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クリの花言葉/ラグジュアリーな実のなる木は正義の象徴

Written by すずき大和

クリの木は、北半球の温暖な地域に古代から広く分布しており、世界に700種ほどあるといわれています。大昔から、脂肪分の多い大きなタネ(実)は、世界中で食用にされ、固い幹は木材として生活の中で使われてきました。

人々の暮らしに身近だったクリには、花言葉(“実”言葉でもあります)と共に、樹木そのものにも“樹”言葉のようなメッセージがあります。



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もくじ

クリの花言葉

クリ全般の花言葉

『贅沢』
『豪奢(ごうしゃ)』
『豪華』
『満足』
『真心』
『豊かな喜び』

樹木の花言葉

『私に対して公平であれ』
『私を公平にせよ』

西洋の花言葉

『luxury(贅沢、豪奢)』(英)
『Do me justice(私に対して正義をなせ)』(英)
『S’il vous plaît noter moi plus(私をもっと評価してください)』(仏)
『Kannst du mir verzeihen?(私を許してもらえますか?)』(独)

クリってどんな花?

同じ木に雄雌異なる花

クリは、品種によって繁殖地域が分かれます。日本に自生するヤマグリやシバグリは、日本原産種で、日本や朝鮮半島で主に生育しています。食用に栽培されているのは、この野生種を改良したものです。一般に野生の栗の仲間は20m以上の高木になることが多いですが、栗畑では3mくらいの木が並んでいることも少なくありません。

ヨーロッパグリ、アメリカグリ、シナグリ(中国産)は、品種が異なり、花色や花穂の長さが微妙に違いますが、どれも、ひとつの樹に雄花と雌花が咲き、うまく受精した雌花が成長してイガになり、実を付けます。

1,雄花

梅雨が近づく頃、長い猫じゃらしのような乳白色のふさふさした花穂が、何本も枝に付きます。これが雄花です。写真は日本の栽培種の花です。

日本栗の雄花


西洋の品種や、野生の栗は、若干花房が長めです。

山栗の雄花


2,雌花

雌花は枝の根本付近に緑色のトゲトゲに包まれて、ひっそり小さく咲きます。なかなか気づかれないことが多く、一般投稿写真サイトなどではめったに載っていません。

日本栗の雌花


花言葉の由来

セレブなイメージ?

クリというと、日本ではお正月の栗きんとんや、栗ぜんざい、栗蒸し羊羹など、ちょっとリッチなお遣い物にもなるような高級和菓子の食材にされています。洋菓子でも「マロングラッセ」はセレブご用達のイメージですね。

イギリスでは、マロングラッセのセレブ感というより、クリーム色のふさふさの雄花の花穂が揺れる姿が、ゴージャスな雰囲気があったことから、

『luxury(贅沢、豪奢)』

の花言葉がついたようです。

最近は、日本語でもカタカナで「ラグジュアリー」と使われることが多いですが、花言葉が伝わった当時は、「豪奢(ごうしゃ)」と訳されていました。以下は、意訳のバリエーションと思われます。

『贅沢』
『豪華』
『満足』
『真心』
『豊かな喜び』

大きな栗の木の下で

ヨーロッパやアメリカ原産のクリの仲間は、東アジアのクリより更に高く太く育って、大木になることが多いです。

大きな栗の木


大木は、人間界の力のあるものを象徴しました。強者ほど横柄で横暴な振る舞いをしたり、弱い者を虐げたりするのは、大昔から人間社会の常でしたから、そんな理不尽を無くす公正さを望む市井の人々の思いが反映し、クリの木は、西洋では

  • 正義
  • 真実
  • 寛大さ
  • 活力
  • 公正

などを象徴する樹、とされてきました。

『Do me justice(私に対して正義をなせ)』(英)
『S’il vous plaît noter moi plus(私をもっと評価してください)』(仏)
『Kannst du mir verzeihen?(私を許してもらえますか?)』(独)

これらの花言葉が生まれたのは、そのようなニュアンスからといわれています。

『私に対して公平であれ』
『私を公平にせよ』

これら日本語の樹木の花言葉は、英語の『Do me justice』を訳したものと思われます。

マロンとマルーン

マロンは英語じゃありません

日本人の中には、クリを英語でいうと「マロン」だと思っている人が多いかもしれません。正しくは、英語では

「Chestnut チェスナッツ」

といいます。

「Marron マロン」は、フランス語です。

マロンは、本当はクリじゃありません

実は、フランス語でも、クリの実は

「Châtaigne シャテーニュ」

と呼ばれています。

Marronは、本来はマロニエの木の実を指しました。

マロニエの実


マロニエはトチノキ科、クリはブナ科で全く別の木ですが、トゲトゲの殻の中に褐色の皮に覆われた大きなタネ(実)ができるのはクリそっくりです。

マロニエの実もクリと同じように食べられます。フランスのマロングラッセは、初めはマロニエの実で作られていました。

しかし、次第に食用栽培種はクリが主流になり、どちらの木の実も「Marron」と呼ばれるようになっていったようです。

Marronは、褐色の色名にもなっており、英語でも濃い赤褐色(あずき色)のことを

「Maroon マルーン」

といいます。日本でも、関西を走る阪急電車のあずき色の車両の塗装のことを

「阪急マルーン」

と呼んでいますが、“栗色”ではなく、マロニエの実の色名からきています。

クリの基本データ

分類: ブナ科クリ属
学名: Castanea カスタネア(属名)
Castanea crenata C.クレナタ(日本の栗)
和名: 栗(クリ)
別名: 柴栗(シバグリ)、山栗(ヤマグリ)
英名: Chestnut
Japanese Chestnut(日本の栗)
開花時期: 5~6月 初夏の花
花色: 白、乳白色
樹高:15~40m 落葉高木
   ※日本の栽培種は2~5m多い
生息地: 北半球の温暖で湿潤な地域
原産地: 東アジア、ヨーロッパ、北アメリカ 


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筆者情報

すずき大和

花に心があったら、自分の花言葉についてどう思うだろう?と、変なことが気になる変わった子供が、成長してライターやってます。花言葉の由来をヒモ解いていくと、花より人の心が見えてきます。花言葉を添えて花を贈るなんて、日本人にはハードル高い行為ですが、まあとりあえず、のんびりウンチクを楽しんでもらえれば幸いです。