リンドウは、東アジア原産といわれますが、先史時代から世界中に広まり帰化しています。50㎝くらいの多年草で、釣鐘型の花が上向きに咲く姿が特徴的です。青や青紫色の花が一般的ですが、紫、白、ピンク、黄色もあります。
日本でも、本州以南の湿った野山に多くの野生種が広く自生している他、園芸種としてもよく栽培されています。
最近、母の日のカーネーションのように、
“敬老の日に孫がおじいちゃん・おばあちゃんに贈る花”
として定番となっているそうです。私が子供のころはあまり聞いたことがありませんでしたが、いつからそうなったのでしょう?
バレンタインのチョコや節分の恵方巻と同じく、花屋業界の商業戦略という面もあるし、幼稚園等のイベントの影響で広まりつつある習慣のようです。また、交配で生まれた「白寿(はくじゅ:99歳のお祝いのことです)」と名付けられた白と青紫のツートンカラーの品種が“長寿を願う”気持ちを表すのにいいと、人気があるそうです。
花言葉は、根の薬効や、生態の特徴などに由来しています。必ずしも敬老の日に合いそうなものばかりではありませんが、紫色は、日本では“高貴な位”のシンボルカラーなので、敬愛の情を込めて年長者に贈るものとして好まれたようです。
もくじ
リンドウの花言葉
リンドウ全般の花言葉
『正義』
『勝利』
『誠実』
『貞節』
『的確』
『悲しんでいるあなたを愛する』
『あなたの悲しみに寄り添う』
『淋しい愛情』
色別の花言葉
白花の花言葉
『貞節』
西洋の花言葉
『I love you best when you are sad(悲しんでいるあなたを愛する)』
『loveliness(愛らしい)』
『intrinsic worth(固有の価値)』
花言葉の由来
『正義』『勝利』
なんだか威勢がいい花言葉ですが、真意は、
“病に打ち勝つ!”
という根の薬効を評価した言葉です。リンドウの根には「ゲンチオピクロシド」と呼ばれる苦味成分があり、胃液の分泌を促進する効果があります。健胃作用のある生薬として、洋の東西で使われてきました。
西洋の花言葉『intrinsic worth(固有の価値)』も、薬効の特別性を指していると考えられています。
また、英語名にもなっている学名「Gentiana(ゲンティアナ)」は、古代ギリシャ・ローマ時代にバルカン半島で栄えた国イリュイアの最後の王ゲンティウスが、西洋で初めて薬効を発見したことにちなんでいるといわれています。
『誠実』『貞節』『的確』
リンドウの1つの花の開花時間は、5~10日くらいです。ずっと開いているのではなく、毎日開いたり閉じたりを繰り返しています。リンドウはお天気の日にしか花が開きません。曇りや雨の時、夜間は、きゅっと絞るように花が閉じています。
太陽光が当たる時だけマメに開く様子が、とても律儀に見えたので、こんな花言葉がついたと見られています。
花の種類に関わらず、白い花には貞淑な印象の花言葉が付くことが多いので、『貞節』は“白花のリンドウの花言葉”とする文献もあります。
『悲しんでいるあなたを愛する』『あなたの悲しみに寄り添う』『淋しい愛情』
野生のリンドウは群生せず、1本(1株)ずつ離れて咲くことが多い、という性質があります。青色は悲しみの象徴カラーでもあり、孤独に咲く姿と重ね、英語の花言葉
『I love you best when you are sad(悲しんでいるあなたを愛する)』
が定められました。日本にもそのまま入ってきて、更にアレンジバージョンも増えました。
近種と見分けが微妙なリンドウ
リンドウ属の品種はパッと見そっくり
リンドウ科リンドウ属で、「リンドウ」と呼ばれる代表的な品種は、以下の通りです。
- 生薬とされるのは「リンドウ」の根
- 花屋の切り花は、多くが「エゾリンドウ」
- 高山地域に自生するポピュラーな種は「オヤマリンドウ」と「エゾオヤマリンドウ」
品種は違いますが、見た目はとてもよく似ています。画像検索すると、「リンドウ」と紹介されている写真にも、「エゾリンドウ」や「オヤマリンドウ」「エゾオヤマリンドウ」が多く混ざっています。また、花言葉は広くリンドウ全般で共通しています。
あえて見分ける時のポイント
「オヤマリンドウ」の花の付き方と青花の色はリンドウとほぼ同じです。違いは、リンドウの花はラッパ型に大きく開花しますが、オヤマリンドウはあまり開きません。また、リンドウの葉は幅広い卵形ですが、オヤマリンドウの葉のほうは細長い形です。
「エゾリンドウ」はリンドウやオヤマリンドウに比べ、やや明るめの青色で、背丈が若干高めになります。リンドウとオヤマリンドウは、花が茎の先端と上部だけにつきますが、エゾリンドウは茎の下のほうまで何段にも花がついています。また、葉がとても細長くて針のようにシャープな印象です。
「エゾオヤマリンドウ」はエゾリンドウの高山タイプの品種です。高さが15~30㎝と小型で、茎の先端のみ花が付きます。
花屋さんの白や青紫色の切り花はエゾリンドウが多いですが、敬老の日用のアレンジメントには、リンドウ以外の花も含め、青や紫以外の花色を取り混ぜたものもよく出回っています。紫にこだわらず、明るく元気になる色を贈ってあげるといいでしょう。
ただし、おじいちゃん・おばあちゃんに贈る時は、鉢植えは「根付く」=「寝付く」=「寝たきり老人」を連想させるので避けるのがマナーだそうです。お忘れなく!
分類: リンドウ科リンドウ属
学名: Gentiana ゲンティアナ(属名)
和名: 竜胆(リンドウ)
別名: 疫病草(えやみぐさ)
英名: Gentian
開花時期: 9~11月 秋の花
花色: 青、紫、白、黄、ピンクなと
草丈: 20~80cm 落葉性多年草
花持ち期間: 5~10日
原産地: 東アジア、シベリア