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グロキシニアの花言葉/魅惑のエキゾチック!屋内園芸の女王

Written by すずき大和

グロキシニアという花名を聞いたことがありますか?

南米ブラジル原産の多年草で、1785年に西洋人に発見され、ヨーロッパに伝わりました。
ビロードのような質感の大きな花は、艶やかなビジュアルで、人々はそのエキゾチックな魅力に惹きつけられました。育てるのが比較的難しい花ではありましたが、温室植物として盛んに品種改良され、家庭でも屋内栽培の鉢花として楽しめる園芸種がたくさん生まれました。

日本には明治時代初頭に伝わりました。明治後半から大正にかけ、日本の花にはない艶めかしい美しさが評判になり、裕福な家庭の屋内園芸種として人気になりました。

急速に近代化が進み、日本の国が大らかに開かれていった時代、グロキシニアは

「夏の鉢花の女王」

と呼ばれていました。

ヨーロッパでも日本でも、エキゾチックな花に魅了された人々の心を映すような花言葉がついています。



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グロキシニアの花言葉

グロキシニア全般の花言葉

『華やかな日々』
『艶麗』
『媚態』
『欲望』

西洋の花言葉

『love at first sight(一目惚れ)』(英)
『flechazo(一目惚れ)』(西)
『coup de foudre(一目惚れ)』(仏)

花言葉の由来

上品かつ妖艶な熱帯の花

グロキシニアの原種は、熱帯雨林の岩の上や崖などに自生していた

「Sinningia speciosa シンニンギア・スペシオサ」

という野生の品種です。現在出回っている園芸種はこれをもとに品種改良されたものです。

原種は、ラッパ状の花が下向きに咲きますが、改良園芸種は、株の中心から短めの茎をたくさん伸ばして先端に上向きに花を付けます。園芸種は八重咲も多く、株の中心にいくつも大きな花が固まって咲く様子は、とても華やかです。

鮮やかな色の花びらは、中心や縁が色違いになっているものも多く、濃い色の周りを淡い色が包み込んでいます。ビロードのような独特の艶を持つ濃い色の強めの印象がソフトにぼけて、全体を上品に見せています。

表面に細かな毛がたくさん生えた楕円型の葉っぱは、花びら同様ビロードのような質感があり、地面から放射状に広がっています。濃い落ち着いた緑色の葉と中心の鮮やかな大きな花の取り合わせは、品を感じさせながらも、熱帯雨林の植物らしい妖艶な雰囲気を醸し出しています。

『華やかな日々』
『艶麗』
『媚態』
『欲望』

これらの花言葉は、官能を思わせるエキゾチックな花の魅力から連想され、生まれた言葉です。なんとも艶めかしい響きです。

『love at first sight(一目惚れ)』(英)
『flechazo(一目惚れ)』(西)
『coup de foudre(一目惚れ)』(仏)

ヨーロッパ人たちは、そんな魅惑的な花に、一目で魅かれてしまったようです。

グロキシニアってどんな花?

高村光太郎と智恵子

明治・大正・昭和と激動の時代を生き、多くの作品を世に残した近代を代表するアーティスト「高村光太郎」をご存知ですか?中高生の頃、国語の教科書で、

「道程(どうてい)」
「智恵子抄(ちえこしょう)」

などの詩を読んだことを覚えている人もいるでしょう。

彼は、詩人・歌人であり、著名な彫刻家・画家でもありました。最愛の妻智恵子と初めて出会ったのは、最初のアトリエが完成した時でした。智恵子さんはその時お祝いにグロキシニアの花を持ってきたそうです。

光太郎は、後に智恵子抄の中で、智恵子に恋をしながら、彼女にいいなづけがいることを知って苦悶する心情を綴った詩を発表しています。

智恵子が他の男性の所へ嫁に行ってしまうのは、

“あのグロキシニヤの 大きな花の腐つてゆくのを見る様な”

気持ちであるという記述があります。

浪漫の香り満ち、社会が成熟に向かった、近代で最も自由と文化を謳歌したデモクラシーの時代、セレブのステイタスの中に、グロキシニアの鉢花もあったのでしょうか。今でいうとカトレアや胡蝶蘭のような贅沢さや気品を表す花だったのかもしれません。

時代の中で忘れられていった花

鉢花の女王と呼ばれるくらい、人々の憧れを引く花でしたが、寒さにも日本の湿度の高い夏の暑さにも弱く、もともと密林の下草なので、直射日光に長く当たることも苦手、夜明るくしてもダメ、という、とてもデリケートな花でした。

10~25℃の室温を一年中ずっと保てるような家でないと、上手に育てるのは難しい花です。当時、そんな室内環境で暮らすのは裕福な家庭の人たちでした。

日本はその後戦火の時代に入ります。続く戦後の混乱期も、皆が生き抜くのに必死な中、“贅沢を象徴する花”は、だんだん社会から忘れられていきました。

戦後、文化も経済も復興し、高度成長の時代を迎えると、グロキシニアの育成も復活しました。しかし、便利で楽なことが尊ばれる現代では、手間暇のかかる園芸種は大衆受けする人気の花にはなりませんでした。

21世紀の今、住宅環境は向上し、冬でも室温10℃以下になることはほとんどなくなりました。今のグロキシニアの園芸種は、15℃以下になると成長が止まり、冬場は枯れますが、屋内ならば根は休眠して越冬できるようになりました。

戦前の人気には及びませんが、鉢花愛好家の間では、今も

「屋内園芸植物の女王」

として、グロキシニアは静かで根強い人気があるのです。

グロキシニアの基本データ

分類: イワタバコ科オオイワギリソウ属
学名: Sinningia speciosa シンニンギア・スペシオサ
和名: 大岩桐草(オオイワギリソウ)
英名: Gloxinia,Violet slipper
開花時期: 5月~7月、9月~11月
※室温30℃未満を保てば真夏も咲きます
花色: 赤、白、ピンク、オレンジ、青、紫、複色など
草丈: 10~30cm 多年草
原産地: ブラジル


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筆者情報

すずき大和

花に心があったら、自分の花言葉についてどう思うだろう?と、変なことが気になる変わった子供が、成長してライターやってます。花言葉の由来をヒモ解いていくと、花より人の心が見えてきます。花言葉を添えて花を贈るなんて、日本人にはハードル高い行為ですが、まあとりあえず、のんびりウンチクを楽しんでもらえれば幸いです。