秋の花の花言葉

ススキの花言葉/秋の野に立つ物憂い姿の裏のたくましさ

Written by すずき大和

秋の七草のひとつにもあげられている「ススキ」(尾花)は、お月見の夜に団子と共に供えられるものとして知られています。

中秋の名月の日に、月の神様に、秋の実りを感謝し、豊作の継続を祈願するのが月見の起源です。そのお供えの花ですから、悪い意味のものであるはずがありません。東アジアでは、概ねススキは、魔除けや神様の宿り場とされるなど、縁起がいいものです。

特に、“詫びさび”を好む日本文化では、荒れ野や秋の野山に群生し、物憂い様子で白い花穂を風に揺らすススキの映像は、美しい原風景と捉えられることが多いです。儚さや寂しさの中に見出される美は、写真の題材としても多く選ばれ、ススキの画像を検索すると、膨大な量がヒットします。

そんなススキの花言葉は、物憂い雰囲気とは正反対ともいえる、溢れる生命力を感じる表現が並んでいます。



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ススキの花言葉

ススキ全般の花言葉

『活力』
『勢い』
『活気』
『元気』
『勢力』
『生命力』
『悔いのない青春』
『隠退』
『憂い』
『なびく心』
『心が通じる』

ススキってどんな花?

白く揺れる花穂は花じゃない

ススキはイネ科の多年草です。

黄金色に揺れる稲穂は、花穂ではなく、結実した実(種子)が実った姿ですが、秋の白くフワフワとしたススキの穂も、花ではなく、実(正しくは「頴果(えいか)」といいます)です。ススキの実には白い毛が生えるので、全体が白いフワフワに見えるのです。

ススキの実


本当の花は、実る前、8月頃から咲き始めます。イネの花も小さく目立ちませんが、ススキの花もとても小さいので、なかなか気づかれません。薄茶や赤茶色の小さな花なので、花穂全体がなんとなく赤っぽく見える時が、花期です。

ススキの花


小さくぶら下がっている粒々が花です。

花言葉は、赤い穂の時も白い穂の時も区別なく、風にそよぐススキの姿全体に付いているようなものなので、フワフワの穂のススキに花言葉を添えても全然構わないでしょう。

花言葉の由来

強い生命力の植物

『活力』
『勢い』
『活気』
『元気』
『勢力』
『生命力』
『悔いのない青春』

これらの花言葉が象徴するのは、どんな苦境をも跳ね返し、繁殖するススキの強い生命力からイメージされたものです。

ススキは種子を飛ばすだけでなく、丈夫な地下茎を広げて群生する植物です。例えば山火事などにあって、地上部が焼け野原になってしまっても、生き残った地下茎から芽を出し、一番初めに生えだすのがススキなのです。

まっすぐな立ち姿

『心が通じる』

これは、細くて中心が空洞になっている茎が、まっすぐに2mくらいの高さまで伸びるススキの、シュッとした印象から生まれた花言葉です。

日本では昔から、この軽くて丈夫な茎を干して茅葺(かやぶき)屋根の材料に使ってきました。集落の近くには、定期的に刈り取られ、手入れされるススキの群生地が付きものだったことも、里山の原風景の一因です。

秋の憂いと儚さの象徴

『隠退』
『憂い』
『なびく心』

隠退とは、年老いて第一線から退くこと、“隠居”と同じニュアンスです。これらは、繁茂の季節が過ぎ、冬に向かう秋の野山を象徴するススキの、物憂い雰囲気を映した言葉です。

ちなみに、ススキは9月15日(旧敬老の日)の誕生花です。『隠退』は、高齢者へ敬愛を込めて「お疲れ様」の気持ちを贈るのには、とてもタイムリーな花言葉かもしれません

世界中にあるけれど、あまり好かれていない外来種

セイタカアワダチソウとの闘い

そんな生命力の強いススキですが、一時期、外来種に生息地を奪われかけた時期がありました。

明治期に園芸種として入ってきた「セイタカアワダチソウ」は、草丈2mにもなり秋に黄色い花を咲かせます。

セイタカアワダチソウ


やがて帰化し、ススキをもしのぐ繁殖力で、集落周辺の在来種を駆逐しながら繁殖していきました。戦後間もない頃、里山のススキもセイタカアワダチソウに押されて激減していました。

セイタカアワダチソウは、周囲の植物の生長を妨げる物質を分泌しながら広がる特性を持っています。しかし、繁殖しすぎるとその効果も大きくなりすぎ、自分自身もその毒で自家中毒にかかって成長できなくなり、衰退する、という悲しいサガも持ち合わせていました。

多くの在来種が、一時期駆逐されてしまった川原や野山で、セイタカアワダチソウが自家中毒で減少すると、その跡地で、最初に息を吹き返したのが、やはりたくましい生命力を持つススキでした。現在では、どちらも程よく繁殖し、共生しているようです。

海外では要注意侵略種

近代、東アジア原産のススキは西洋に持ち込まれました。東洋っぽいビジュアルが園芸でも好まれましたが、その繁殖力の強さから、現地の在来種を駆逐するようになり、やがて侵略種として駆除の対象になりました。セイタカアワダチソウの逆をいったわけです。

現在では、ススキは世界中に広がり、繁殖しています。が、東洋以外では、野生化すると頭の痛い嫌われ者となっており、残念ながら、花言葉なんてどこの国でもつけてもらっていない状況です。(記事本文終了)

ススキの基本データ

分類: イネ科ススキ属
学名: Miscanthus sinensis ミスカンサス・シネンシス
和名: 薄(ススキ)、芒(ススキ)
別名: 尾花(オバナ)、茅・萱(カヤ)
英名: Silver grass,
    Japanese pampas grass,
    Eulalia
開花時期: 8~10月 秋の花
花色: 白、薄茶、赤茶
草丈: 1~2m 多年草
花持ち期間: 7~14日
生息地: ほぼ世界中
原産地: 南千島~日本、中国、朝鮮半島


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筆者情報

すずき大和

花に心があったら、自分の花言葉についてどう思うだろう?と、変なことが気になる変わった子供が、成長してライターやってます。花言葉の由来をヒモ解いていくと、花より人の心が見えてきます。花言葉を添えて花を贈るなんて、日本人にはハードル高い行為ですが、まあとりあえず、のんびりウンチクを楽しんでもらえれば幸いです。