春の花の花言葉

トチノキの花言葉/古代日本人を支えた大事な木の実

Written by すずき大和

トチノキ属は街路樹のマロニエ(和名:セイヨウトチノキ)を初め、世界の温帯地域で広く植樹、栽培されている、落葉広葉樹です。

マロニエは、バルカン半島の一部の山地の固有種でしたが、16世紀にヨーロッパで街路樹として植栽することが流行し、一気に広まりました。パリのシャンゼリゼ通りの並木道は世界的に有名です。

日本原産のトチノキは、古代人が狩猟生活をしていた頃から、その実(トチの実)が貴重な食材として食べられてきました。縄文時代の遺跡からも、トチの実の化石が多く発見されています。



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もくじ

トチノキの花言葉

トチノキ全般の花言葉

『贅沢』
『豪奢』
『健康』

マロニエの花言葉

『天才』
『天分』
『博愛』

西洋の花言葉

『luxury(贅沢、豪奢)』(英)
『luxure(贅沢、豪奢)』(仏)

トチノキってどんな花?

トチノキの花

トチノキの花


和名「トチノキ」の由来は、“十と千”の木という意味からきています。十と千とは“たくさんある”ことを表します。何がたくさんかというと、トチノキには実にたくさんのタネ(実)が実るためです。

たくさんの実をつける前には、たくさんの花が咲きます。トチノキ属の花は、天に向かって立ち上るような円錐形の花序(花穂)をしています。

マロニエの花

マロニエの花


トチノキの花は乳白色や白が多いですが、マロニエは白花に赤い斑点があるものが一般的です。観賞用の街路樹などは、ピンクの花びらのものもあります。

16世紀にヨーロッパでマロニエが爆発的に人気になったのは、春うららの季節に咲く花の美しさが人々を魅了したためです。今日では、世界中の街々の街路樹や公園の植栽に使われています。ヨーロッパでは、春に花の鑑賞会も開かれており、日本のお花見の桜のようなものでしょうか。

花言葉の由来

クリじゃないけどクリそっくり

  • マロニエの英名は、Horse-chestnut
  • 学名(ラテン名)は、hippocastanum

どちらも、「ウマグリ(和名)」という意味です。

ヨーロッパではかつてマロニエの実が馬の治療薬に使われていました。そして、その実の見た目から、昔はクリの仲間と思われていたのです。

フランス語では、マロニエの実の名前だった

「marron マロン」

が、クリの実の名称としても使われています。日本にもこれが伝わり、クリは英語の「chestnut」ではなく、「マロン」と呼ばれています。

1,クリの実

クリの実


2,マロニエの実

マロニエの実


『贅沢』
『豪奢』
『luxury(贅沢、豪奢)』(英)
『luxure(贅沢、豪奢)』(仏)

これらは、クリの花言葉です。

西洋では比較的花言葉のくくりがおおざっぱなので、名前が共通している植物は、別品種でも一緒の仲間扱いされることが多いです。英語その他多くの言語では、マロニエはクリの花言葉の範疇となっているか、クリと同じ花言葉が付いています。

日本では現役の食材

トチノキ属の木の実には、アルカロイド系のサポニンなど、毒性物質が含まれています。ブナ科クリ属のクリの実は加熱すれば甘くなりますが、トチノキやマロニエの実は見た目がクリでも、そのままでは苦み渋みが強くて、微毒のため食べられません。手間をかけて渋抜きすることで食材になります。

西洋では、かつてはマロニエの実も食べられていました。記録によると、最初のマロングラッセは、マロニエの実で作られていたそうです。が、クリの実のほうが加工しやすく美味しかったので、食用は次第にクリ主流となり、現在では食べるマロンはすべてクリの実です。

一方、縄文時代からトチの実を食材にしてきた日本では、今も尚、渋抜きした実から採れるデンプンを練って作る「トチ餅」や「トチ団子」が、郷土食として食べ継がれています。

飢饉の時などは、貴重なデンプンとして主食の代用にもなってきました。

ちなみに、これがトチの実です。マロニエと違い、殻にトゲトゲがありません。

トチノキの実


『健康』

の花言葉は、貴重なエネルギー源となってきた食材に感謝する意味も込められているのでしょうか。

『天才』
『天分』
『博愛』

これは、マロニエの花言葉とされていますが、トチの実の

“天から賜った”食べ物

のイメージに由来しています。

マロンとシャテーニュ

本場のマロングラッセ

さて、フランスでも、一般的にクリ(châtaignier シャテニエ)の実は

「Châtaigne シャテーニュ」

と呼ばれています。

もう一度クリとマロニエの実の写真をよく見てください。クリはひとつのイガに2、3個の実が入っていますが、マロニエはほぼ1個の実です。このため、マロニエの実はまん丸の形をしています。

フランスでは、厳密には、クリの中でもひとつのイガに1個だけ入っていたまん丸のものだけを「マロン」と呼び、他は「シャテーニュ」として区別しているのだそうです。本場のマロングラッセは、もちろん、マロンを使うのが原則です。

トチノキの基本データ

分類: トチノキ科トチノキ属
学名: Aesculus アエスキュラス(属名)
トチノキ;A.turbinata A.チュービナタ
    マロニエ:A.hippocastanum A.ヒッポカスタニウム
和名: トチノキ(栃の木、橡)
    セイヨウトチノキ(西洋栃の木)
別名: マロニエの別名はウマグリ(馬栗)
英名: Horse-chestnut,Conker tree
仏名: Marronnier
開花時期: 4~5月 春の花
花色: 白、乳白色、薄いピンク
樹高: 10~35m以上 落葉高木
生息地: 世界の温帯地域
原産地: トチノキ:日本
     マロニエ:バルカン半島


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筆者情報

すずき大和

花に心があったら、自分の花言葉についてどう思うだろう?と、変なことが気になる変わった子供が、成長してライターやってます。花言葉の由来をヒモ解いていくと、花より人の心が見えてきます。花言葉を添えて花を贈るなんて、日本人にはハードル高い行為ですが、まあとりあえず、のんびりウンチクを楽しんでもらえれば幸いです。