80cmから1mくらいの高さにスッと直立した茎の先端で花茎が枝分かれし、縦長の穂状に花をつけるチドリソウは、ガーデニングにも切り花やドライフラワーにもよく使われる一年草です。
一重咲きは5弁の花びらが付いているように見えますが、実はあれは咢(ガク)の変化したもので、本当の花弁は花の中央にあります。萼片の1枚が後方に突起のように伸びる袋(距[きょ]といいます)を持ち、特徴的な花の形をしています。
小鳥が飛んでいるようにも見えるので、
「チドリソウ(千鳥草)」
または「ヒエンソウ(飛燕草)」
という和名が付いています。
英語では、後ろに伸びる距を小鳥の足の後ろ側の爪に見立てて、
「Larkxput ラークスパー」
(意味:ひばりの蹴爪)
と呼ばれています。
もくじ
チドリソウの花言葉
チドリソウ全般の花言葉
『陽気』
『快活』
『軽快』
『底抜けに陽気』
『晴れやかな心』
『野原の喜び』
『私の心を読んでください』
チドリソウってどんな花?
ふたつのラークスパー
チドリソウは、少し前まで、同じキンポウゲ科のデルフィニウム属(Delphinium)の仲間に分類されていました。デルフィニウムも距を持ち穂状に花を付けますが、葉の形や花姿の印象や生態などが、チドリソウとは異なる部分もあるため、今はチドリソウ(種小名:ajacis)の仲間だけ
「チドリソウ(ヒエンソウ)属」(Consolida コンソリダ)
という別項目を立てて分類されるようになりました。
英語の「Larkspur ラークスパー」は、実際には一般的にデルフィニウムのことで、チドリソウは今もその一種として認識されています。西洋の他の国でも、だいたいいっしょの括りで扱われています。
日本でも園芸店などでは最近は「ラークスパー」の花名で扱われることが増えました。が、日本のラークスパーはほぼチドリソウを指し、デルフィニウムとは区別されています。
1.チドリソウ
チドリソウの花は、花径3~4cmくらいです。八重咲の種もありますが、多くは一重咲きで、よく見ると上部の萼片の後ろに距が伸びているのがわかります。
デルフィニウムとは葉の形の違いを見るのが、一番わかりやすい見分け方になります。チドリソウは、茎の節の所に、コスモスのような細長い葉が付いています。
2.デルフィニウム
チドリソウよりやや大振りの花が、縦にたくさん並ぶので、華やかな演出に向いており、パーティーアレンジメントやブーケにもよく使われています。
葉茎の先に、3俣くらいに深く切れ込みの入ったカエデのような葉が付きます。花も葉も、チドリソウよりこんもりした印象です。
花言葉の由来
花言葉も二分
西洋では、花言葉もデルフィニウムとコンソリダは同じくくりになっています。昔から様々なセレモニーの際に使われてきたので、とてもたくさんの花言葉を持つ花として知られています。
日本では、概ね
- 花名の由来でもある“小鳥”のイメージから出た言葉は、チドリソウの花言葉
- 華やかで尊大なイメージ、青色イメージから生まれた言葉は、デルフィニウムの花言葉
として分けて紹介しています。
ネットを検索すると、「ラークスパーの花言葉」として両方合わせて紹介している花言葉サイトもあります。
またあえて「チドリソウ」として説明するものの中にも、デルフィニウムの花言葉と混載されている情報も少なからずあります。
青空を自由に飛ぶ小鳥
『陽気』
『快活』
『軽快』
『底抜けに陽気』
『晴れやかな心』
『野原の喜び』
これらの花言葉は、前述の通り、ヒバリやツバメの元気いっぱいのさえずりや飛び姿のイメージから発しています。
また、こんもり華やかなデルフィニウムに比べ、見た目の印象が素朴で軽やかな所からきている、という説もあります。
忖度か、さりげなさか
『私の心を読んでください』
この花言葉は、華やかで尊大なイメージのデルフィニウムの花言葉
『生意気』『尊大』『高貴』
などから転じた、という説があります。
“自己主張の強さ”というか、
いわゆる“高ビー”な意味
とする解説です。流行りの言い方でいうならば、
「それくらい『忖度』しなさいよ」
ということですね。
一方、自由で快活な小鳥の飛び回る姿を見て、「気持ちいいですよー」という爽やかさが察せられる、という良いイメージのさりげない忖度を示唆する、と解釈する人もいます。
デルフィニウムと同じく、チドリソウの切り花も、祝いごとやパーティーのアレンジメントに使われることも多いですから、いい意味のほうで解釈しておくほうがいいかもしれません。
分類: キンポウゲ科チドリソウ(ヒエンソウ)属
学名: Consolida ajacis コンソリダ・アジャシス
和名: 千鳥草(チドリソウ)
別名: 飛燕草(ヒエンソウ)
英名: Larkspur
開花時期: 5~7月 初夏の花
花色: 青、紫、赤紫、白、ピンク
草丈: 30cm~1m 一年草
生息地: 北半球温帯地域、アフリカ山間部など
原産地: ヨーロッパ南部~西アジアの地中海沿岸地域