スイートピーは、マメ科のつる性植物です。
それだけでも草丈30cmくらいまでは直立し、切り花や寄せ植えになっている商品がたくさん売っているので、気付いてない人も多いようですが、何かに巻き付かせていくと3~4mくらいの高さまで伸びます。
ガーデニングブームが起きるずっと前から、花屋のスタンダード商品でした。また、「赤いスイートピー」という超有名な曲があるので、名前と外観は良く知られています。が、意外と生態や歴史については知られていない花です。
例えば、もともとイタリアのシチリア島の固有種で、世界に知られたのは近代以降だったとか。イギリスでの人気が飛びぬけて高いとか・・・。
特に19世紀から20世紀にかけてのエドワード王朝で愛された、ロイヤルフラワーだったことが、スイートピーを世界に広めたきっかけでした。そのため、英語の花言葉が世界的にも有名で、日本の花言葉もほぼ英語のものに由来しています。
もくじ
スイートピーの花言葉
スイートピー全般の花言葉
『門出』
『別離』
『ほのかな喜び』
『優しい思い出』
白花の花言葉
『デリケートな喜び』
ピンクの花言葉
『繊細』
『優美』
『恋の愉しみ』
西洋の花言葉
『departure(門出)』(英)
『good-bye(さよなら)』(英)
『delicate pleasure(ほのかな喜び)』(英)
『tender memory(優しい思い出)』(英)
『blissful pleasure(至福の喜び)』(英)
『fausse modestie(偽りの謙虚さ)』(仏)
『Je ne vous crois pas(私はあなたを信じていない)』(仏)
『confusion(混乱)』(仏)
スイートピーってどんな花?
近代ヨーロッパの代表的人気種
1695年、シチリア島の修道僧フランシス・クパーニさんが初めて原種を世界に紹介しました。以後、イギリスを中心に園芸植物としての改良が進められます。
19世紀に、スコットランドの園芸家ヘンリー・エックフォードさんが花色や花のサイズを大きく品種改良し、多種多様なスイートピーを生み出します。これを機に、一気にアメリカやアジアにも広まりました。日本には幕末に伝わっています。
1841年に即位したエドワード7世は、新しく開発されたスイートピーの花を戴冠式の際に飾りました。アレクサンドラ王妃は、可愛らしくほのかに甘い香りを放つスイートピーをとても気に入りました。以後、王室の式典や晩餐会には必ずスイートピーを飾らせるようになり、エドワード朝のシンボルとして世界から注目されるようになったのです。
春の花だけじゃない
スイートピーは、レンリソウ属の仲間です。麝香(じゃこう)に似た甘い香りがするいくつかの品種が、スイートピーと呼ばれています。
最もポピュラーな品種が、
学名「Lathyrus odoratus ラティルス・オドラトゥス」
という春咲きの一年草で、日本でも西洋でも、一般にスイートピーというとこの花のことです。
多様な交配種の中には夏咲き、秋咲きのものや、つるのように伸びない短い丈の種類もあります。別種の二年草の夏咲き品種は、日本でも「宿根スイートピー」と呼ばれて流通しています。
花言葉の由来
飛び立とうとする蝶
『別離』
『departure(門出)』(英)
『good-bye(さよなら)』(英)
花の形が蝶に例えられることが多いですが、高く伸びていくスイートピーの花は、今にも飛び立とうとする蝶のように見え、そこから旅立ちをイメージした花言葉が生まれました。
『tender memory(優しい思い出)』(英)
これも、別れ行く人や場所を思う言葉です。
甘く優しい香りと明るい花色
『delicate pleasure(ほのかな喜び)』(英)
『tender memory(優しい思い出)』(英)
『blissful pleasure(至福の喜び)』(英)
これらは、明るく和ましい花姿や、ほのかに薫る甘い香りに由来します。
「delicate(デリケートな)」は“ほのか”と訳されていますが、ちょびっとだけという意味ではなく、“繊細な”という表現なので、「blissful(物凄くハッピーな)」という単語の意味とは矛盾しません。
『デリケートな喜び』
『繊細』
『優美』
『恋の愉しみ』
これら日本の色別花言葉も、英単語の解釈から発展した言葉と思われます。
フランスではちょっとネガティブな花
さて、イギリスの花言葉が有名なので、他言語でもだいたい『デリケートな喜び』を訳した花言葉が存在します。フランスでも寄せ植えの中では
『amour délicat(デリケートな愛)』
を表すといわれています。が、花言葉はネガティブメッセージが並びます。
『fausse modestie(偽りの謙虚さ)』(仏)
『Je ne vous crois pas(私はあなたを信じていない)』(仏)
『confusion(混乱)』(仏)
実は、フランスではスイートピーは「傲慢さ」と「偽り」を象徴する花とされています。
豆(タネ)に毒があるとか、甘い香りで誘惑している様が、ちょっと高ビーな印象と受け取られている、という説もあります。属名「Lathyrus(ラティルス)」は、ラテン語で「刺激的な、情熱的な」という意味があるため、感情的に相手を振り回してしまう愛情表現の象徴なのです。
フランス人の恋人ができた時は、スイートピーはプレゼントしないほうがいいかも知れません。
分類: マメ科レンリソウ属
学名: Lathyrus odoratus ラティルス・オドラトゥス
和名: 麝香連理草(ジャコウレンリソウ)
別名: 香豌豆(カオリエンドウ)
麝香豌豆(ジャコウエンドウ)
英名: Sweet pea
開花時期: 4~5月 春の花
花色: 赤、ピンク、白、青、紫など
草丈: 15~400cm つる性一年草
花持ち期間: 5日前後
原産地: イタリア・シチリア(シシリー)島