夏の花の花言葉

ヒペリカムの花言葉/華やかに輝く金糸の梅の仲間たち

Written by すずき大和

ヒペリカム(Hypericum)とは、ツバキ目オトギリソウ科オトギリソウ属の学名です。西洋ではオトギリソウ属全体の総称となっています。日本では、いくつかの小低木の品種が、「ヒペリカム」の名で流通しています。

属名のもとの「オトギリソウ」は、北半球の山野に広く分布する多年草です。花径2cmくらいの黄色い小さな花が咲く、素朴な趣の野の花です。

オトギリソウ属の小低木の仲間の多くは、多年草よりやや大きめの花がたくさん咲き、秋には緑色のガクを残したまま、丸くてきれいな色の実が付きます。冬場も常緑または半落葉性で丈夫、花実の季節は華やかなので、園芸種として世界中で愛されています。

西洋では、野草も庭木もオトギリソウの花言葉の範疇になっています。日本では、小低木の品種は、野草のオトギリソウとは、花名も花言葉も別になっています。



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もくじ

ヒペリカムの花言葉

ヒペリカム全般の花言葉

『きらめき』
『悲しみは続かない』

キンシバイの花言葉

『太陽の輝き』
『悲しみを止める』
『魔除け』

ビヨウヤナギの花言葉

『気高さ』
『多感』
『幸い』

ヒペリカムってどんな花?

日本の花屋さんで「ヒペリカム」というと、フラワーアレンジメントなどによく使われている、丸っこいカラフルな実がついた枝が出てきます。

園芸店に行くと、黄色い花の咲く苗木が「ヒペリカム」の名で並んでいます。

花と実を楽しむ小低木

1,コボウズオトギリソウ(小坊主弟切草)

学名:Hypericum androsaemum

ヒペリカム実


ヒペリカムの多くの品種は、赤い実を付けます。コボウズオトギリソウは、改良により、白、クリーム、ピンク、黄、オレンジなど、実色のバリエーションがたくさん揃っています。アレンジメントなどに使われる実の付いた枝のヒペリカムは、ほとんどこの品種です。

ヒペリカムアレンジメント


花期には、花径3cmほどのおしべの長い黄金色の花が咲きます。タイトル写真の花がコボウズオトギリソウです。

2,セイヨウキンシバイ(西洋金糸梅)

学名:Hypericum calycinum

H.カリシナム


ガーデナーに人気の花木のヒペリカムは、大きく開く平咲きで、おしべもたくさんあるこの「H.カリシナム」と、次のキンシバイの亜種「H.ヒドコート」です。

3,キンシバイ(金糸梅)

学名:Hypericum patulum

H.ヒドコート


「Hypericum patulum ヒペリカム・パツルム」は、花径5cmくらいでおしべが短めのカップ型の花が咲く、中国原産の品種です。日本には江戸時代中期に入ってきました。おしべが金色の糸の束のようで、梅に似た5弁の花だったので、「金糸梅」の名が付きました。

ヨーロッパ原産種や花言葉文化が伝わるずっと以前から日本に根付き、江戸の園芸種であったため、現在も「キンシバイ」の名で売られています。

ヨーロッパに渡り、8cmくらいの大輪の花が平咲きになる亜種

「H. patulum cv.Hidcote ヒドコート」(和名:大輪金糸梅)

が作られ、「ヒペリカム」の名で日本の市場に出ています。写真はヒドコートです。

4,ビヨウヤナギ(美容柳・未央柳)

学名:Hypericum monogynum

ビヨウヤナギ


こちらも300年程前、キンシバイに先駆けて中国から伝わった品種です。やはり今でも、花名も花言葉も他のヒペリカムとは別物になっています。

が、見た目はカリシナムやヒドコートにそっくりです。

英名では

「Chinese hypericum(中国のヒペリカム)」

と呼ばれており、西洋ではヒペリカムの代表種のひとつです。

花言葉の由来

輝くようなビジュアル

『きらめき』
『太陽の輝き』
『気高さ』
『多感』
『幸い』

これらは、華やかでゴージャス感あふれるビジュアルに由来する花言葉です。

花は散っても

『悲しみは続かない』
『悲しみを止める』

タイトル写真を見てください。ひとつの枝先に、花と実の両方が付いています。ヒペリカムは1日花で、華やかなのにすぐ散ります。が、実になるまで時間が短く、花期が長いので、夏後半は花も実も付く姿が見られます。

花は命儚く散るけれども、悲しむ間もなくすぐに実がたくさんつく姿を見られる、ということからきた花言葉です。

聖ヨハネの草

『魔除け』

ヒペリカムは、西洋では「聖ヨハネの草」(英名はSt. John’s wort)と呼ばれています。

聖ヨハネはイエスの洗礼をした人です。キリスト教の聖人の中では、特別な存在です。聖ヨハネの名を冠する薬草だったヒペリカムは、昔から『魔除け』のアイテムとして使われてきました。

これは、そんな西洋のいわれから取られた花言葉のようです。

ヒペリカムの基本データ

分類: オトギリソウ科オトギリソウ属
学名: Hypericum ヒペリカム(属名)
    コボウズオトギリソウ:
    H.androsaemum アンドロサエマム
    セイヨウキンシバイ:
    H.calycinum カリシナム
    キンシバイ:
    H. patulum パツルム
    H. patulum cv.Hidcote ヒドコート
    ビヨウヤナギ:
    H. monogynum モノギナム
和名: 小坊主弟切草(コボウズオトギリソウ)
    西洋金糸梅(セイヨウキンシバイ)
    金糸梅(キンシバイ)
    美容柳・未央柳(ビヨウヤナギ)
英名: St.John’s Wort,Sweet-amber
    Tutsan ※コボウズオトギリソウ
    Chinese hypericum ※ビヨウヤナギ
開花時期: 6~9月 夏の花
花色: 黄色
実の色: 赤、ピンク、オレンジ、黄、白など
樹高: 20~100cm 小低木
花持ち期間: 1日
生息地: 世界の温帯~亜熱帯北部の地域
原産地: ユーラシア大陸 


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筆者情報

すずき大和

花に心があったら、自分の花言葉についてどう思うだろう?と、変なことが気になる変わった子供が、成長してライターやってます。花言葉の由来をヒモ解いていくと、花より人の心が見えてきます。花言葉を添えて花を贈るなんて、日本人にはハードル高い行為ですが、まあとりあえず、のんびりウンチクを楽しんでもらえれば幸いです。