初夏、ビールが美味しくなる季節、八百屋さんの店先にはソラマメが一斉に出回ります。
塩ゆでしたやつをチョイトつまんで指でキュッと押し
薄皮の切れ込みから緑色の豆がチュルッと顔を出したところを
はむっと食べる。
鼻いっぱいに広がる、独特の青臭い香・・・
旬の旨味を噛みしめながら、グイーッと一杯!
そんな絵が浮かんできますか?
どちらかというと、
“居酒屋のサラリーマンのイメージ”
“オジサンの友”
という印象が強い野菜かもしれません。
が、花言葉はちょっとピュアな響きを持っています。図鑑で豆の特徴を調べても、意外と乙女チックなイメージの言葉が並んでいたりするんです。
もくじ
ソラマメの花言葉
『憧れ』
ソラマメってどんな花?
上向きに実が付く豆
枝豆やさやえんどうなど他の豆のさやは、たいていぶら下がるようになりますが、ソラマメのさやは上向きにつきます。
空に向かっている豆だから「ソラマメ(空豆)」と名付けられたそうです。
居酒屋のメニューなどでは「天豆(てんまめ)」と書かれていることも多いですね。
パンダの目が見つめる薄紫の蝶
ソラマメの花は、実が大きい分、他の豆類に比べると大きめです。
種類で若干色は違いますが、日本で多い「一寸豆(いっすんまめ)」という品種は、薄紫色の花弁に黒っぽい縦筋がたくさんあり、下側の左右対の花弁に真っ黒い(本当はとても濃い紫)目玉のような丸い模様が入っています。
「パンダの目みたい」
という人もいます。確かにつぶらな瞳でこちらを見つめているようにも見えます。
ちょっと蘭の花にも似ている豆の花は、蝶が羽を広げているように見えるので、
「蝶形花」
とも呼ばれています。
5枚の花弁は旗と翼が付いた船
豆の花の構造は、形の違う5枚の花弁が組み合わさっています。
上から被るような大きな一枚は「旗弁」です。
一番下に二枚貝が合わさるようにめしべとおしべを包み込む左右対の花弁は
「舟弁」または「竜骨弁」と呼ばれます。
(竜骨とは、船の底の中心線の骨組みのことです)
舟弁をさらに左右から挟み込んでいるのは「翼弁」です。
西東社『Field Photograph 山野草』より
蝶の正体は、“旗を掲げている翼のある舟”だったのです。
と、いわれると、なんだかメルヘンの世界の絵を想像してしまいます。
花言葉の由来
夢見る心で背伸びする姿に由来した花言葉
ソラマメの花言葉は『憧れ』です。
全部のさやがみんな上を向いている様子が、天に向かって手を伸ばしているかのようで、未来を夢見て憧れている人の姿が重なるのでしょう。
実ったばかりの時はシャンと天に伸びていますが、実が大きく重くなるにしたがい、だんだん頭を垂れるように、先端が下がってきます。
もう上向きではなく真横ぐらいに下がった頃が収穫時です。
その姿は、若い時ほど背伸びをしてしまう人間にも例えられるのかもしれません。
メルヘンチックな印象に、乙女の姿を思わせる
すぐに虫がついちゃうソラマメはやっぱり乙女!?
ソラマメの形と花言葉から特徴をまとめると、
“こちらを見つめる瞳”のように見える
“蝶の形の花”は、
“空へ憧れて船出する、翼のある一隻の舟”ってことで。
いやぁ~、まさにメルヘンチックな光景が似合う花じゃないですか。
そういえば、おとぎ話の「ジャックと豆の木」の豆もソラマメでした。
メルヘンとなると、俄然、天に向かって両手を広げ「憧れ」に胸膨らませているのは、
「夢見る乙女」
の姿に思えてきます。
まあ、イメージには個人差がありますが・・・。
ソラマメは栽培する時、アブラムシがたかりやすく、注意が必要だそうです。
そんなに虫がたかりやすいなんて、やはり、ソラマメのイメージはオジサンではなく
「若き乙女たち」
が相応しいですよ、絶対。
あ、でも、そんなこといっていると、ソラマメをつまむ飲み屋のおじさんをニンマリさせてしまいそう。
「キャー!いやらしい~!!」
って、何の話がわからなくなってしまいそうなので、この辺で・・・(笑)
分類: マメ科ソラマメ属
学名: Vicia faba ビシア・ファーバ
和名: 空豆・蚕豆(ソラマメ)
別名: 天豆(テンマメ)
野良豆(ノラマメ)
夏豆(ナツマメ)
四月豆(シガツマメ)
英名: Broad bean、Fava bean
開花時期: 3~4月 春の花
花色: 白、薄紫
草丈: 50~100cm 二年草
原産地: 地中海沿岸、西南アジア