ポピーの和名は
「ヒナゲシ」
と、紹介されることが多いですが、ヒナゲシは一品種の名称です。世界では一般的にケシ科ケシ属の植物、場合によってはケシ科の植物全部を「ポピー」と呼んでいます。
日本でも、店頭でポピーの名で流通しているのは、ヒナゲシのほか、アイスランドポピー、オリエンタルポピー(和名オニゲシ)などの品種です。
アヘンの原料成分となるモルヒネが含まれる品種も、ポピー中の一種です。日本ではこちらを「ケシ」と呼んで、園芸種のポピーと区別しています。
モルヒネは、厳重な管理のもとに医療に活用されますが、古代文明の頃は民間の睡眠薬としてポピーが日常的に利用されていました。
属名の学名「Papaver」は、ラテン語の「papa(おかゆ)」が語源ですが、これは、赤ちゃんをよく寝かせるために、ケシの汁入りおかゆをあげていたことに由来しています。
麻薬が違法で、ケシの栽培や所持が禁止されている現代の日本からすると、びっくり仰天ですね。
もくじ
ポピーの花言葉
ポピー全般の花言葉
『いたわり』
『思いやり』
『慰め』
『恋の予感』
『陽気で優しい』
西洋の花言葉
『oblivion(忘却)』(英)
『sleep(眠り)』(英)
『imagination(想像力)』(英)
『repos(休息)』(仏)
『tranquilité(平静)』(仏)
『consolation(慰め)』(仏)
『I’ardeur fragile(壊れやすい熱意)』(仏)
『troost(慰め)』(蘭)
『slaap(眠り)』(蘭)
『dromen(夢)』(蘭)
『trost(慰め)(独)
色別の花言葉
赤花の花言葉
『慰め』
『感謝』
『喜び』
『consolation(慰め)』(英)
『pleasure(喜び)』(英)
白花の花言葉
『眠り』
『忘却』
『sleep(眠り)』(英)
黄花の花言葉
『wealth(富)』(英)
『success(成功)』(英)
品種別の花言葉
ヒナゲシの花言葉
『心の平静』
『乙女らしさ』
『別れの悲しみ』
『休息』
アイスランドポピーの花言葉
『七色の恋』
オリエンタルポピーの花言葉
『夢想』
『妄想』
『繁栄』
『やさしい愛』
ポピーってどんな花?
日本で流通するポピー
ケシ属はポピーもケシも含めて60種以上あります。ヨーロッパからアジアにかけての寒帯から温帯が原産地で、日本にも利尻島に固有種があります。店頭に出回っている園芸種のほとんどは外来種ですが、帰化して野性化しているものも多くあります。
内外で見られる代表的な園芸種です。日本では個別に花言葉がついています。
1,ヒナゲシ(Corn poppy)
最もポピュラーな自生種です。小さめの花が特徴です。
2,アイスランドポピー(Iceland poppy)
花もちが長いので、切り花として店頭に売られているのはほとんどがこの品種です。
3,オリエンタルポピー(Oriental poppy)
花の中央の黒い斑点が特徴です。大きめの花が咲きます。
花言葉の由来
心休める睡眠薬
ポピーは茎などを傷つけると白い乳液が出ます。この液にはアルカロイド成分が含まれ、多くは古代から薬用として利用されてきました。特にモルヒネの鎮痛・鎮静作用はよく知られており、花言葉の多くもそこに由来します。
『いたわり』
『思いやり』
『慰め』
『心の平静』
『休息』
『夢想』
『妄想』
『眠り』
『忘却』
『oblivion(忘却)』(英)
『sleep(眠り)』(英)
『consolation(慰め)』(英)
『repos(休息)』(仏)
『tranquilité(平静)』(仏)
『consolation(慰め)』(仏)
『troost(慰め)』(蘭)
『slaap(眠り)』(蘭)
『dromen(夢)』(蘭)
『trost(慰め)(独)
ギリシャ神話のデメテル
ポピーの鎮静剤の話は、ギリシャ神話の中にもあります。
豊穣の女神デメテルは、最愛の娘を冥界の王ハデスに奪い去られ、悲しみに打ちひしがれて夜も眠れません。眠りの神ヒュプノスは、そんなデメテルにケシの実を与えます。デメテルはようやく眠ることができ、心と身体を癒しました。
『やさしい愛』
は、ヒュプノスの心遣いを
『感謝』
『喜び』
『pleasure(喜び)』(英)
は、デメテルのヒュプノスへの謝意を
『別れの悲しみ』
は、デメテルの娘を思う気持ちを表したものです。
明るい暖色系の花のイメージ
『恋の予感』
『陽気で優しい』
『乙女らしさ』
『七色の恋』
『imagination(想像力)』(英)
明るく快活で可愛らしい花姿のイメージから生まれた花言葉です。
アイスランドポピーは、白・赤・ピンク・オレンジ・黄色などのとりどりの花色が入り混じって群生しているので、『七色の恋』です。
あっという間に咲いて散る
『繁栄』
ポピーは成長がとても早いので、花畑が育つ光景が繁栄の象徴に見えます。
『I’ardeur fragile(壊れやすい熱意)』(仏)
アイスランドポピー以外の種は、花期は2~3か月ありますが、一つ一つの花は多くが1~3日でしぼんでしまうところからきています。フランス語の「壊れやすい熱意」というのは、
“できるだけ早く愛を成就させましょう(急がないと覚めちゃうよ)”
という意味を示唆しています。
分類: ケシ科ケシ属
学名: Papaver パパウェル(属名)
和名: 雛罌粟(ヒナゲシ)(P. rhoeas ロエアス)
シベリア雛罌粟(P. nudicaule ヌディカウレ)
鬼罌粟(オニゲシ)(P. orientale オリエンタル)
別名: 虞美人草(グビジンソウ)、コクリコ ※ヒナゲシの別名
英名: Corn poppy, Corn rose, Field poppy (P. rhoeas)
Iceland poppy アイスランドポピー(P. nudicaule)
Oriental poppy オリエンタルポピー(P. orientale)
開花時期: 4~6月 春の花
花色: 赤、白、黄、ピンク、オレンジなど
草丈: 20cm~1m
花持ち期間: 1~3日
原産地: ヨーロッパ、アジア