秋の花の花言葉

ミョウガの花言葉/儚い花芽の命は美味しく食べられ昇華する

Written by すずき大和

ミョウガは独特の風味が、料理の味にアクセントを与え、食欲を増進する薬味野菜として、和食の世界ではお馴染みの食材です。

もとは大陸中国に自生していたと見られています。日本には古代、文明社会が始まって間もない時代に伝わり、平安時代には、既に食材として全国各地で栽培されるようになっていました。

栽培種が各地で帰化しており、里山や人家の庭の雑草に交じって自生しているところを見たことがある人もいるでしょう。

見たことない人は、私たちが食べている部分がどこだか知っていますか?

秋の風を感じるようになる頃、青々と茂る葉茎の根元から、ほっこり顔をだした芽を掘り出して摘み取ったものが、あの紅紫色の特徴的な形をしたミョウガです。

あれ、実は花の芽です。摘んで食べずに、ちょっと放っておくと、芽の先から短い花茎が出て、淡黄色や白の花が咲きます。花言葉もちゃんとありますよ。



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もくじ

ミョウガの花言葉

ミョウガ全般の花言葉

『忍耐』
『報いられない努力』

花言葉の由来

目立たずひっそり

『忍耐』

湿気を好むミョウガは、大木の影になるような場所に群生します。夏の間は葉茎が伸びて大きな葉がたくさん茂ります。

葉に比べて、花芽も花もとても小さく、薄暗い場所で、更に葉に隠れるように、足元にひっそり咲く様子が、いかにも遠慮深く、何かを耐え忍んでいるかのようなので、こんな花言葉が付きました。

花は咲けどもタネは飛ばさない

『報いられない努力』

ミョウガの紅紫色の皮(苞-ほう-といいます)をはがすと、中に3~12個の花の蕾のモトが入っています。花にはおしべもめしべもありますが、ミョウガの染色体は特殊な性質をしているため、受精しても親と同じ染色体数のタネができません。

そのため、ミョウガは、普通は地下茎を伸ばすことで繁殖します。地上の葉を茂らせている葉茎は、“偽茎”と呼ばれています。

ミョウガの花は、咲いてもたった一日でしぼんでしまいます。暗く目立たない所で、一日で人知れず散ってしまう姿は、最初から受精する気がないような・・・受精によって子孫を残せないことを知っているような・・・そんな、切なさも感じられます。

この花言葉は、そんなむなしい開花をはかなんでいます。

ミョウガってどんな花?

土から顔を出す花芽と花

実際に、どんな花が咲くか、いくつか画像を見てみましょう。

ミョウガ花1


ミョウガ花2


ミョウガ花3


ちょっとグロテスクでもあり、薄暗い林の茂みの影で咲いている姿は幻想的でもあります。ショウガの仲間ですが、ショウガの花ともまったく異なる形態です。

なぜ花が咲く?

前述の通り、ミョウガの花は繁殖を目的とした機関としては、ほとんど役にたっていません。地下茎で増える植物は、そもそも周囲一帯が同じ遺伝子の個体で固まってしまうので、別個体の染色体を掛け合わせることでより環境に適応する種を作っていく、という仕組みの繁殖方法はやってもあまり意味がない、ともいえます。

それなのに、毎年毎年、厳重に苞で包み込んで保護された、丈夫な花芽を出し、花を咲かせるのはなぜでしょうか?

それは植物学の中でも明快な答えが出せていません。恐らく、地下茎が何かの理由で繁殖不能となるような事態が起きた時に、異なる環境で生き延びるための手段のひとつである、移動可能なタネの存在を残している、いわば保険のようなものと思われます。

ミョウガを食べると物忘れがひどくなるのは本当か?

日本には、戦国の世よりもっと古い時代から、

「ミョウガを食べると物忘れがひどくなる」

という俗説が広くいわれてきました。記憶力を低下させるということから、

「忘れ草」
「鈍根草(どんこんそう)」

などの異名もあります。

有名な落語の「茗荷宿(ミョウガヤド)」は、お客の持っている大金をちゃっかり奪おうと、宿屋主人夫婦が策を企てる話です。夫婦は、客がお金のことをすっかり忘れて、そのまま置いて帰ってしまうことを狙い、せっせとミョウガ料理を振舞います。

実際は、科学的にミョウガから記憶障害を起こす成分が見つかったことはありません。むしろ、その香り成分には、血行や胃の働きを良くし、脳の働きも活性化する効能があることが分かっています。忘れるどころか、集中力を向上させる効果が期待できます。

美味しく食べてあげよう

生殖できないむなしい花を咲かせる悲哀に加え、無実なのに悪い噂が拡散している、なんとも気の毒なミョウガです。

ミョウガを日常的に食べている国は世界で日本だけだそうです。こうなったら、せっせと美味しく食べてあげることが、存在価値を認めてあげる、一番の供養かもしれません。

ミョウガの基本データ

分類: ショウガ科ショウガ属
学名: Zingiber mioga ジンギバー・ミョーガ
和名: 茗荷(ミョウガ)
別名: 花茗荷(ハナミョウガ)
忘れ草(ワスレグサ)
鈍根草(ドンゴンソウ)
英名: Mioga ginger,Japanese ginger
開花時期: 8~10月 秋の花
花色: 白、淡黄色
草丈: 30~100cm 常緑性多年草
花持ち期間: 1日
生息地: 東アジア
原産地: 中国


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筆者情報

すずき大和

花に心があったら、自分の花言葉についてどう思うだろう?と、変なことが気になる変わった子供が、成長してライターやってます。花言葉の由来をヒモ解いていくと、花より人の心が見えてきます。花言葉を添えて花を贈るなんて、日本人にはハードル高い行為ですが、まあとりあえず、のんびりウンチクを楽しんでもらえれば幸いです。