ヤブガラシは、ブドウ科ヤブガラジ属のつる性の雑草です。
他の植物の根に絡みつきながら地下茎を伸ばし、地上に芽を出すと、細い巻きひげのようなつるを絡ませながら、樹木の幹や枝に巻き付き、上へ上へと這い上がるように伸びていきます。
生命力がとても強く、あっという間に庭木などに絡みついて、濃い緑色の葉を茂らせながら繁茂していきます。
藪を覆いつくして既存の植物をみんな枯らしてしまうのではないか?と思うくらいの旺盛な生命力なので、
「藪枯らし」(和名)
「Bush killer ブッシュキラー(藪殺し)」(英名)
の名が付きました。
つるから花茎を伸ばし、先端がテーブル状に枝分かれして、小さな花を固まって咲かせます。
人間にとってはやっかいな雑草ですが、ヤブガラシの花の蜜は虫たちに好評で、ハチやチョウなどがたくさん集まる花木となっています。
もくじ
ヤブガラシの花言葉
ヤブガラシ全般の花言葉
『不倫』
『攻撃性に富んだ』
『積極性のある』
花言葉の由来
駆除の困難な庭の雑草
『不倫』
『攻撃性に富んだ』
『積極性のある』
ヤブガラシは、抜いても切っても、地下に広がる地下茎を完全に駆逐するのはかなり難しく、少しでも地下茎が残っていると、また春に新しい芽が出てきて、あっという間に繁殖してしまいます。
寄生植物ではないのですが、青々と葉を茂らせながら、他の樹の幹や枝に絡みついていく様子は、相手の生きる力まで奪い去りそうなイメージがあるようです。
花言葉は、そんな繁殖力溢れる様子から出てきた言葉です。
ヤブガラシってどんな花?
3色に変化していく花
ヤブガラシの花をよく見ると、淡緑色の蕾と、オレンジとピンクの花が、ひとつの茎先に混ざり合って見られます。2~3か月の長い花期の間、次々と蕾が付き、咲いて、花色が変化していくので、常に3つの色が交じり合っています。
開いたばかりの花をアップで見てみましょう。
ひとつひとつの花の径は3~6mmくらいです。
蕾を覆っている緑色は、ガクや苞ではなく、花びらです。開花直後は、4枚の花弁が反り返りぎみに十文字に咲いています。
真ん中のオレンジ色のところは、花托(カタク:花茎の先端の花が付く土台みたいな部分)がお盆型に発達したもので、「花盤(カバン)」と呼ばれています。ここにブドウに似た香りの甘い蜜がいっぱいに満ちています。
緑色の花びらとおしべは、咲いて半日くらいで散ってしまいます。残った花盤と真ん中に太く長めに立つめしべの見た目が、ロウソクのようにも見えるので、別名「ロウソクバナ」と呼ばれることもあります。
数日すると、花盤の色がだんだん色あせ、オレンジからピンクに変化します。蜜もだんだん枯れていきますが、めしべは大きくなるので、オレンジよりピンクの花のほうが目立ちやすいです。やがてピンクから更に色あせ、花の終わりを迎えます。
ヤブガラシは藪を枯らしません
森の中では繁殖しない
そんなにすごい生命力なら、小さな雑木林などあっという間に下草が駆逐されてしまいそうですが、ヤブガラシが本当に藪を枯らしてしまった例は、ありません。
照葉樹がうっそうと生えた森の中などで、ヤブガラシが繁茂しているところはまず見かけません。多種多様な植物が高木から地面を覆う下草までびっしり共存しているような場所で、ヤブガラジはあまり生えません。
下草がきれいに駆られ、手入れが行き届いた公園や植え込み、民家の庭などで、低木やフェンスなどの絡みつくものがあると、ヤブガラシが繁殖する傾向があります。
それまで手入れがされていた場所が、何かの理由でちょっと放ったらかされると、一気にヤブガラシが繁茂する傾向があり、いかにもみすぼらしい感じになってしまいます。
そのため、無秩序に伸びたヤブガラシは、貧しく、庭の手入れまで手が回らなくなってきた家の象徴ということで、
「貧乏葛(ビンボウカズラ)」
とも呼ばれています。
巻き付くものがなくなると自然と枯れる
抜いても切ってもなかなか駆逐できない雑草ですが、絡みついて伸びていくあてを失うと、自分の生きる世界は終わったと素直に受け入れるかのように、地上のつる部分から地下茎にかけて、自然に枯れていきます。
繁茂しすぎたヤブガラシを駆除したければ、つるを切らないように丁寧に絡みついている低木などからほどいて外し、とぐろを巻くようにグルグルと束ねて置いておくと、枯れ始めるそうです。
世話する人のサボりや手抜きを指摘するかのように繁茂し、ちゃんと手間をかけるようになると自然と消えていく、なかなか雑草の本分をわきまえた(?)渋いやつです。
分類: ブドウ科ヤブガラシ属
学名: Cayratia japonica
ケイラティア・ジャポニカ
和名: 藪枯らし(ヤブガラシ、ヤブカラシ)
別名: 貧乏葛(ビンボウカズラ)、ロウソク花
英名: Bush killer
開花時期: 6~8月 夏の花
花色: 緑、オレンジ、ピンク
草丈: 2~3m 蔓性多年草
花持ち期間: 緑の花弁は半日
生息地: 東アジア~東南アジア
原産地: 日本、中国、マレーシア