夏の花の花言葉

ナナカマドの花言葉/雪の中の赤い実の木は魔除けのおまもり

Written by すずき大和

日本には、秋になって赤い小さな実が枝先にたわわに付く花木が多くあります。

多くが冬場まで実が落ちず、常緑です。緑色の元気な葉と赤い実は、縁起のいいもの扱いされることが多く、正月飾りの生け花には千両・万両・南天などがよく使われます。西洋のヒイラギも、クリスマスのシンボルとして年末は町に溢れていますね。

北海道や東北地方で、街路樹として植えられているのをよく見るナナカマドも、秋に赤い実が成り、雪の季節も実が落ちない高木です。ただし、こちらは落葉樹なので、秋には紅葉して葉が散ります。雪の頃は葉がなく、枝先の赤い実と積もった雪の白とのコントラストが印象的です。

ナナカマドの実は鳥によく好まれ、タイトル写真のように、雪景色の中、枝先で実をついばむ小鳥の写真を撮る写真家さんがとても多いです。

ナナカマドは西洋にも古くからある花木です。が、東アジアのナナカマドと、ヨーロッパのナナカマドは、同じナナカマド属でも別の品種です。両者の見た目は、木も花も実も葉もそっくりです。

近代、花言葉文化が西洋から入ってきた時、セイヨウナナカマドは普及しませんでしたが、花言葉だけ輸入され、そのまま日本のナナカマドの花言葉にもなりました。



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もくじ

ナナカマドの花言葉

ナナカマド全般の花言葉

『慎重』『賢明』
『用心』
『安全』
『私はあなたを守る』

西洋の花言葉

『prudence(慎重、賢明)』(英)
『I watch over you(私はあなたを見守る』(英)
『charm(魅力・魔力)』(英)

ナナカマドってどんな花?

こんな花

ナナカマド

ナナカマド花


ナナカマド花のアップ

ナナカマド花アップ


セイヨウナナカマド

セイヨウナナカマド


ナナカマドの花は、5~7月にかけて初夏のシーズンに咲きます。枝先に5弁の小さな白い花が固まって咲いています。ひとつひとつの花は、おしべが長く飛び出しているのが特徴です。

資料によっては、セイヨウナナカマドは、“蕾が細かい毛に覆われて紫茶色をしている”と書いてあります。が、英語やフランス語のサイトを検索すると、日本のナナカマドのように、毛がない白くて丸い蕾をつけた木の写真もたくさん出てきます。おしべの色や長さも、日本でも西洋でもいろいろあり、はっきりと2品種を区別できる違いはありません。

花言葉の由来

セイヨウナナカマドの魔除けパワー

ナナカマドは、西洋では古代から“魔除けのおまじない”として知られています。

始まりは、イギリス北部を中心としたケルト人文化だったようです。スコットランドでは「wiggen tree」と呼ばれ、邪悪なものを避ける神聖なアイテムでした。英語のサイトを検索すると、様々な言説が出てきます。

日本でよく紹介されるのはこのふたつの話。

“雷神トールが大洪水で流されて溺れかけた時、ナナカマドの木につかまって命拾いした。船を作る時はナナカマドの板を一枚どこかに用いると、水難に会わなくなる”

“ヨーロッパ各地では、ナナカマドの枝で十字架をつくり家畜小屋の戸口にかけて魔除けにした。また、弔事の際は、教会の墓地のナナカマドの枝でつくった十字架を身につけた”

他にも、昔から今までのナナカマドの様々な「おまじない」情報が見つかります。

ケルト人にとってナナカマドの木は、超常的な神秘の力を秘めていると信じられていました。この木は、以下のものを象徴しているといいます。

  • ビジョン
  • バランス
  • ヒーリング
  • 神秘
  • コンタクト
  • 保護
  • 占い
  • 変革

人々の命と生活と成功を見守るパワーが宿されている感じですね。

『prudence(慎重、賢明)』(英)
『I watch over you(私はあなたを見守る)』(英)
『charm(魅力・魔力)』(英)

英語のこれらの花言葉は、ナナカマドの魔除けパワーから連想されたものです。

日本語の花言葉もこれに準じたものです。

『慎重』『賢明』
『用心』
『安全』
『私はあなたを守る』

迷走する花名の由来

Prudence は、花言葉では『慎重』と訳されていますが、消極的で何もしないイメージの言葉ではなく、むしろ

“思慮分別を持って用心深く行動する”

というニュアンスです。なので『賢明』の訳のほうがよりマッチしています。魔除けのおまじないは、用心にこしたことはない賢明なひと手間ということですね。

日本の花言葉サイトでは、『慎重』の由来は

“ナナカマドの木はなかなか燃えないから”

と解説しているものが多いです。これは、“消極的”ニュアンスで解釈したせいかな、と思われます。

そもそも、この“ナナカマドはなかなか燃えない”という話は、花名の由来として

“7回竈(かまど)にくべないと、燃えつきないくらい燃えにくい”

という説が広く流布されているのが元です。が、実際のナナカマドの木材はとてもよく燃える薪になります。また、ゆっくり燃やすと高級な炭になります。

ナナカマド(七竈)の由来は、複数の説があります。

“炭が出来上がるためには7回竈で焼く必要がある”

“ナナカマドの木材は固いので、食器を作ると7回竈がダメになるまで長持ちする”

などなど、どれもなんだか怪しい由来です。

真相はわかりませんが、食べ物の少ない季節、雪の中にちらちら見えるナナカマドの赤い実は、鳥たちにとっては竈の火のように、暖かくありがたいものに見えるでしょう。

ナナカマドの基本データ

分類: バラ科ナナカマド属
学名: Sorbus ソルパス(属名)
和名: 七竈(ナナカマド)
別名: 山南天(ヤマナンテン)、雷電木(ライデンボク)
英名: Rowan,Mountain ash (ナナカマド属全般)
    Japanese rowan (日本のナナカマド)
開花時期: 5~7月 初夏の花
花色: 白
樹高: 5~10m 落葉中低木
原産地: 北半球の温帯地方


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筆者情報

すずき大和

花に心があったら、自分の花言葉についてどう思うだろう?と、変なことが気になる変わった子供が、成長してライターやってます。花言葉の由来をヒモ解いていくと、花より人の心が見えてきます。花言葉を添えて花を贈るなんて、日本人にはハードル高い行為ですが、まあとりあえず、のんびりウンチクを楽しんでもらえれば幸いです。