秋の花の花言葉

ヨモギの花言葉/草餅にもお灸にもなる、月の女神の聖なる草

Written by すずき大和

日本でヨモギといえば「草餅」を連想する人が多いかもしれません。

地域によっては

「よもぎ餅」
「よもぎ団子」

と呼んでいます。

草餅にされるヨモギは、

  • 主に西日本では「上総蓬(カズサヨモギ)」
  • 東日本、北日本、山地など寒い所では「大蓬(オオヨモギ)」

の2品種で、どちらも在来種です。

ヨーロッパでポピュラーなのは、和名「欧州蓬(オウシュウヨモギ)」という品種です。

品種により、若干成分や効能が違いますが、西洋でも東洋でも、古代社会の頃から肉や魚の薬味として、または生薬として使われてきた最古のハーブのひとつです。ドイツでは、クリスマスのガチョウのローストの定番の薬味になっています。

若い柔らかい葉を摘んで食べるので、野菜としての旬は「春先」です。が、花期は、葉がすっかり厚く濃い緑色になった晩夏から秋の頃です。小さな淡褐色の花をひっそり咲かせるので、目立ちませんが、とても穏やかな花言葉が付いています。



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ヨモギの花言葉

ヨモギ全般の花言葉

『幸福』
『平和』
『平穏』
『夫婦愛』
『決して離れない』

西洋の花言葉

『happiness(幸福)』(英)
『glück(幸運)』(独)
『fidélité(忠実さ)』(仏)
『amour constant(永遠に変わらぬ愛)』(仏)

ヨモギってどんな花?

虫いなくても平気です

目立たず、花だと気付かれないまま終わることも多いヨモギの花とは、こんな花です。

ヨモギの花


マーガレットの周りの花びらがなくて真ん中だけ、みたいな形です。地味ですね。

ヨモギ属もキク科ですが、他の多くのキク科の花が虫に花粉を運んでもらって受粉するのに対し、風で受粉するタイプであるため、たくさんまとまって咲きますが、目立つ色や大きな花にする必要がなかった、と、いわれています。

夏葉は艾(モグサ)になります

ヨモギの葉の裏には、びっしりと白く細かい毛が生えています。ヨモギ属の原種は中央アジアの乾燥地帯に生えていたため、葉の裏の気孔から水分が抜けるのを防ぐために毛が生えていたと考えられています。

この毛にはロウと同じ成分があります。青々と繁殖した夏のヨモギの葉を加工して、この毛を抽出したものが、「艾(モグサ)」=お灸になります。ロウ成分が入っているので、すぐに燃え尽きずに長く時間をかけて少しずつ燃えるのです。

花言葉の由来

出産の女神の聖草

東洋では、ヨモギ(生薬名は「艾葉(ガイヨウ)」です)は、疲労回復や整腸、リラックス作用に優れた生薬として、頭痛、肩こり、冷え性、不眠症、貧血・・・などの緩和のための漢方薬とされています。止血・抗菌、抗炎症作用もあるとされ、傷薬にも使われていました。お灸も含めて、まるで万能薬です。

西洋のオウシュウヨモギは、生理不順や不妊など、婦人病に効果(生殖機能を整える)を発揮するハーブとして、古くから知られていました。女性の健康と無事な出産のイメージと直結する薬草でした。

属名の学名「Artemisia アルテミシア」は、

ギリシャ神話の女神「Artemis アルテミス」からきています。

アルテミスは太陽の神アポロンの双子の妹といわれ、「月の女神」とされていますが、もともとは「狩猟の女神」です。そして、処女を誓った神だったので、

「貞潔の女神」

ともいわれ、同時に多産をもたらす出産の神、

「妊婦の守護神」

として慕われています。日本でいう安産祈願の神様ですね。

オウシュウヨモギは、女神アルテミスの聖草とされています。

安産の神は夫婦円満の象徴

『夫婦愛』
『決して離れない』
『fidélité(忠実さ)』(仏)
『amour constant(永遠に変わらぬ愛)』(仏)

生殖の安定は夫婦円満の秘訣、ということで、夫婦の信頼と愛の絆を示唆する花言葉が付いています。

そして、夫婦円満とは家族の「幸せ」の基本ですから、

『幸福』
『平和』
『平穏』
『happiness(幸福)』(英)
『glück(幸運)』(独)

となるわけです。

由来はけっこう古典的

「リプロダクティブ・ライツ(性と生殖の権利)」とか、「LGBTの差別撤廃」とか叫ばれる昨今、女性に多産を奨励したり、家族の形や目的を生殖第一主義で考えたりすることはいかがなものか・・・な時代です。社会は多様性の世に突入している今、子供を持たない生き方をする人たちに対して無神経な押し付けのような価値観かもしれません。

花言葉が流行った時代は近世から近代の始まりの頃ですから、由来を紐解いていくと、そんな時代錯誤な思想によくぶち当たります。

『幸福』『夫婦愛』は、現代でも尊ばれることですから、結婚の門出や結婚記念日のお祝いに相応しいハーブだと思います。“いわれ”を気にする人はちょっと複雑な気持ちかもしれません。

その辺は、気にする気にしない、割り切る排除する、個人個人の感覚やこれからの時代の雰囲気で判断していけばよいかと思います。

ヨモギの基本データ

分類: キク科ヨモギ属
学名: Artemisia indica アルテミシア・インディカ
    Artemisia princeps アルテミシア・プリンセプス
    Artemisia montana アルテミシア・モンタナ
和名: 上総蓬(カズサヨモギ)※インディカorプリンセプス
    大蓬(オオヨモギ)、山蓬(ヤマヨモギ)※モンタナ
別名: 餅草(モチグサ)
艾(モグサ)
 指燃草(サシモグサ)
    艾葉(ガイヨウ)※生薬名
英名: Mugwort ※ヨモギ属全般
Japanese mugwort ※日本のヨモギ
開花時期: 8~10月 秋の花
花色: 淡褐色
草丈: 50~200cm 耐寒性多年草
生息地: ヨーロッパ、北アフリカ、ロシア、アジア
原産地: 中央アジア


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筆者情報

すずき大和

花に心があったら、自分の花言葉についてどう思うだろう?と、変なことが気になる変わった子供が、成長してライターやってます。花言葉の由来をヒモ解いていくと、花より人の心が見えてきます。花言葉を添えて花を贈るなんて、日本人にはハードル高い行為ですが、まあとりあえず、のんびりウンチクを楽しんでもらえれば幸いです。