夏の花の花言葉

シレネの花言葉/虫取りますが食べません。可愛い道端の雑草

Written by すずき大和

シレネはナデシコ科マンテマ属の学名ですが、一般に「シレネ」と呼ばれているのは、

和名「ムシトリナデシコ(虫取り撫子)」
(学名:Silene armeria シレネ・アルメリア)

和名「フクロナデシコ(袋撫子)」
(学名:Silene pendula シレネ・ペンデュラ)

の2品種の系統の花です。

どちらも江戸時代に観賞用として日本に伝わりました。

草丈が低い(20cmくらい)フクロナデシコは、帰化した種も一部見られますが、主に園芸種としてガーデニングによく使われています。

草丈が50cmくらいになるムシトリナデシコは、帰化してあっという間に繁殖し、今ではどこでも見られる道端の雑草となっています。

同時に、園芸種としても流通していますが、「虫取り撫子」という花名は、可愛らしい外見に似合わない、いかにもグロい食虫植物のようなイメージなので、市場では「シレネ」や「小町草(コマチソウ)」の名で売られています。



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もくじ

シレネの花言葉

シレネ全般の花言葉

『罠』
『未練』
『しつこさ』
『恋の落とし穴にご注意』
『欺瞞』

西洋の花言葉

『snare(罠)』(英)
『Ivresse(酩酊・酔っ払い)』(仏)

赤花(マゼンダ色)の花言葉

『youthful love(青春の恋)』(英)

ムシトリナデシコ紅


白花の花言葉

『betrayed(裏切り)』(英)

ムシトリナデシコ白


シレネってどんな花?

ムシトリナデシコ

2枚ずつ付く葉の根元から茎が枝分かれして伸びていく性質があります。先端の花茎も葉のところからたくさん分枝して広がっています。花径1cmくらいの小さな花がゆるいドーム状に固まって咲く姿は可愛らしく、また、雑草の中では珍しい赤系の花が多いので。道端でも目立ちます。

花に近いほうの葉の下の所に、粘液を分泌する部分があります。粘液のベタベタにたまに虫がくっついて動けなくなるので、「虫取り撫子」の花名になりました。このベタベタ特性は、シレネ属の多くの品種に見られます。

タイトル写真や、花言葉の赤花・白花の写真は、みなムシトリナデシコです。

蜜を盗みに来るアリやハエをけんせいするために生まれた機能と考えられており、くっつけた虫のからだを溶かして養分吸収する機能はありません。

昔は食虫植物の仲間に入れられていた時代もありましたが、虫をくっつけるだけなので、今は、食虫植物扱いはされていません。でも、小さな虫は動けなくなったままやがて死んでしまうので、“殺虫植物”ではあるのですが・・・。

フクロナデシコ

ムシトリナデシコとよく似た、先が5弁に分かれる花を咲かせます。開花期や花色もだいたいムシトリナデシコに被ります。

花びらの根元は筒状ですが、ラッパのようにシュッとすぼんでいくムシトリナデシコと違い、根元にいくほど袋のように膨らんだ形になっています。

フクロナデシコ


品種改良された園芸種の種類が多く、中には八重咲きのものもあります。

フクロナデシコ八重咲


花言葉の由来

きれいな花なのにネバネバ~

『罠』
『未練』
『しつこさ』
『恋の落とし穴にご注意』
『snare(罠)』(英)

可愛らしく咲く道端の花を手折ろうとしたら、手にネバネバがくっついてしまい、

「いやぁ~、なにこれ!」

と、なることから生まれた花言葉です。

  • “罠”とか“落とし穴”は、動けなくなって死んでしまう虫の視点、
  • “未練”“しつこさ”は、なかなか取れないイライラが転じた表見

ですね。

『欺瞞』
『betrayed(裏切り)』(英)

は、可憐な花姿をしながら、虫を殺してしまうしたたかさとのギャップでしょうか。

『youthful love(青春の恋)』

とは、若気の至りで勢いに流されてする恋は、ちょっと心痛い想いに涙してしまう結果となることが多いので、甘い蜜を取りに行って罠に落ちるアリと重ねたのかもしれません。

花名の由来が花言葉の由来

「シレネ(Silene)」の俗名の由来は、ギリシャ神話の神「シレーノス(Silenus)」から付きました。いつも酔っぱらっていて、発酵酒の泡にまみれていたそうです。ベタベタの粘液にまみれる虫の姿に似ていたので、花名になったといわれています。

フランス語の花言葉『Ivresse(酩酊・酔っ払い)』

は、そんなシレーノスのエピソードが元になっています。

ヨーロッパでも、シレネ属の花は、ガーデニングによく使われています。が、一方、繁殖力が強くてすぐ雑草化しやすいので、道端に張り付いてくだを撒いているしょうもない酔っ払いに見立てたのかもしれません。

ムシトリナデシコの基本データ

分類: ナデシコ科マンテマ属(シレネ属)
学名: Silene armeria シレネ・アルメリア
和名: 虫取り撫子(ムシトリナデシコ
別名: 蠅取り撫子(ハエトリナデシコ)、小町草(コマチソウ)
英名: Catchfly(シレネ全般)
Sweet william catchfly(アルメリア)
開花時期: 5~7月 初夏の花
花色: ピンク、紅(マゼンダ)、白
草丈: 30~60cm 越年草
花持ち期間: 3~7日
生息地: 世界中の温暖な地域
原産地: ヨーロッパ南部

フクロナデシコの基本データ

分類: ナデシコ科マンテマ属(シレネ属)
学名: Silene pendula シレネ・ペンデュラ
和名: 袋撫子(フクロナデシコ)
別名: 桜マンテマ(サクラマンテマ)、桜木草(サクラギソウ)
英名: Catchfly(シレネ全般)
Drooping catchfly(ペンデュラ)
開花時期: 4~6月 初夏の花
花色: ピンク、白
草丈: 15~20cm 越年草
花持ち期間: 3~7日
生息地: 世界中の温暖な地域
原産地: 地中海沿岸地域


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筆者情報

すずき大和

花に心があったら、自分の花言葉についてどう思うだろう?と、変なことが気になる変わった子供が、成長してライターやってます。花言葉の由来をヒモ解いていくと、花より人の心が見えてきます。花言葉を添えて花を贈るなんて、日本人にはハードル高い行為ですが、まあとりあえず、のんびりウンチクを楽しんでもらえれば幸いです。