オトギリソウ属(学名:Hypericumヒぺリカム)の仲間は、主に北半球の温帯から亜熱帯にかけての山野に自生する野の花です。ヨーロッパやアジア、北アメリカの先住民族の間でも、古くから生薬・ハーブとして使われてきた歴史があります。
夏におしべのたくさん飛び出した、5弁の黄色い花を咲かせ、秋の初めには丸く可愛らしい実を付けます。観賞用園芸種としても広く流通しており、改良種も含めて世界に300種以上知られています。
日本で主に見られる東アジア原産種は、
「オトギリソウ」
と呼ばれています。西洋で広く分布しているのは、ヨーロッパ原産の
「セイヨウオトギリ」
です。花言葉は、両方の花にまつわる逸話からきています。
もくじ
オトギリソウの花言葉
オトギリソウ全般の花言葉
『迷信』
『盲信』
『敵意』
『秘密』
『恨み』
西洋の花言葉
『superstition(迷信)』(英)
『animosity(敵意、反感)』(英)
『patience(忍耐)』(仏)
『mefiance(不信)』(仏)
『hoffnung(希望)』(独)
『zuversicht(信頼)』(独)
『mitgefuh(思いやり)』(独)
オトギリソウってどんな花?
オトギリソウとヒペリカム
最近、園芸店では、「ヒペリカム」の名で出回っている半落葉性の小低木が、ガーデナーの間で人気です。これもオトギリソウ属の仲間です。
ヒペリカムの代表品種
学名「Hypericum androsaemum ヒペリカム・アンドロサエマム」には、
「小坊主弟切草(コボウズオトギリソウ)」
という和名が付いています。が、日本で一般に「オトギリソウ」というと、多年草の品種のほうを指し、花言葉もオトギリソウ(多年草)と、ヒペリカム(小低木)で異なります。
英語では、
多年草のセイヨウオトギリは
「St.John’s wort セントジョーンズワート」
(意味:聖ヨハネの草)
小低木のゴボウズオトギリソウは
「Tutsan タッサン」
と呼び分けています。
英語以外の言語のほとんどでは、オトギリソウ属の総称として「聖ヨハネの草」と呼んでいます。英語でも、Tutsanは、別名「Shrubby St.John’s wort(低木のセイヨウオトギリ)」と呼ばれます。
西洋での花言葉は、草も木も併せてオトギリソウ属全体にかかっています。
1,オトギリソウ
2,セイヨウオトギリ
3,コボウズオトギリソウ
花言葉の由来
弟切草の逸話
日本では、オトギリソウは傷薬や血止めに使う薬草でした。人間だけでなく、家畜等にも使われていたようで、こんな話が残っています。
『秘密』
『恨み』
これらの花言葉は、この話に由来します。
聖ヨハネの草
キリスト教文化の国では、6月24日は聖人のひとり「聖ヨハネ」の日とされています。その前日に薬草を集める風習があり、その頃が花期にあたるヒベリカムを摘んでいたことが、花名の由来といわれています。
セイヨウオトギリは、抗炎症剤、消毒薬、妊娠中絶薬などに使われていました。現在では、うつ病や不安障害の治療に効果があるとされ、ドイツなどでは民間療法として広く使われています。
中世の世では、魔除けの力が宿っている草だと信じられ、スピリチュアルな儀式や御守としても使われていました。
『迷信』
『盲信』
『superstition(迷信)』(英)
『patience(忍耐)』(仏)
『mefiance(不信)』(仏)
これらは、そんなスピリチュアルなイメージから生まれた花言葉です。
『animosity(敵意、反感)』(英)
これは、斬首刑になった聖ヨハネにむけられた迫害の意味もあるのでしょうか。
『hoffnung(希望)』(独)
『zuversicht(信頼)』(独
『mitgefuh(思いやり)』(独)
ドイツの花言葉は、心と身体の傷を癒す薬草のイメージ、または、聖ヨハネの功徳のイメージからきているようです。他の言語の花言葉に比べ、ポジティブなものになっています。
分類: オトギリソウ科オトギリソウ属
学名: Hypericum ヒペリカム(属名)
オトギリソウ
H.erectum ヒペリカム・エレクタム
セイヨウオトギリ
H.perforatum ヒペリカム・パフォレイタム
和名: 弟切草(オトギリソウ)
別名: 鷹の傷薬(タカノキズグスリ)
血止め草(チドメグサ)
小連翹(しょうれんぎょう)※生薬名
英名: St.John’s wort
Klamath weed
Goat weed
開花時期: 7~8月 夏の花
花色: 黄色
草丈: 20~60cm 多年草
花持ち期間: 1日
生息地: 北半球の温帯~亜熱帯北部の地域
原産地: ユーラシア大陸の温帯・亜熱帯地域