トマトはナス科の夏野菜の代表的な作物です。
もとは南米アンデス地方の高山地域原産ですが、今では世界中で栽培され、食用として流通しています。真っ赤な果実は栄養価が高く、疲労回復や免疫力アップ、発がん性を抑える効果が高いなど、“からだに良い野菜”というイメージで知られています。
西洋でも東洋でも、すっかり作物として定着しているためか、花言葉を定めている国はあまりありません。日本の花言葉の守備範囲はとても広いので、ポピュラーな野菜の多くも、ちゃんと花言葉を持っています。
もくじ
トマトの花言葉
トマト全般の花言葉
『完成美』
『感謝』
トマトってどんな花?
地味に下を向く黄色い星
ハウス栽培や野菜工場での生産も盛んなトマトは、1年中店頭に並んでいる野菜です。家庭菜園や露地栽培では、真夏から初秋にかけて収穫期となります。花は初夏から盛夏にかけて咲きます。
果実は赤く大きく実って自己主張強烈な感じがしますが、花は至って地味な印象です。葉の付け根から花茎を伸ばし、黄色い小さな花をたくさん咲かせます。ひとつひとつの花は、ややうつむき加減ですが、よく見ると、5枚の花弁を星型に開いています。
雌花と雄花の区別はなく、ひとつの花にめしべとおしべが揃っていて、虫や風によって受粉します。
原種はミニトマト
日本には江戸時代に伝わりました。従来の草木の真っ赤な実は、アルカロイド物質の毒性が強くて食べられないものが多かったせいか、トマトも初めは観賞用の一年草とされていました。近代になり、西洋料理が徐々に入ってくると、食材としても扱われるようになりましたが、まだ高級品でした。広く栽培されるようになり、庶民の食生活に普及したのは、戦後です。
大玉のトマトが先に一般化し、品種改良が進むと、赤や黄色のミニトマトも多く流通するようになりました。南米の元々の原種はチェリートマト種(ミニトマト)でしたが、最初に栽培を始めたメキシコや、その後伝わったヨーロッパでは、多くの改良種が生まれました。大玉種が食用として一般化し、それが日本に伝わったようです。
花言葉の由来
由来は果実
冒頭でも書きましたが、トマトの実には、リコピンを始めとして、βカロチン、カリウム、ルチン、グルタミン酸など、疲れを取りからだの働きを整える栄養素が豊富に含まれています。
西洋では、抗酸化作用や整腸作用の大きいことで知られるリンゴを「医者いらずの果実」と呼んでいます。トマトは同じように
“医者いらずの野菜” ということで
「Love apple(愛のリンゴ)」(英)
「Pomme d’Amour(愛のリンゴ)」(仏)
という別名で呼ばれることもあります。
『完成美』
『感謝』
これらの花言葉は、栄養豊富で安価で手に入るトマトの実がもたらす健康効果を賞賛する意味が込められています。
イタリア料理の歴史ではトマトソースは新参もの
ナス科の野菜は中世後期までなかった!?
トマトはナス科の野菜の代表、と書きましたが、ナス科といえばほかにも
- ジャガイモ、ナス(ナス属)
- トウガラシ、ピーマン、パプリカ(トウガラシ属)
など、今ではお馴染みの身近な野菜がいろいろあります。これらもすべて中南米原産です。16世紀にコロンブスがアメリカ大陸を発見する前は、ヨーロッパやアジアなど、ユーラシア大陸にはなかったものです。
大航海時代の交易によってヨーロッパに伝わり、そこからアジアへも伝わり、各地で品種改良されながら、その土地にあった作物と料理が定着していきました。
近世に入る頃まで、
- イタリア料理にはトマトソースもパプリカもなく、
- フランスやドイツには、フレンチフライもジャーマンポテトもなく
- 朝鮮半島には唐辛子がなかった
・・・・わけです。
今となっては、
「トマトのないイタリア料理」
「キムチのない韓国料理」
なんて、考えられない!気がします。が、それは、現代を生きる私たちにとって
「テレビや冷蔵庫がなかった時代」
「列車もバスもなかった時代」
が考えられないのと同じ程度のもの、なのでしょうか?
(そのうち「スマホやおしり洗浄機がない時代なんて!」になるのかも)
何事も、「伝統」とか「独自の文化」なんていわれていても、意外とそれが存在しなかった歴史のほうが長かったのかもしれません。
分類: ナス科ナス属
学名: Solanum lycopersicum
ソラナム・リコペリシカム
和名: トマト
別名: 赤茄子(アカナス)
唐柿(トウシ、カラガキ)
蕃茄(バンカ)
小金瓜(コガネウリ)
珊瑚樹茄子(サンゴジュナス)
英名: Tomato
開花時期: 5~7月 夏の花
花色: 黄色
草丈: 3mくらい 1年草
※原種は多年草、5m以上になる例もあり
原産地: 南アメリカ高原地帯