コスモスは秋の草原に群生するキク科の花です。
「秋桜」
という日本語表記は、秋の季語としてもよく使われます。日本人にとって、馴染み深くとても愛されている花といえるでしょう。
が、もとはメキシコ原産の外来種です。コロンブスのアメリカ大陸発見以後にヨーロッパに渡り、世界中に広まりました。日本に伝わったのは19世紀末の明治時代といわれています。
「Cosmos」
という学名(属名)は、最初に持ち込まれた花がスペインのマドリード王立植物園に贈られたとき、園長だったカバニレス神父によって名付けられました。
もともとは古代のラテン語で
“秩序だって整った美しいもの”
“完結された世界観”
を表現する言葉でした。
「cosmos」は、英語や古いギリシャ語(kosmos)で「宇宙」を意味します。幾万もの星が規則正しく回る夜空は、まさに秩序ある完結された美しい世界です。
新大陸からやってきた珍しい花は、神父の目には、夜空と同じくらい、とても整然とした自然の美しさに見えたのかもしれません。
その後、古代ラテン語が示唆した多くの意味が、そのままコスモスの花言葉になりました。
もくじ
コスモスの花言葉
コスモス全般の花言葉
『乙女の純真』
『調和』
『謙虚』
白花の花言葉
『優美』
『美麗』
『純潔』
ピンクの花の花言葉
『乙女の純潔』
赤花の花言葉
『乙女の愛情』
『調和』
黄花(キバナコスモス)の花言葉
『野性的な美しさ』
黒花(チョコレートコスモス)の花言葉
『恋の終わり』
西洋の花言葉
『hrmony(調和)』(英)
『peace(平和)』(英)
『modesty(謙虚)』(英)
『the joys that love and life can bring(愛や人生がもたらす喜び)』(英)
『beautiful(美)』(英)
『paz(平和)』(西)
『integridad y modestia(完全性と謙虚さ)』(西)
『innocence(純真・無垢・純潔)』(仏)
コスモスってどんな花?】
大春車菊
コスモスは、学問的には“キク科コスモス属”の花全般を指しますが、園芸界では、一般的に3つの品種のことを呼んでいます。日本ではほとんどが、
「Cosmos bipinnatus コスモス・ビピンナタス」
という品種のことです。よく見るピンクや白のコスモスです。和名は
「大春車菊 オオハルシャギク」
といいます。「秋桜 アキザクラ」は、実は後になって付いた俗称です。
ネットの記事の中には「オオハルシュンギク」と書かれたサイトが少なからずありますが、間違いです。
キバナコスモス
コスモスは人気の高い花なので、記事もとても多いのですが、実はそんな勘違いが他にもいくつか見られます。
“黄色いコスモスは、人工的に作られた改良種”
というウンチクもそのひとつです。
大春車菊は、確かに最初は白とピンクしかありませんでした。ある時、玉川大学農学部の育種学研究室で、突然変異で黄色い花が咲くと、世界初!とニュースになりました。玉川大学では、その後、安定して黄色く咲く品種
「イエローキャンパス」
を作りました。
が、濃い黄色やオレンジ色の花が咲く
「キバナコスモス」
(学名:Cosmos sulphureus コスモス・スルファリウス)
という品種は、もともと自然に存在します。大春車菊とは別の品種ですが、やはりメキシコ原産で、欧州経由で世界に広まっています。日本で見られる濃い黄色のコスモスも、ほとんどキバナコスモスとその交配種です。
チョコレートコスモス
世界でコスモスと呼ばれる園芸種の3つめは、濃い黒紫色の花が咲く
「チョコレートコスモス」
(学名:Cosmos atrosanguineus コスモス・アトロサンギネウス)
です。ほのかにチョコレートの香りがするのでこの名が付きました。
日本では少ないですが、ヨーロッパではよく見られます。
大春車菊とキバナコスモスはうまく交配されません。が、キバナとチョコレートコスモスは、別種ですが交配できました。両者を掛け合わせて生まれた
「ストロベリーチョコレート」
と呼ばれる品種は、チョコレートコスモスより赤味が強い花が咲きます。
花言葉の由来
古代ラテン語に含まれた意味
冒頭で書いた通り、花言葉の多くは、古代ラテン語の「cosmos」の意味(解釈)の範囲から出てきた言葉です。
『乙女の純真』
『調和』
『謙虚』
『優美』
『美麗』
『純潔』
『hrmony(調和)』(英)
『peace(平和)』(英)
『modesty(謙虚)』(英)
『beautiful(美)』(英)
『paz(平和)』(西)
『integridad y modestia(完全性と謙虚さ)』(西)
『innocence(純真・無垢・純潔)』(仏)
秩序だって整った社会は「平和」です。そして、そんな完結され調和した世界は「純真無垢」で「謙虚」な世界観なのでしょう。
そしてまた、この美しく純潔な花は、西洋では純粋な「愛の象徴」にもなっています。
『乙女の愛情』
『the joys that love and life can bring(愛や人生がもたらす喜び)』(英)
これらの花言葉には、そんな意味が反映しています。
黄色・黒・赤
『野性的な美しさ』
『恋の終わり』
これは、本来はキバナコスモスとチョコレートコスモスの個別の花言葉です。
キバナは大春車菊より繁殖力が強く、野性的な魅力が感じられる種なのです。ですが、野性ではない交配種のイエローキャンパスにも、この花言葉を転用するのは“あり”です。
ストロベリーチョコレートの花言葉も、赤でも黒でもOKです。
花言葉って、意外とアンニュイなノリの文化なんです。
分類: キク科コスモス属
学名: Cosmos コスモス(属名)
和名: 大春車菊(オオハルシャギク)
別名: 秋桜(コスモス)
英名: Cosmos
開花時期: 7~10月 夏~秋の花
花色: 赤、ピンク、白、黄、オレンジ、褐色など
草丈: 50~120cm 一年草
花持ち期間: 5~10日
原産地: メキシコ