カンパニュラ(Campanula)は、ホタルブクロ属全体を指す学名です。ホタルブクロや桔梗なども含まれ、世界で約300の品種が、北半球に広く自生しています。
花の色形はいろいろありますが、多くがカップ型の花びらしており、花はやや下向きや横向きに咲きます。その姿が、まるで釣鐘のように見えるので、ラテン語の
「campana(小さな鐘)」
にちなみ名付けられました。
英語では、カンパニュラ全体を
「bellflower(ベルフラワー)」
とも呼びます。各品種の英名も「○○○・ベルフラワー」というのが多いです。
和名も、品種ごとに細かく決まっています。が、近年、園芸界では、特定の種が「カンパニュラ」「ベルフラワー」の名で流通している例も見られます。
ネットで検索すると、呼び名が混在しているのがわかります。ひとことで「カンパニュラ」といっても、どの範囲、どの花のことをいっているのか、いろいろな解釈の情報が出回っています。
花言葉についても、カンパニュラ属全体の花言葉なのか、特定品種の花言葉なのか、対象範囲が情報によりまちまちです。ただ、多くの花言葉の基になっている由来は共通しています。
もくじ
カンパニュラの花言葉
カンパニュラ全般の花言葉
『感謝』
『誠実』
『節操』
『誠実な愛』
『不変』
種類別の花言葉
アルペンブルーの花言葉
『大望』
『うるさい』
ホタルブクロの花言葉
『忠実』
『正義』
乙女桔梗(ベルフラワー)の花言葉
『楽しいおしゃべり』
西洋の花言葉
『gratitude(感謝)』(英)(仏)
『constancy(不変、節操)』(英)
『merci d’être là(そこにいてくれてありがとう)』
(仏語、青花の花言葉)
カンパニュラってどんな花?
さまざまなカンパニュラ
冒頭で触れた通り、ホタルブクロ属の品種は多様で、日本で「カンパニュラ」として紹介されている花の情報は、時として、違う品種を指しています。
1,「風鈴草(フウリンソウ)」「釣鐘草(ツリガネソウ)」
(学名:Campanula medium)
一般的に、日本の市場でカンパニュラの名称で流通しているのは、ほとんどがこれです。釣鐘草の名の通り、見た目が最も“ベル”の形に近い花です。
英名は
「Canterbury bells(カンタベリーベル)」
です。これも、カンタベリー寺院に巡礼する信者が鳴らしている鐘の形に似ているためについた呼び名です。
店頭にあるカンパニュラはほとんど風鈴草ですが、ネットでカンパニュラを検索すると、風鈴草の解説をする情報と、ホタルブクロ属全体の解説をする情報、両方出てきます。
2,「カンパニュラ・アルペンブルー」
(学名:Campanula poscharskyana)
西洋で一番ポピュラーなカンパニュラです。英語で
「Campanula」
というと、この花を指すことが多いです。
花びらの先が星形に平らに開くので、和名は「星桔梗」といいます。市場に出る時は、「カンパニュラ・アルペンブルー」または単に「アルペンブルー」と呼ばれています。
3,「蛍袋(ホタルブクロ)」
(学名:Campanula punctata)
ホタルブクロ属、といわれれば、日本人に一番なじみ深いのはこの花です。が、カンパニュラとは別物扱いされる場合も多いです。
4,「乙女桔梗(オトメギキョウ)」
(学名:Campanula portenschlagiana)
日本で
「ベルフラワー」
の名で流通しているのがこの品種です。
英語では、原産地の名から
「Dalmatian bellflower(ダルメシアン・ベルフラワー)」
と呼ばれています。
カンパニュラの群生写真としてよく出てくるのがアルペンブルーとこの花です。
タイトルバックのこの写真が、乙女桔梗です。
花言葉の由来
教会の鐘が象徴するもの
西洋では、釣鐘草だけでなく、ほぼすべてのカンパニュラ属は、その花の形が
“教会の鐘”
と捉えられ、花言葉は教会からイメージされる事柄になっています。
『gratitude(感謝)』(英)(仏)
『constancy(不変、節操)』(英)
『感謝』
『誠実』
『節操』
『誠実な愛』
『不変』
『忠実』
『正義』
花言葉文化が生まれた西洋は、キリスト教国が多く、主にキリスト教が尊び、奨励する生き方を表す言葉が並んでいます。
友との交流を象徴
『うるさい』
『楽しいおしゃべり』
『merci d’être là(そこにいてくれてありがとう)』(仏)
乙女桔梗やアルペンブルーは、花が群がって咲くので、ランドカバーとして植えられることも多い品種です。横向きの花が群がって咲く品種は他のカンパニュラでも頻繁に見られ、まるで友達同士がおしゃべりし合っている姿に見えることから、これらの花言葉になりました。
フランスでは、カンパニュラ全般において、青花は友情のシンボルにもなっています。
ふたつのギリシャ神話
精霊と女神の姿見
カンパニュラは、ギリシャ神話の中ではふたつの話が伝えられています。
ひとつは、果樹園の番人をしていたニュンペー(女性の精霊)が、突如襲撃してきた兵士に殺されてしまい、哀れに感じた花の女神フローラが、花の姿に変えてあげた、という話。青くうつむく花は哀れな精霊の姿です。
もうひとつは、愛の女神アフロディーテが実物より美しく映る魔法の姿見を地上に置き忘れ、その鏡があった場所に咲いた花がカンパニュラだった、という話。
地上の人々はその鏡に見惚れていたのに、女神の使いがさっさと奪い取って持って帰ったので、とてもがっかりしたそうです。ブルーの花は、その気持ちを表しているのでしょうか。
分類: キキョウ科ホタルブクロ属
学名: Campanula カンパニュラ(属名)
和名: カンパニュラ:風鈴草(フウリンソウ)、釣鐘草(ツリガネソウ)
アルペンブルー:星桔梗(ホシギキョウ)
ホタルブクロ:蛍袋
ベルフラワー:乙女桔梗(オトメギキョウ)
英名: カンパニュラ:Canterbury bells
アルペンブルー:Campanula
ホタルブクロ:Spotted bellflower
ベルフラワー:Dalmatian bellflower
開花時期: 5~7月 夏の花
花色: 紫、ピンク、青、白など
草丈: 30cm~2m 一年草・二年草・多年草
花持ち期間: 5~7日
原産地: 北半球の温帯から冷帯地域