夏の花の花言葉

タンジーの花言葉/キュートなボタンは害虫撃退のスイッチ

Written by すずき大和

「タンジー」という花をご存知でしょうか?

「パンジー」じゃないですよ。

タンジーは、真夏から初秋の季節に、黄色くて丸い花を咲かせる、キク科の多年草です。茎の先端がいくつも枝分かれして、放射状にたくさん密集するように花を付けます。

見た目がまん丸くて可愛らしく、半球形のボタンのように見えるので、英語では

「Golden buttons(金のボタン)」

という俗称もあります。

そんな可愛い見た目なのに、全草に毒性があり、葉にはタンスに入れる「しょうのう」のような強い香りがあります。これが抜群の防虫効果を発揮するため、大昔から虫よけの薬草(ハーブ)として、窓の下に植えられたり、葉っぱをカーペットの下に敷いたり、束ねて逆さに台所に吊るしておいたり・・・いろいろな場で使われてきました。



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タンジーの花言葉

タンジー全般の花言葉

『あなたとの戦いを宣言する』
『抵抗』
『敵意』
『挑戦』
『婦人の美徳』
『平和』

西洋の花言葉

『I declare war against you(あなたとの戦いを宣言する)』(英)
『resistance(抵抗)』(英)
『Ik verklaar je de oorlog(あなたとの戦いを宣言する)』(蘭)
『dehors trompeurs(欺瞞的な)』(仏)

タンジーってどんな花?

畑の虫からお腹の虫まで!?

ヨーロッパから中央アジアにかけてのユーラシア大陸の温暖な地域が原産と見られるタンジーは、西洋や中近東では古代から馴染みの深いハーブです。家の虫よけとして使われただけでなく、コンパニオン・プランツ(周りの植物にいい影響を与える植物)として、畑の虫よけに作物と一緒に植えられることもありました。

毒性については、現在でもその成分と効能のメカニズムが完全にはわかっていません。人の身体にも刺激を与えるため、西洋では、昔は香り付けも兼ねて食欲増進の薬味として使われ、寄生虫の虫下し(むしくだし)として服用されることもありました。更に、堕胎薬として使われていた記録もあります。

現在では、毒の危険性がはっきりわかってきたため、内服薬として使うことはなくなり、もっぱら虫よけハーブとして使われています。見た目の可愛らしさから、観賞用にもされますが、防虫剤っぽい香りが嫌な人もいるので、お客様が来る場所では注意が必要です。

ヨモギとは別、除虫菊の仲間

タンジーは、言語によって様々な名称で呼ばれる植物です。英語でもフランス語でもドイツ語でも、自動翻訳で「ヨモギ」と訳されることがあります。和名も

「ヨモギグサ(蓬草)」

となっています。葉の形がキク科ヨモギ属のヨモギと似ているためです。

が、ヨモギグサ属はヨモギ属とは別種です。草餅の材料となっているヨモギとは、香りも異なり、違う仲間です。しょうのうの香りの通り、タンジーと同じヨモギグサ属の仲間で代表的なものは、「除虫菊(じょちゅうぎく)」(蚊取り線香の材料)など、やはり食べられない虫よけハーブです。

古代文明の時代には、タンジーは、死体防腐剤としても使われていました。そんな所から、属名の学名「Tanacetum タナセタム」は、ギリシャ語で「不死」を意味する「Athanasia アタナシア」に由来するといわれています。

ちなみに、水瓶座はギリシャ神話に出てくる美少年の姿を表しています。この美少年は、もと人間の王子だったのですが、その美貌が主神ゼウス(男も女も人も妖精も神も、見境ない超プレイボーイの神様)の目に留まり、神々の世界へ連れてこられました。ゼウスは、神々の宴会でお酌をさせるために、王子にタンジーの煎じ薬を飲ませて不老不死にした、という逸話が残っています。

花言葉の由来

虫と戦う勇ましい草

『あなたとの戦いを宣言する』
『抵抗』
『敵意』
『挑戦』
『I declare war against you(あなたとの戦いを宣言する)』(英)
『resistance(抵抗)』(英)
『Ik verklaar je de oorlog(あなたとの戦いを宣言する)』(蘭)

これらは皆、虫を撃退する強力な防虫剤であるタンジーの用法から発想された花言葉です。

『dehors trompeurs(欺瞞的な)』(仏)

このフランス語は、直訳すると“外観が紛らわしい”という意味になります。つまり、可愛らしい外観のくせに、やってくる虫を撃退してしまう、というところからきたのでしょう。

悪い虫が寄ってこない

日本では、女性に恋人ができることを

「虫が付く」

と表現します。(保護者から見て)ろくでもないダメンズに惚れてしまうことは、

「悪い虫が付く」

といって、避けなければいけない事態です。

『婦人の美徳』

自ら悪い虫を寄せ付けないオーラを発するタンジーは、育ちのいい女性の鏡!ということでしょうか。花言葉って、なんとなく古めかしい観念ぽいものが多いんです。

仲良く固まって咲く、和平の花

太陽の光のような黄金のまん丸い花が、固まって咲いている花姿は、融和や絆の象徴のように見えるので、

『平和』

という花言葉も生まれました。

勇ましい他の花言葉とは対照的にも感じます。

というか、そもそもキク科の花は虫媒花(虫によって受粉を助けてもらう花)なのに、その虫を撃退してどうするのか?という疑問もあります。

実は、タンジーが撃退するのは、主に茎や葉を食べる作物の害虫のような虫で、ミツバチなどの花粉を運んでくれる虫には害にならないそうです。敵対と和平を上手に使い分ける、策略平和外交の花なのでした。

タンジーの基本データ

分類: キク科ヨモギギク属
学名: Tanacetum vulgare タナセタム・ブルガレ
和名: 蓬菊(ヨモギギク)
蝦夷蓬菊(エゾヨモギギク)
英名: Tansy,Common tansy,
    Buttons,Golden buttons
開花時期: 7~9月 夏の花
花色: 黄色
草丈: 50~150cm 宿根性多年草
原産地: ヨーロッパ、中央アジア


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筆者情報

すずき大和

花に心があったら、自分の花言葉についてどう思うだろう?と、変なことが気になる変わった子供が、成長してライターやってます。花言葉の由来をヒモ解いていくと、花より人の心が見えてきます。花言葉を添えて花を贈るなんて、日本人にはハードル高い行為ですが、まあとりあえず、のんびりウンチクを楽しんでもらえれば幸いです。