夏の花の花言葉

ギンバイカの花言葉/愛と繁栄を象徴する祝いの木

Written by すずき大和

イギリスのロイヤルウエディングでは、花嫁のブーケの中に、ひと枝のマートルを入れるのが伝統になっています。これは1840年、ヴィクトリア女王の結婚式の時から続く習わしです。

白いドレスが花嫁衣裳の標準になったのも、ヴィクトリア女王が乳白色のドレスを選んだことから広まったといわれています。女王は「純潔」を表すために、白いシルクサテンのドレスを着て、純白の花マートルをブーケにしました。

マートルは日本語では

「銀梅花(ギンバイカ)」

と呼ばれています。



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もくじ

ギンバイカの花言葉

キンバイカ全般の花言葉

『愛』
『愛のささやき』
『高貴な美しさ』
『愛くるしさ』
『平和』
『処女性』

西洋の花言葉

『love(愛)』(英)
『amour(愛)』(仏)
『verdadero amor(真実の愛)』(西)
『Wir werden bald heiraten(もうすぐ結婚します)』(独)

ギンバイカってどんな花?

南ヨーロッパで古代から愛される園芸種

ギンバイカは、初夏を彩る純白の花を咲かせる花木です。まん丸の玉のような白い蕾がほころぶと、白梅のような5枚の花弁の花が開き、長くたくさんあるおしべが華やかさを演出する、美しい花です。

マートル


地中海沿岸からヨーロッパ南西部にかけてが、原産地です。常緑低木で1年中艶のある緑の葉を持ち、切った枝もしおれにくく、純白の花とのコントラストも美しいため、古代地中海世界では、

  • 不死
  • 復活
  • 勝利
  • 成功
  • 繁栄

などを象徴する花木として、いろいろな宗教儀式や民間信仰に使われてきました。

日本には、明治時代に園芸用として入ってきました。日本の気候でも良く根付き、梅に似た花は日本人にも好まれ、庭木などに利用されるようになりました。常緑で丈夫なので生垣に向いており、現代では香りのするトピアリーとしてもよく使われます。

香のハーブ

葉に油腺があり、揉むとユーカリに似た強い芳香を放つため、ハーブとしても利用されてきました。西洋では、古くから葉を肉料理の香り付けに使ったり、リキュールを作って祝い事に供したりしていました。

殺菌作用のある成分も含まれるので、現代でも、薬用やアロマセラピーに使われています。日本では、「マートル」というとハーブとして流通しているものを指す場合が多いです。

花言葉の由来

子孫繁栄につながる愛

古代社会で勝利や繁栄のイメージの中には、必ず子孫繁栄のニュアンスが含まれます。ギンバイカは、純白の花のもつ純潔のイメージとも重なり、子宝につながる男女で育む「愛」の象徴にもなっていきました。

  • シュメール文化では、豊穣と愛と美と性と戦争の女神イナンナの聖花でした。
  • 古代エジプトでは、愛と歓喜の女神ハルトに捧げる花でした。
  • ギリシャ世界では、愛と美と性の女神アフロディーテを象徴する花のひとつです。
  • 古代ローマでも、ヴィーナス(アフロディーテのローマ神話での名)の象徴でした。

『愛』
『愛のささやき』
『高貴な美しさ』
『愛くるしさ』
『平和』
『処女性』
『love(愛)』(英)
『amour(愛)』(仏)
『verdadero amor(真実の愛)』(西)
『Wir werden bald heiraten(もうすぐ結婚します)』(独)

これらの花言葉は、長い歴史の中で、様々な愛の神様の象徴となってきたキンバイカに込められた意味を表現したものです。

愛と結婚の象徴

古来より愛と繁栄を象徴してきたキンバイカのメッセージは、地中海世界から広くヨーロッパに広がり、特にイギリスでは結婚式の花の定番となっていきました。

イングランドの田舎やウェールズでは、ブーケのマートルの枝を花嫁が新居の庭に植え、その枝が育って大きく茂ると、家庭も円満になると伝えられました。今も古い家にはギンバイカが植えられていることが多いそうです。玄関の門の両側に植えられているマートルは神聖なものであり、神に逆らう行為とみなされてしまうため、絶対に掘り出してはいけない、といわれています。

そして、ヴィクトリア女王がブーケに使ったことが広まると、西洋全般で、ギンバイカは結婚の象徴のようになり、ブライダルな儀式に欠かせない花として定着したのです。

花の持つメッセージは、勝利と成功のシンボルから、

『Innocence(潔白)』
『Purity(純度)』
『Truth(真実)』
『Chastity(貞操)』

の象徴に変化していきました。これらは、英語の白い花全般の花言葉でもあります。

日本では、宗教的な意味は持ちませんが、“銀梅花”の字面は縁起のいいものですから、

「祝いの木(イワイノキ)」

の別名でも呼ばれ、やはりお祝い事の花として重宝されています。結婚式に限らず、いろいろなおめでたい場でもっと活用していきたい花です。

ギンバイカの基本データ

分類: フトモモ科ギンバイカ属
学名: Myrtus communis ミルツス・コムニス 
和名: 銀梅花(ギンバイカ)
別名: 銀盃花(ギンバイカ)
    銀香梅(ギンコウバイ)
    銀香木(ギンコウボク)
    祝いの木(イワイノキ)
    マートル
英名: Myrtle
    Common myrtle,True myrtle
開花時期: 5~7月 初夏~夏の花
花色: 白
樹高: 1~3m 常緑低木
原産地: 地中海沿岸~ヨーロッパ南西部 


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筆者情報

すずき大和

花に心があったら、自分の花言葉についてどう思うだろう?と、変なことが気になる変わった子供が、成長してライターやってます。花言葉の由来をヒモ解いていくと、花より人の心が見えてきます。花言葉を添えて花を贈るなんて、日本人にはハードル高い行為ですが、まあとりあえず、のんびりウンチクを楽しんでもらえれば幸いです。