春の花の花言葉

クリスマスホーリーの花言葉/3種の異なるヒイラギと花言葉の怪

Written by すずき大和

「クリスマスホーリー」というのは、クリスマス時季に見ることの多い、トゲトゲの葉っぱと赤い丸い実のヒイラギのことです。

和名は「セイヨウヒイラギ」で、節分に玄関に飾る「柊(ヒイラギ)」とは、別の種類の植物です。柊はモクセイ属ですが、クリスマスホーリーはモチノキ属です。

クリスマスホーリーは、西洋のキリスト教社会では、

“イエスの受難(十字架刑)の血と苦悩を象徴する「聖なる木」”です。

“イエスの足元に落ちた血の跡から生えた植物”ともいわれています。

魔除けの力が宿っていると信じられており、クリスマスには欠かせない飾りです。

が、日本でクリスマスホーリーの商品名で売られているヒイラギの多くは、実はセイヨウヒイラギではなく、和名「ヒイラギモチ」と呼ばれる、モチノキ属の近種です。

更に、日本の柊の花言葉を紹介するサイト記事の中には、クリスマスホーリーの写真を柊と誤認して載せたものが、複数見受けられます。

日本では長い間、3つの異なる品種、異なる花言葉の木が、同じ「ヒイラギ」としてごっちゃにされているという、ややこしい状態になっています。



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もくじ

クリスマスホーリーの花言葉

セイヨウヒイラギ全般の花言葉

『予見』
『神を信じます』

ヒイラギモチ全般の花言葉

『清廉』

クリスマスホーリーってどんな木?

西洋人にとって、セイヨウヒイラギは特別

クリスマスホーリーは俗称です。正式な英名は

「ヨーロピアンホーリー(European holly)」または、

「イングリッシュホーリー(English holly)」といいます。

ホーリー(holly)は、モチノキ属(学名「Ilex」)のことです。ホーリーナイト(聖夜)の「holy」とは発音と綴りが違います。

西洋人はホーリーと聞くと、ホーリー全般ではなく、クリスマスホーリーのことと捉えるのが一般的です。それくらい、聖なる木はホーリーの中でも特別な存在です。

日本の柊も神聖な木

一方、日本の柊も、日本文化の中では

“神の力が宿る「神聖な木」”

“邪鬼祓いや魔除けのおまじない”

とされてきました。あのトゲトゲの葉っぱに目を刺されて鬼がおっぱらわれた説話が、邪鬼祓いの由来です。

ただ、柊は実の時期も色形もホーリーとは違います。クリスマス時季は花期にあたり、白い花が咲いています。

日本でヒイラギモチが好かれる理由

トゲトゲの葉の植物は、モチノキ属もモクセイ属も、樹齢が重なるとトゲが減少してエッジが丸みを帯びてきます。

柊やヒイラギモチと比べ、セイヨウヒイラギは早く葉が丸くなってしまう特徴があります。トゲトゲの葉は若木の頃だけで、成木は完全に楕円形の葉になったものも多いです。本物は、イラストのクリスマスホーリーのように、いつもトゲトゲとは限りません。

セイヨウヒイラギ


ヒイラギモチは、セイヨウヒイラギと違い、成木でも比較的長くトゲトゲを保ちます。

ヒイラギモチ


日本でヒイラギモチがクリスマスの飾りに使われるのは、セイヨウヒイラギより手に入れやすいせいもあります。が、日本人には、葉が丸くなったセイヨウヒイラギより、トゲトゲのヒイラギモチのほうが、より聖なる木として好まれる面もあるのです。

花言葉の由来

聖なる木の聖なる力

ホーリーは春が花期です。こちらも白い小さな花が咲きます。

クリスマスホーリー・花


聖なる木の花の花言葉は、いかにも神がかり的な感じです。

『予見』
『神を信じます』

予見とは先のことを見通して知ることです。

日本語で「虫の知らせ」というと、悪いことの予兆のような印象が強いですが、聖なる木の魔力のひとつなので、どちらかというと、いい意味で「神の啓示」のニュアンスです。

偶然ですが、日本の柊にも『先見の明』という花言葉があります。ここにも“神つながり”がありました。

ヒイラギモチは西洋にはない

ヒイラギモチは東アジアが生息地です。西アジアやヨーロッパでは滅多に見られません。英語では「チャイニーズホーリー」と呼ばれ、西洋での花言葉はありません。

『清廉』は、日本の花言葉です。

由来はよくわかっていませんが、クリスマスの飾りに使われ、日本の柊のようにトゲトゲの葉であることから、清めのイメージがあると推察する説がいくつかあります。

ヒイラギモチとセイヨウヒイラギの葉は、同じトゲトゲでも色も形も全然違うため、一目で区別ができます。西洋人から見たら、聖なる特別な木をそんな全然違うもので代用されるのは、違和感がある人も多いでしょう。

宗教観の温度差

トゲトゲならヒイラギモチもセイヨウヒイラギモ、一緒くたにして「クリスマスホーリー」にしている日本は、もしかしたらちょっと神様に対して無神経かもしれません。

が、実は、日本の神聖な柊はモチノキ属ではないのに、葉っぱの形が似ているからと、英語ではヒイラギモチと一緒くたに「チャイニーズホーリー」と呼ばれています。

お互い様ともいえますが、日本人の方は違和感なく、自らクリスマスホーリーと柊をごちゃまぜにして情報拡散しているわけです。宗教に大らかな日本人らしいですが、なんだかフクザツ・・・。

セイヨウイラギの基本データ

分類: モチノキ科モチノキ属
学名: Ilex aquifolium イレックス・アクフォリウム
和名: 西洋柊
別名: クリスマスホーリー
英名: European holly,English holly
開花時期: 4~5月 春の花
花色: 白
樹高: 6~8m 常緑高木
原産地: 西アジア、ヨーロッパ南部、アフリカ北部

ヒイラギモチの基本データ

分類: モチノキ科モチノキ属
学名: Ilex cornuta イレックス・コルヌタ
和名: 柊黐(ヒイラギモチ)
別名: 支那柊(シナヒイラギ)、柊擬(ヒイラギモドキ)
英名: Chinese holly
開花時期: 4~6月 春~初夏の花
花色: 白
樹高: 2~5m 常緑中高木
原産地: 中国


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筆者情報

すずき大和

花に心があったら、自分の花言葉についてどう思うだろう?と、変なことが気になる変わった子供が、成長してライターやってます。花言葉の由来をヒモ解いていくと、花より人の心が見えてきます。花言葉を添えて花を贈るなんて、日本人にはハードル高い行為ですが、まあとりあえず、のんびりウンチクを楽しんでもらえれば幸いです。