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カエデの花言葉/日本人の秋の心象風景を彩る錦の紅葉

Written by すずき大和

日本の四季の風物詩として、春の桜のお花見風景と並び賞されるのが、

秋の「紅葉狩り(もみじがり)」

です。山々を錦(にしき)に染める紅葉風景は、日本の秋の美しい自然の風物として、古くから人々に愛されてきました。

「モミジ(紅葉)」

という属名・品種名の特定の植物群はありません。もともとは秋に紅葉・黄葉する植物の総称です。だから「錦色」(複数の色が取り合わされた美しい配色)の風光明媚な眺めになるわけです。

それが、いつしか日本の紅葉を代表する

「カエデ(楓)」

の樹を指して「モミジ」と呼ぶようになりました。

カエデ属の木々には春に目立たない花が咲きます。カエデの花言葉は、秋の紅葉した葉や、カエデの木そのものの葉言葉、木言葉のようにも扱われています。



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もくじ

カエデの花言葉

カエデ全般の花言葉

『美しい変化』
『調和』
『大切な思い出』
『遠慮』
『節制』
『謹慎』
『隠栖(いんせい)』:世間から逃れてひっそり暮らすこと
『寡黙』

西洋の花言葉

『reserve(遠慮)』(英)
『réserve(遠慮)』(仏)
『reserva(遠慮)』(西)
『sigilo(隠密、こっそり)』(西)

カエデってどんな葉?花?

モミジとカエデとメイプルリーフ

カエデは、北半球の温帯地域を中心に、世界中で見られる代表的な落葉広葉樹です。約160種が分布し、日本には30種弱が自生しています。

1,モミジ

日本で一番よく見られる品種は、東アジア原産の「イロハモミジ」です。

モミジの葉


カエデ属の和名の品種名は、

  • 葉の切り込みの深いものが「○○○モミジ」
  • 切り込みの浅いものが「○○○カエデ」

という区分けをされている場合が多いです。(境目はビミョーです)

2,カエデ

日本の山野でよく見られる「イタヤカエデ」の葉はこんな感じです。市街地の街路樹のカエデもこんな形ですね。

カエデの葉


3,メイプル

カエデ属の英名は「Maple メイプル」です。西洋では、北アメリカ原産の「サトウカエデ」が一般的です。日本では一部で栽培されていますが、あまり見ません。サトウは砂糖、メイプルシロップが採れる品種です。

日本ではイロハモミジの形がカエデのシンボルですが、西洋では、カエデの葉っぱといえば、サトウカエデの形です。カナダの国旗やメイプルリーフ金貨のデザインにもなっています。

サトウカエデの葉


花と実

紅葉時季は秋ですが、花は桜の終わる頃に咲きます。

カエデの花は風媒花(風に花粉を運んでもらう花)なので、虫媒花(虫に運んでもらう花)のように目立つ必要がなく、とても小さな花が枝から花茎を下に伸ばして、葉に隠れるように咲きます。

品種によって、形や色は異なりますが、小さな花がサクランボウのように、いくつかまとまってぶら下がるように咲いています。

カエデの花1


カエデの花2


花が散ると秋に実(タネ)ができます。カエデ属のタネは、2個ずつ(たまに3個)くっついて、2枚の葉がプロペラ状に付いた、特徴的な形をしています。この葉が風を受け、くるくる回りながら、竹とんぼのようにタネを遠くまで運んでいくのです。

カエデのタネ


花言葉の由来

移り行く錦

『美しい変化』
『調和』
『大切な思い出』

これらの花言葉は、季節を追うごとに、緑から黄色、赤へとだんだん変わっていく葉の様子、個体によって微妙に変色のタイミングが異なるために、全体が錦のように見える景色の美しさから生まれた表現です。

日本では、奈良時代頃から紅葉狩りの風習が始まり、江戸時代には多くの園芸種が育種されました。明治になると日本のカエデは世界各地に輸出されました。

紅葉の光景は、今も日本人のふるさとの心象風景のひとつとして、多くの人の心に思い出として刻まれています。

カエデはリザーブの象徴

『reserve(遠慮)』(英)
『réserve(遠慮)』(仏)
『reserva(遠慮)』(西)
『sigilo(隠密、こっそり)』(西)

『遠慮』と訳されている『reserve リザーブ』は、予約する時によく使う動詞です。

  • 保留する
  • キープする
  • 取っておく

というニュアンスがあり、そこから派生して、

  • 遠慮して打ち解けない
  • よそよそしい
  • 内気
  • 控えめ

という意味でも使われます。

カエデはゆっくり色変わりし、とても長く楽しめる紅葉なので、西洋では、リザーブの象徴とされています。

山奥に佇む木

『遠慮』
『節制』
『謹慎』
『隠栖(いんせい)』
『寡黙』

これらは、リザーブの意訳とも取れます。

また、日本の紅葉の木が、人里離れた山々に静かに佇んでいる印象から生まれた表現でもあります。美しい色の後ろに奥ゆかしさを見る、というのが、とても日本らしい美意識を表している花言葉です。

カエデの基本データ

分類: ムクロジ科カエデ属
学名: Acer アケル(属名)
和名: 楓(カエデ)
別名: 紅葉(モミジ)
英名: Maple
開花時期: 4~5月 春の花
紅葉時期: 10~12月 秋の紅葉樹
花色: 暗赤、紫、黄色、緑など
樹高: 5~25m 落葉低~高木
生息地: 北半球温帯地域
原産地: アジア、ヨーロッパ、北アフリカ、北アメリカ


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筆者情報

すずき大和

花に心があったら、自分の花言葉についてどう思うだろう?と、変なことが気になる変わった子供が、成長してライターやってます。花言葉の由来をヒモ解いていくと、花より人の心が見えてきます。花言葉を添えて花を贈るなんて、日本人にはハードル高い行為ですが、まあとりあえず、のんびりウンチクを楽しんでもらえれば幸いです。