが、古すぎて、確かな原産地はよくわかっていません。
園芸種としてもポピュラー
初夏に、赤や濃いオレンジ色の6弁の花を咲かせます。青々と重る葉とのコントラストも目に鮮やかで、観賞用の園芸種としても庭木などにされてきました。
日本では、矮小性のヒメザクロなどが盆栽にもよく使われ、八重咲きなど多くの品種が流通しています。
花言葉の由来
鮮やかで妖艶な姿
『円熟した優雅さ』
『成熟した美』
『mature elegance(円熟した優雅さ)』(英)
これらは、色鮮やかで艶めかしいビジュアルのイメージが生んだ花言葉です。熟れて割れた赤い実は、女性器を想像させる面もあり、官能的なオトナの魅力・魅惑にもつながるようです。
逆に、そこが「魔性」や「穢れ」のイメージとなって、不吉なものと見なす地域が、日本にも外国にも一部あります。
『不遜』
『高慢』
これらは、そんな鼻持ちならない女性のイメージからきた花言葉といわれています。
ギリシャ神話では冥界の果実
西洋では、ギリシャ神話の逸話がよく知られています。
冥界の王ハデスが、豊穣の女神デメテルの娘ペルセポネを見初めて花畑から拉致し、自分の妻にしてしまう話は、様々な花言葉の由来となっています。
ペルセポネが冥界でうっかり口にしてしまったのが、ザクロの果実でした。これも、ザクロの持つ魔性のイメージからでてきたのかもしれません。
デメテルが全能神ゼウスに抗議したことで、ペルセポネは天界に戻れることになります。が、冥界の食べ物を口にしたものは、冥界で暮らさねばならない掟があり、6粒のザクロを食べたペルセポネは、その後も1年のうち6か月を冥界で過ごすことになります。
ペルセポネがいない半年間、デメテルは嘆き悲しんで隠れてしまうため、その間は実りが途絶える季節=冬となったといわれています。
『愚かしさ』
『foolishness(愚かしさ)』(英)
『indiscrétion(無分別)』(仏)
これらの花言葉は、ペルセポネのうっかりさを表しています。
実りの象徴
『結合』
『子孫の守護』
『互いに思う』
こちらは、ぎっしり詰まった実の様子を肯定的に捉えたイメージです。仲間の連帯や子だくさんの象徴とされ、子孫繁栄のシンボルとされてきた歴史があります。
これは、女性器っぽさが肯定的に受け止められた例、ともいえます。アンチエイジングに効果的な栄養価の部分も重なって、女性の美を象徴するフルーツとして高貴な女性たちから好まれてきたのもまた事実です。
鬼子母神の樹
ザクロは人肉の味?
ザクロの果実が血のような色をしているせいか、日本では
“人の子を喰らっていた鬼子母神をお釈迦様がいさめた時、
「これからは人の子の代わりにこれを食べよ」
と与えたのがザクロの実であった”
という話が伝わっています。ここから
「ザクロは人肉の味がする」
なんていう人もいますが、これはいわゆる戯言のひとつです。
鬼子母神はその後子育ての神様となりました。果実が子宝のシンボルなのは、そこからもきています。今も境内にはザクロの樹が象徴として植えられています。
分類: ミソハギ科ザクロ属 ザクロ科ザクロ属
学名: Punica granatum プニカ・グラナタム
和名: 柘榴・石榴(ザクロ)
別名: セキリュウ
英名: Pomegranate
開花時期: 6~7月 初夏の花
花色: 赤、オレンジ
樹高: 2~7m 落葉性小高木
花持ち期間: 7日前後
生息地: 世界の温暖地域
原産地: 西南アジア原産説、
南ヨーロッパ原産説、
北アフリカ原産説などあり