夏の花の花言葉

スターチスの花言葉/永遠と記憶を象徴する定番ドライフラワー

Written by すずき大和

西洋でも日本でも、「スターチス(Statice)」の呼称が普及していますが、これはまだ植物学が発達していなかった頃の広い意味の属名でした。かつてのスターチス属の中は更に分類され、今の正式な学名は

「リモニウム(Limonium)」

といいます。(日本語では「イソマツ属」です)

英語やフランス語、ドイツ語のサイトを見ていくと、植物学的な解説記事では「Limonium」の花名で呼ばれ、ガーデニング界では旧来の「Statice」を使うことが多いようです。

日本では、

“スターチスはリモニウムのシノムニ(植物学でいう別名のこと)”

と説明する表記が多いです。

茎がまっすぐ長く伸びて、草丈が40~60㎝くらいになります。葉は根本の地面から放射状に出る性質があり、切り花にすると長い柄の先に小さな花が付いているという、かんざしのような形に見えます。

“ドライフラワーの定番の花”

というと、「ああ、あれか」とピンとくる人が多いかもしれません。スターチスは、茎の緑も花の色も、比較的色あせないまま乾燥するので、“花のミイラ”感が少ない、綺麗なドライフラーになります。

長期間色あせずに飾って置ける花には、西洋でも日本でも、長くずっと続く大事なものを連想する花言葉がついています。



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もくじ

スターチスの花言葉

スターチス全般の花言葉

『変わらぬ心』
『途絶えぬ記憶』
『驚き』

色別の花言葉

紫花の花言葉

『しとやか』
『上品』

黄花の花言葉

『愛の喜び』
『誠実』

ピンクの花言葉

『永久不変』

西洋の花言葉

『remembrance(記憶)』(英)
『souvenirs(思い出)』(仏)
『Gedanken an eine schöne Zeit.(良い時間の思考)』(独)

スターチスってどんな花?

和名はハナハマサジ

リモニウム属の中には、かんざしのような形ではなく、茎が多く枝分かれするタイプの品種もありますが、日本で一般にスターチスと呼ばれているのは、かんざしタイプの

学名「リモニウム・シヌアータ(Limonium sinuatum)」

という園芸品種です。緑色の太めの茎の先がちょっと曲って、小さな花が一列に並んでいるように咲きます。なんとなく歯ブラシみたいにも見えますが、ちょっと曲った角度の感じが、昔の人にはスプーンのように見えたようで、和名は

「ハナハマサジ(花浜匙)」

と呼ばれています。リモニウムの中では最も豊富な花色のある品種です。

カラフルな花は実はガク

スターチスの花はとても日持ちがよく、美しい花色を数週間保ちます。切って逆さまに吊るしておくだけで、乾燥してドライフラワーにもなります。

バラなどをドライフラワーにすると、緑色の茎や葉が褐色になり、花びらの感じも生花のみずみずしさがなくなってそれなりに“枯れ感”が出ます。スターチスは、乾燥しても多少白っぽくなりますが、茶色っぽい“枯れ色”にはなりません。

バラとカーネーションとスターチスのドライフラワー

ドライフラワー


シオシオなミイラ感がないドライフラーになるのは、実は、小さな花に見えている所は花びらではなく、ガクが発達したものだからです。本当の花は、ガクの中に見え隠れしている白い小さなやつです。

ハナハマサジ・アップ


白い花は10~14日くらいで散りますが、ガクは散ることがないので、花持ちがとても長く見えます。そしてドライフラワーにすると1年以上花色を保ちます。

花言葉の由来

『変わらぬ心』『永久不変』

スターチス全般の花言葉は、ほとんどこの花色を長く保つことに由来しています。

日本の花言葉は、不変性をストレートに表す表現が多いです。

『驚き』

は、いつまでも枯れたり散ったりしない“驚きの長命!”ってことです。

『記憶』『思い出』『良い時間の思考』

英語圏では、花が落ちてもガクの色が美しいまま継続するスターチス属は

「everlasting flowers(永遠の花)」

と呼ばれています。

西洋の人たちは、

“ずっと残っていく素敵なものとは、思い出や記憶”

という発想をしたようで、メモリーの意味合いの花言葉が各国で生まれました。

『途絶えぬ記憶』

という日本の花言葉は、西洋の花言葉に由来します。

『しとやか』『愛の喜び』

色別の花言葉は、色の印象に由来するものが見られます。

紫は、日本では古代から高貴な位のシンボル色なので、品の良さを表す言葉になりました。

黄色は、歓喜のシンボルです。

世界中に自生するスターチス

リモニウム属は、もともとは地中海沿岸から中央アジアにかけての地域原産といわれていますが、亜熱帯から温帯地方のほぼ世界全域に広まって帰化しています。野生種だけで150種類ほどが世界中に分散しており、園芸種も含めると300種類以上あります。

乾燥に強く、海岸や塩沼などの塩性土壌でも生育し、他にも石膏質の土壌、アルカリ性土壌でも育ちます。そのため、生育地はもっぱら砂漠や草原、海岸沿いの岩礁地帯が多く、世界中に広まった繁殖力の強さも納得です。

日本には、4品種の自生種が確認されています。やはり野生種はみな海岸沿いの岩礁帯で生育しているので「ハマサジ(浜匙)」の名が付きました。

園芸で一番人気のハナハマサジは、残念ながら地中海沿岸原産種が昭和の始めに入ってきた外来園芸種で、自生はしていません。しかし、花持ちの長さと荒地でも繁殖できるリモニウム属の生命力の強さは、日本人には長寿のイメージと重なり、多くの園芸家に好まれてきたのでした。

スターチスの基本データ

分類: イソマツ科イソマツ属
学名: Limonium sinuatum リモニウム・シヌアータ
和名: 花浜匙(ハナハマサジ)
別名: リモニウム
英名: Statice,Limonium,Wavyleaf Sea-lavender
開花時期: 5~7月 夏の花
花色: 紫、青、赤、ピンク、白、オレンジ、黄など
草丈: 40~60㎝ 一年草・多年草
花持ち期間: 10~14日 ※ガク部分はもっと長く残ります
原産地: 地中海沿岸地域


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筆者情報

すずき大和

花に心があったら、自分の花言葉についてどう思うだろう?と、変なことが気になる変わった子供が、成長してライターやってます。花言葉の由来をヒモ解いていくと、花より人の心が見えてきます。花言葉を添えて花を贈るなんて、日本人にはハードル高い行為ですが、まあとりあえず、のんびりウンチクを楽しんでもらえれば幸いです。