ヒルガオ科には、ラッパ型の花を咲かせる仲間が、たくさんあります。
- 朝顔
- 昼顔
- 夜顔
サツマイモも、実はヒルガオ科です。
朝・昼・夜は、花の咲く時間による呼び分けですが、植物学の分類は、必ずしもそれによって分かれているわけではありません。日本でアサガオと呼ばれている花は、サツマイモ属の種もあれば、ヒルガオ属の種もあります。
和名「ヒルガオ」
(英名:Bindweedバインウィード)
と一般的に呼ばれている花は2系統あります。
東アジア原産の「ヒルガオ属(学名:Calystegia カリステニア)」と、
ヨーロッパ原産の「セイヨウヒルガオ属(Convolvulus コンボルブルス)」です。
どちらもツル性植物で、他の植物に絡みつくか、地面を覆うように広がって繁殖します。
そして、これらの特徴に由来した花言葉が付いています。
もくじ
ヒルガオの花言葉
ヒルガオ全般の花言葉
『絆』
『縁』
『友達のよしみ』
『優しい愛情』
『情事』
『依存』
西洋の花言葉
『bonds(絆)』(英)
『tender affection(優しい愛情)』(英)
『humility(謙遜)』(英)
『extinguished hopes(失われた希望)』(英)
『insinuation(うまく入り込む)』(英)
『nuit(夜)』(仏)
『Separation(分離、別れ)』(仏)
『absence(不在)』(仏)
『l’humilite(謙虚)』(仏)
ヒルガオってどんな花?
ヒルガオとコヒルガオ
日本でよく見るピンク色の小さな花のヒルガオは、
- 日本原産の品種「ヒルガオ」
- 東アジア原産の「コヒルガオ」
の2品種です
花の大きさが微妙に違うだけで2つはそっくりです。園芸種としての流通はほとんどなく、野生種が林や土手や空き地などで頻繁に見られます。
コヒルガオ
ヒルガオは結実しません。地下茎から翌年また芽がでます。
他の植物に絡んで伸びるつる性植物で、なおかつ地下茎で繁殖するので、畑や花壇の近くで繁殖されると、やっかいな雑草になります。
セイヨウヒルガオ
外来種のセイヨウヒルガオは戦前に栽培種として渡ってきて、その後帰化しました。花色はピンクの他、薄い青や紫色もあります。
日本のヒルガオより早く成長し、辺り一帯の植物を覆いつくしてしまうので、今では「要注意外来生物」に指定されており、野生種は駆除されることが多いです。
花言葉の由来
切っても切れないしつこい絆
地下茎が網のように広がりしっかりつながっており、つるが周りに絡まっていくので、
『絆』
『縁』
『友達のよしみ』
など、人間関係のつながりの強さを表す花言葉が付きました。
『優しい愛情』
『依存』
『humility(謙遜)』(英)
『l’humilite(謙虚)』(仏)
これらは、他の植物に寄り添うイメージにちなみます。
雑草の一面から
『extinguished hopes(失われた希望)』(英)
『insinuation(うまく入り込む)』(英)
というマイナスイメージの言葉もあります。
フランスの花言葉
『Separation(分離、別れ)』(仏)
『absence(不在)』(仏)
これらは、大切な人と離れていることを示唆しています。一見ネガティブな言葉のようですが、色別の詳しい花言葉を見ると、そこには
“離れていても、心はつながっている”
という遠距離愛の意味があることが分かります。
フランスの色別の花言葉
- 白花:『いつまで留守が続くかわからない』※遠距離愛の嘆き
- 青花:『遠くからあなたを想っています』
- 赤花:『離れ離れはお互いの愛を増幅する』
- ピンク:『私の愛はずっとあなたの元にある』
- 青と紫の2色の花:『あなたは私の心に生き続けている』
- 青と白の2色の花:『離れていても、あなたのことを考えないことはない』
真昼の情事のシンボルは別の花
『情事』
の由来として、
という情報が、ネットにたくさん出回っています。が、多くの点でちょっと違います。
ヒルガオ(コンボルブルス属)全般の花言葉は、一般的に前段の通りです。
ことさら艶めかしい官能性や、娼婦のイメージを持つ花は、
「Convolvulus tricolor(コンボルブルス・トリコロール)」
という、青・白・黄の鮮やかなコントラストが際立つ花の咲く品種です。和名は
「三食朝顔」
または
「三食昼顔」
といいます。
フランスでは
「Belle de jour(ベルデジュール)」
と呼ばれる人気の園芸種です。直訳すると“昼間の美人”です。
フランスでは夜の女(娼婦)のことを
「belle de nuit(ベルデニュイ:夜の美人)」
と呼んでいます。そのため、ベルデジュールには、
“昼間の娼婦(のような妖艶な女性)”
という意味あいが含まれています。花言葉はそのイメージを表す言葉
『coquetterie(媚態)』
になりました。
元々西洋では、つる性植物全般を官能と結びつける傾向があるので、インパクトの強烈な三色朝顔が、娼婦に見立てられたのでしょう。
日本でなぜ、これがヒルガオのことになってしまったのかというと、1967年に発表された、「Belle de jour(ベルデジュール)」というタイトルのフランス映画の邦題が「昼顔」と訳されて有名になったせいです。
セレブな主婦が、欲望を満たすために昼間だけ高級娼婦として働く、というストーリーで、この娼婦の源氏名が「ベルデジュール」でした。
最近、この映画のオマージュと銘打って、主婦の不倫を描いた「昼顔」という名のドラマが話題になり、ますます
“ヒルガオは、真昼の情事を象徴する花”
という印象が定着してしまったようです。
本来、フランスでは、ヒルガオは“愛の絆の強さ”を表す意味が強いのに、ちょっと気の毒です。
分類: ヒルガオ科ヒルガオ属(主に東洋)
ヒルガオ科セイヨウヒルガオ属(主に西洋)
学名: ヒルガオ:Calystegia japonica カリステニア・ジャポニカ
コヒルガオ:Calystegia hederacea カリステニア・ヒデレシア
セイヨウヒルガオ:Convolvulus コンボルブルス(属名)
和名: 昼顔(ヒルガオ)、西洋昼顔(セイヨウヒルガオ)
英名: Bindweed (ヒルガオ属・セイヨウヒルガオ属全般)
False bindweed (ヒルガオ属)
Convolvulus (セイヨウヒルガオ属)
開花時期: 6~8月 夏の花
花色: ピンク、白、青、紫など
草丈: 絡みつくものがあれば3m以上にも。つる性多年草
花持ち期間: 1日
原産地: ヨーロッパ~アジアにかけての温帯地域