夏の花の花言葉

ボダイジュの花言葉/仏教の聖樹+ギリシャ神話の夫婦愛の象徴

Written by すずき大和


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仏教では、釈迦(ゴーダマ・ブッダ)にまつわる3種類の木を「三大聖樹」としています。そのうちのひとつが、クワ科イチジク属の「菩提樹(ボダイジュ)」です。ハート型の大きな葉が特徴的です。

インドから中国に仏教が伝わった時、亜熱帯気候で育つ菩提樹は、中国の都の温帯気候には適さなかったため、代わりに、葉の形がとてもよく似たシナノキ属の木を、寺院の敷地に植えました。以後、中国ではそれを

「菩提樹」(ブッダの樹、という意味)

と呼び、やがて、仏教文化とセットでそのまま日本にも伝わりました。

日本の仏教寺院でよく見られるボダイジュは、そんなわけで、本場のブッダの聖樹ではなく、中国産の菩提樹です。紛らわしいので、園芸では、シナノキ属のほうをカタカナ表記にすることが多いです。

ボダイジュの仲間であるシナノキ属の樹木は、北半球の温帯地域に広く分布しています。シナノキは日本原産種です。ヨーロッパ原産のシナノキ属は

「Linden リンデン」(英)
「Lindenbaum リンデンバウム」(独)

と呼ばれています。日本では、これも「菩提樹 ポダイジュ」と訳しています。

そして、日本のボダイジュの花言葉は、聖樹の菩提樹の表す意味ではなく、ヨーロッパの菩提樹の花言葉をそのまま輸入しました。



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ボダイジュの花言葉

ホダイジュ全般の花言葉

『夫婦愛』
『結婚』
『結ばれる愛』
『熱愛』

西洋の花言葉

『conjugal love(夫婦愛)』(英)
『conjugal fidelity(夫婦の忠実)』(英)
『matrimony(結婚)』(英)
『amour conjugal(夫婦愛)』(仏)
『echtelijke liefde(夫婦愛)』(蘭)

ボダイジュってどんな花?

3種の異なるボダイジュ

1,ボダイジュ

日本や中国の仏教寺院に植わっているボダイジュは、シナノキ属の

「Tilia miqueliana ティリア・ミケリアナ」

という品種です。

西洋やアメリカのシナノキ属より樹高が低めで、ちょうど梅雨の頃に、黄色い花を下向きに咲かせます。タイトル写真の花がそうです。

2,セイヨウシナノキ

ヨーロッパ原産のシナノキ属は複数品種見られますが、昔からある2つの原種が自然交配してできた

「Tilia × europaea ティリア・ユーロパエナ」
(和名:セイヨウシナノキ)

という品種が最も一般的で、日本語で「菩提樹」と呼ぶのは基本的にこの樹です。

ドイツ語のリンデンバウムは、ほぼこの品種を指します。有名なドイツ・ベルリンのウンター・デン・リンデン大通りの街路樹や、シューベルトの歌曲「菩提樹」もこの品種です。

英語のリンデンも、一般的にはこの種のことですが、広くシナノキ属全般を呼ぶ場合もあります。日本のボダイジュもシナノキも、英語ではみな「Linden」です。

ただし、アメリカ原産シナノキ属の代表種だけは、英語で「Basswood バスウッド」と呼ばれています。和名も「アメリカシナノキ」で、「菩提樹」と訳されることはありません。

3,ブッダの菩提樹

ブッダがその根本で悟りを開いたといわれる聖樹は、シナノキ属とは全く別のクワ科イチジク属の樹木です。こちらは常緑高木です。西洋では両者は完全に別物扱いされており、名称も別です。

地球温暖化の影響で、最近は日本の本州南部でも、露地植えで越冬できるようになってきました。が、仏教寺院ではずっとシナノキ属のほうが聖樹のままになっています。

花言葉の由来

フィレモンとバウキス

ギリシャ神話の中に、リンデンの由来となっている逸話があります。

“王神ゼウスと妻ヘラが、旅先で、貧しい人間の老夫婦の心を尽くしたもてなしに感嘆します。褒美を与えようとすると、夫婦は

「死後もお互いが離れ離れにならないようにしてください」

と願いました。ゼウスは夫フィレモンを樫の木に、妻バウキスをリンデンに変えて、2本の樹がずっと寄り添っていくようにしました。”

ヨーロッパではこの話が広く知られ、リンデンは「夫婦の絆」や「幸せな結婚」の象徴という意味を持つようになりました。花言葉の由来もすべてそこからきています。

『夫婦愛』
『結婚』
『結ばれる愛』
『熱愛』

『conjugal love(夫婦愛)』(英)
『conjugal fidelity(夫婦の忠実)』(英)
『matrimony(結婚)』(英)
『amour conjugal(夫婦愛)』(仏)
『echtelijke liefde(夫婦愛)』(蘭)

一方で仏教の聖樹の代用品としておきながら、花言葉は全然そっちの意味を入れずに、西洋の別の神様由来の意味を持たせてしまうところが、宗教におおらか(というか無頓着)な日本人らしいですね。

ボダイジュの基本データ

分類: アオイ科シナノキ属
学名: Tilia miqueliana ティリア・ミケリアナ
和名: 菩提樹(ボダイジュ)
英名: Linden
開花時期: 6~7月 夏の花
花色: 黄
樹高: 約10m 落葉高木
原産地: 中国

セイウシナノキの基本データ

分類: アオイ科シナノキ属
学名: Tilia × europaea ティリア・ユーロパエナ
和名: セイヨウシナノキ
別名: リンデンバウム(Lindenbaum:独)
英名: Linden,Lime tree
開花時期: 6~7月 夏の花
花色: 淡黄色
樹高: 20~30m 落葉高木
原産地: ヨーロッパ


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筆者情報

すずき大和

花に心があったら、自分の花言葉についてどう思うだろう?と、変なことが気になる変わった子供が、成長してライターやってます。花言葉の由来をヒモ解いていくと、花より人の心が見えてきます。花言葉を添えて花を贈るなんて、日本人にはハードル高い行為ですが、まあとりあえず、のんびりウンチクを楽しんでもらえれば幸いです。