早春の頃から咲きだすモクレンは、春を告げる花のひとつです。
白い花の品種が真っ先に咲き始め、ピンクの花、紫色の花が追って咲きます。
園芸界では「モクレン(木蓮)」というと、一般的には紫の花の低木(3~5m)、
「シモクレン(紫木蓮)」
(学名「Magnolia liliifloraマグノリア・リリーフロラ」)
のことを指します。
白花の品種は
「ハクモクレン(白木蓮)」
「ハクレン(白蓮)」
(学名「Magnolia heptapetaマグノリア・へプタペタ」)
と呼ばれる高木(10m以上)です。
しかし、一般ではどちらも「モクレン」と呼ぶ人が多いです。
画像検索すると、白花の写真が紫よりたくさん出てきます。
紫と白を交配したピンクの花の種も見かけます。
日本の「コブシ」の写真も混ざっています。
紫も白もピンクもコブシも、みなモクレン属(マグノリア属)の仲間です。
それぞれの品種は、樹高だけでなく、花の特徴も違い、各品種に由来する花言葉も付けられました。が、時と共に、だんだん混ざって、いくつかはモクレン全般の花言葉になっていきました。
もくじ
モクレンの花言葉
モクレン全般の花言葉
『崇高』
『持続性』
『忍耐』
品種別(色別)の花言葉
シモクレン(紫花)の花言葉
『自然への愛』
『恩恵』
![紫木蓮](https://hanatama.jp/wp-content/uploads/2017/06/a09db3386cc165b69580f7980237b7ae.jpg)
ハクモクレン(白花)の花言葉
『気高さ』
『高潔な心』
『慈悲』
![白木蓮](https://hanatama.jp/wp-content/uploads/2017/06/a6ff09ff46b858d42aa0ee6bdf7cc5de.jpg)
コブシの花言葉
『友情』
『友愛』
『愛らしさ』
『歓迎』
![こぶし](https://hanatama.jp/wp-content/uploads/2017/06/3dbe3df7938fb1e6a1a56e3ee039bebd.jpg)
西洋のモクレン全般の花言葉
『love of nature(自然への愛)』(英)
『perseverance(忍耐力)』(英)
『dignity(尊厳、威厳、品格)』(英)
『nobility(崇高、高潔)』(英)
『L’amour de la nature(自然への愛)』(仏)
『gaieté(陽気、明るさ)』(仏)
『waardigheid(尊厳)』(蘭)
フランス語の白花の花言葉
『pureté(純潔、無垢)」(仏)
『dignité(尊厳)」(仏)
『fidélité(忠誠、忠実)』(仏)
フランス語のピンクの花の言葉
『amour timide(シャイな愛情)』(仏)
![更紗木蓮](https://hanatama.jp/wp-content/uploads/2017/06/12021c5797bdd9aca11d140ca7b3ffe8.jpg)
花言葉の由来
一気に芽吹いて春めくシモクレン(紫木蓮)
写真では、ハクモクレンは葉がありませんが、シモクレンは葉が出ているのがわかるでしょうか。一番後から開花するシモクレンは、開花と葉の芽吹きが一斉に始まります。
春の到来を一心に謳歌しているように見えるので、
『自然への愛』
という花言葉が生まれました。
高木の枝に咲く純白の花は、高貴な風格
モクレン属の原種は、北米、西インド諸島、東~東南アジアに分布しています。ヨーロッパに最初に持ち込まれたのは、17世紀にバージニアの宣教師が送った北米の品種でした。この時はまだ学名がなくて、現地の名称で記録されています。
時を経て、1703年、フランスの学者が、西インド諸島で発見した品種に、初めて「Magnolia(マグノリア)」と学名を付けました。これは、フランスの高名な植物学者「ピエール・マニョル (Pierre Magnol)」を記念した命名でした。
しかし、モクレンがヨーロッパ全土に広まったのは、その後、イギリスの王立植物園が中国原産のモクレンを園芸種として普及促進したことがきっかけです。
最初に中国から入ってきたのはハクモクレンでした。早春の寒い時季、高枝の先に純白の大きな花を付ける様子を見て、植物園園長ジョセフ・バンクス(この人も有名な植物学者)が、
「木の枝にユリが咲いているようだ」
と、その気高い風格を賞賛しました。
『崇高』
『気高さ』
『高潔な心』
『dignity(尊厳、威厳、品格)』(英)
『nobility(崇高、高潔)』(英)
『waardigheid(尊厳)』(蘭)
『pureté(純潔、無垢)」(仏)
『dignité(尊厳)」(仏)
『fidélité(忠誠、忠実)』(仏)
これらはみな、その気高いイメージに由来します。
かつては恐竜も食べていた!?
白亜紀(約9,500年前)の地層から、モクレン属の植物の化石が発見されており、モクレンは世界最古の花のひとつといわれています。
氷河期や恐竜絶滅を経て、現在まで、長い生存競争を生き抜いてきた生命力を称えて、
『持続性』
『perseverance(忍耐力)』(英)
『gaieté(陽気、明るさ)』(仏)
の花言葉が付きました。
行く手を導く道しるべ
コブシの花はひとつひとつの花が、上・横・下、あっちこっちを向いています。
ハクモクレンは、上か斜め上向きに咲きます。
そして、シモクレンの蕾は、すべての花が揃ってやや北向きに傾いています。日の当たる南側の蕾が脹らんでくるため、先端が北側に倒れるのです。
で、ついた別名が
「コンパス・フラワー」
です。
森で道に迷ったら、シモクレンの花を見れば方角が分かります。迷い人を導いてくれる、そのスグレモノ機能に感謝して
『恩恵』
という花言葉になりました。
握ってカワイイ、開けばウエルカム
コブシは、ハクモクレンとよく似ていますが、花がひと回り小さいです。蕾が全開しないハクモクレンと違い、コブシは細めの花びらを大きく平らに開きます。
小さめの蕾が子供の握った手のようで、可愛らしく、親しみを感じます。
また、大きく開く様子は、手のひらを広げて「どうぞ」と歓迎してくれているようです。
『友情』
『友愛』
『愛らしさ』
『歓迎』
これらの花言葉は、そんなコブシのフレンドリーなイメージを表しています。
ちなみに、日本原産のコブシは、海外でもそのまま
「Kobushi magnolia(コブシ・マグノリア)」
と、呼ばれています。学名も
「Magnolia kobus(マグノリア・コブス)」
です。
フレンドリーなイメージは、日本の「おもてなし」の心にも通じるようですね。
分類: モクレン科モクレン属
学名: Magnolia マグノリア(属名)
和名: 木蓮
英名: Magnolia
開花時期: 3~5月 春の花
花色: 白、紫、ピンク、赤、黄
樹高: 4~25m 中高木
花持ち期間: 3~4日
原産地: 東アジア、東南アジア、アメリカ